第四百八十九夜『巨大な何かが…-The Little House-』

2023/11/01「屋敷」「ケータイ」「燃える城」ジャンルは「サイコミステリー」


 巨大な衝突音しょうとつおんが耳に届き、私の家全体がれた。

 ベッドで眠っていた筈の私だが、この衝撃しょうげきには流石に目が覚めてしまった。

私はあまりの衝撃におどろいて飛び起きた様で、衝撃が走った瞬間の事はあまり実感がない。そして何事かと見てみると、衝撃音がした場所に巨大な金属の板が斜めになって廊下に収まっていた。

「な、何だこれは……?」

 あまりにも巨大な金属板だ。、少なくとも私の身長よりかははるかに大きい。金属板は白銀色しろがねいろに光っており、表面には何か彫られていて、しかし私の全長より大きいため何が彫られているかはよく分からない。何せ巨大な金属板が斜めに家に入り込んでいるのだ、何か文章が彫られていても真っ当に読む事はむずかしいし、もっと言うと全体像の把握も出来ない。

 これが地面から出ている柱であったり、或いは地面に刺さっている柱であるならば、それはいわゆる一種のモノリスと言う事で理解出来る。しかし、巨大な斜めの金属板では何も分からない。

 私はこの異常事態いじょうじたいを決めあぐね、警察けいさつに連絡することにした。しかし困った事に電話がつながらない、うちにあった電話機でんわきはイミテーションで電線が存在していなかった!

「な、何だこの電話のオモチャは! 携帯電話けいたいでんわ、携帯電話はどこだ?」

 私の携帯電話はどこにも無かった。確かに寝室で手に取れる場所に置いてあった筈だが、何故だか雲散霧消うんさんむしょうしてしまっていた。即ち、この家は連絡手段に関して一種のクローズドサークルと言える事になってしまっていた。

 その時である。パサリと何か軽い物が私のすぐ背後でし、私はその音に対して反射的に振り返った。すると、そこには私の身の丈程もある巨大な蚊の様な何かが落ちていた!


「うわあああああ!」

 私は汗びっしょりでベッドから跳ね起きた。よく覚えていないがひどく恐ろしい夢を見ていた気がする。

それと同時に、何だか硬い物を殴った様に手がヒリヒリと痛んでいる事に気が付いた。周囲を見渡してみると、自分の拳で貯金箱を叩きこわしていた事に気が付いた。

 小型の家の外観がいかんをした、インテリアを兼ねたお気に入りの貯金箱だったのに残念だ。

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