第四百二十七夜『足音と悍ましさと-phantom power-』
2023/08/26「悪魔」「オアシス」「残念な城」ジャンルは「純愛モノ」
(捨てないで)
(どうして捨てたの?)
(おいていかないで……)
何となく
人形は棚の上で力無くうなだれた様な
「俺はいったい、あと何回あの人形をゴミに出せばいいんだ……?」
これは俺の経験則なのだが、あれらの人形は俺の目線がある時には絶対に動かない。しかし俺が目を逸らしたり、眠るなどで意識が無かったり、或いは外出していると必ず所定の位置に戻って血の涙を流しているのだ。加えて、ゴミ捨て場からうちの棚の上に至るまでの道程に点々と血を垂らしながら歩いているらしい。
そう仮説を立て、監視カメラの映像を観てみたのだが、俺の仮説は少々外れていたようだ。
人形が棚の上に歩いて戻ったと思われる時間帯になるとカメラの映像にノイズが走り、ノイズが晴れると血痕付きの
人形と言うそこまで重くない物体が足跡を生じさせると言うのも信じ
何故俺がこんな目に
しかし、俺にとって実害はそこまで無かった。
どうやらこの人形は家に憑いていて心霊現象を起こしているものの、住人に対して直接的な危害を加える積もりは無いらしい。あくまで気味が悪いし、確実におかしな事が起きるがそれだけだ。
ところで俺の家だが
「この分なら、あと数回あの人形をゴミに出せばいいな」
俺は頭の中で一度のゴミ出しで生じる電力を計算しつつ、電力会社に余剰電力を売った額を弾き出した。この分なら家賃は
俺はほくそ笑みながら、部屋の棚と言う棚じゅうに数え切れない程に設置されている人形を見回した。
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