第四百三十七夜『甘くない無駄遣い-ill judge-』
2023/09/07「陸」「タライ」「消えた剣」ジャンルは「邪道ファンタジー」
「
いかにもな
ギロチンの様に、一刀両断で
今日だけでも既に、この処刑台では数人が首を切り落として処刑されていた。処刑台の下には首が入った
「最後に何か言い残す事は有るか?」
処刑人は処刑用の剣をこれ見よがしに貴族の男に見せつけながら、貴族の目を
「……叶う事なら、最期に馬車に乗って外国に行きたかった」
「そうか」
処刑人は貴族の言葉を聞くと、
「!?」
その時信じ難い事が起こった。貴族の男の首が処刑用の剣で断たれると思いきや、なんと彼の首に叩きつけられた剣がへし曲がってしまったのだ。
これには貴族の男も処刑人も民衆もビックリ仰天し、
「一体何が起こったんだ?」
「
「いや
「そんな事より処刑はどうなる? 剣は折れてしまった」
「代わりの剣を取って来るのか? それとも延期か?」
「処刑の最後の最後でこんな事になるとはな……」
処刑人は信じられない物を見たと言った様子で、貴族の男と折れてしまった処刑用の剣とを見比べたが、平静な様子で咳払いを一つした。
「恥ずかしながら、我が愛用の剣は手入れ不足の疲労で折れてしまった様だ。よって、罪人の処刑は後日追って行なう事にし、本日の処刑はこれで
なんだ、ただの
「しかしこのアメ、あまり美味くないな」
「仕方がないでしょう、
馬車の中、貴族の男と処刑人とがのほほんと明るい調子で会話をしていた。
「うむ、その
「……なるほど。通りで
何かに
「私は何も法に触れる事はしてないぞ! 人として悪い事をしたかも知れないが、法律上は何も悪い事をしていない! 私は合法的着服とも言うべき行為しかしてないし、同じ事をしていた
貴族の男の言葉を聞き、処刑人は納得した様子を見せつつ苦笑いをした。
「それで、山向こうに着いたらどうする積もりですか?」
「ふふん。こんな事もあろうかと、私は外国ともコネクションを作っておいたからな! ビジネスで私はあちらと顔見知りは多いし、何より山向こうからしても山向こうの商品や情報を知りたい人間は多いだろう」
貴族の男は呵々大笑し、先程まで処刑台でべそをかいていた人とは同一人物とは思えない。その様子を見て、処刑人は
「山向こうからしても……ねえ?」
処刑人は例えるならば、アメを落として
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