第二百七十七夜『遺伝計算-blood type harassment-』
2023/03/12「西」「機械」「悪のヒロイン」ジャンルは「時代小説」
私は血液型占いが
別に私がB型だからではない。今皆さんは私がB型だと言って、やっぱりそうだと思ったと言うだろう。この様なレッテル張りが嫌いなのだ。
あんな物は典型的バーナム効果に過ぎない。人に水を与えた後、長時間水を与えずにいたら水を異様に欲しがると言った様なインチキだ。パンを食べた人間の致死率は百パーセントだと
今あなた方は、これだからB型は……と思った事だろう。それこそが血液型占いの持つ非社会性、有害性である。二十世紀のある政治家は、異なる血液型の輸血を受けると言う医療事故の末に命を落とした。彼は社会が血液型占いを信じている故に、他者から特定の血液型だと公表してレッテル張りされる事を恐れて血液型を
そもそも血液型と言う
そこから血液型占いを一歩
ナチス・ドイツはアーリア人こそが優等種であると言う考えの元、演説やプロパガンダや考証を行ない、血液型占いもその一環として利用されたのだ。何せアーリア人は世界一の人種なのだから間違いない、
演説や発表の
私は毎年こうやって血液型占いの有害性を
「何ですか? この映像」
昔の映画かアニメで見る様な、おまじないの品々を取り扱う小さな小間物屋があった。
店の中では、
青年は丁度店の表の
店主の女性が眺めていたのは書籍と
「あらカナエ、お掃除ご苦労様。これはね、大昔あった占いとか歴史の映像。今ではある理由の元、失われて久しい物ね。もっとも、この占いを信じていた地域は極めて限定的だったし、今ではその占いも全く役に立たないのだけれども」
店主の説明はその実的を射た物だったが、青年は全く理解が出来ないでいた。
「俺はその血液型? って言うのは知らないけど、つまり血を使った占いがあったんですね?」
「ええ、そう言う事になるわ。でも血を使うと言っても、カナエが考えている占いとは多分違うわ。例えばゴリラの血液は全て同じ性質を有して居て、これをB型と呼ぶの。逆にヒトの血液型は全てO型と呼ばれる物で……」
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