第二百七十二夜『おっぱいと血走った眼-Vamp of Vampire-』
2023/03/06「光」「告白」「危険な城」ジャンルは「王道ファンタジー」
仮装大会のような様相を示している展示会で、俺の視線の先には
「ふむ、あなたもあの女性が気になると?」
気が付くと、俺のすぐ
「よだれ、垂れておるぞ」
「あ、いや、ありがとうございます」
俺は余程マヌケな顔と仕草をしていたらしい。恐らくは、余りにも
「見た所、
「同輩? シリコン……?」
「作り物の、着脱式の胸と言う事だ。作り物の胸に関しても、着脱式やそうでない物がある。物によっては精巧に肉体そっくりにする手術もあるが、着脱式ではそうもいかない」
ミスタードラキュラは俺に簡単に説明を、こんな物は常識に過ぎない。とでも言いたげな顔で行なった。いや、俺は夢を見たり買ったり
「いや失礼、
ミスタードラキュラはそう言って、
そう口に出さずに
「はあ……シリコンバストとやらに詳しいようですが、あなたは衣装作りか仮装の専門家か何かですか?」
「いいえ、専門家と言えなくもないが、仮装や衣装のではない。実は吾輩、ご覧の通り吸血鬼と言う奴でな。今日は居城から、文字通り羽を伸ばしてここへと参った所だ」
うんうん、そうだね。一目見た時から知ってた。向こうにはクモ男が居るし、あっちにはコウモリ男、その向こうには雷様と、
「あちらに居る虎模様のビキニ姿の女性は
何を言っているんだ、このボンクラ吸血鬼は? あんな体格に恵まれていない、お世辞にも大きいと言えない乳房のどこが食欲をそそると言っているんだ……? いや、個人の
「あなたは、ああ言う女性が好みなのですか?」
「ああ! 健康的で、シリコンの様な混ざり気が無い! 今にもよだれが
伯爵の言葉に嘘は無い様に見えた。もとい、その様に振舞っていた。伯爵はまるで、酷く酸っぱい漬物を見て興奮しているかのような顔をいているのだ。そのビキニ姿の貧相な体系の女性を見て、だが……
「その演技好きなんですね……ところであなたはどうやって乳房のシリコンの有無を見分けているのですか?」
「それは簡単に分かる、何せ吾輩は吸血鬼だからな。本物のおっぱいには血が通っている、見てみろあの青い
どうやら伯爵様はこの演技を辞める積もりは全く無い様だ。俺はどう対応すべきか決めあぐねていたが、この場では相手の話に引き続き乗ってやる事にした。
「でもねえ伯爵、この会場はガラス張りのドアや窓だらけで日光が素通しですよ?」
「誰が吸血鬼は
自称ドラキュラじゃない伯爵は胸を張ってそう言った。その様子はまるで、出来の悪い学生に対する呆れた教師の様で、はっきり言って俺は不快に思った。
「それはそれは、
するとドラキュラじゃない伯爵は満足気に口角を上げた。ちょろいな、この吸血鬼。
「いやはや!
「結構です!」
俺は雷に打たれたかのように、その場から全力で全力で
俺は巨乳が好きなんだ。ドラキュラだかカーミラだか知らないが、アイツの言う事が確かなら、吸血鬼は男女を問わず巨乳より貧乳が好きだと言う事になる。誰が好き好んで、そんな巨乳が嫌いなバケモノになってやるものか。
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