第二百三十二夜『かそうのしぼうどうき-holocaust-』
2023/01/21「秋」「裏取引」「燃える大学」ジャンルは「指定なし」
ある所にゴールド氏と言う男が居た。ゴールド氏は
そんなゴールド氏だが、自室に
彼の動画チャンネルは
「こんなに美味しい料理を出されたら、俺はもっと太っちまうよ!」
そう叫びながら、美味そうに話題の出前であったりテイクアウトの料理をぺロリと平らげるのは、彼のチャンネルの一番の人気コンテンツ。何せ注文するのも恐ろしい尋常でない量の料理がみるみるうちに消えて行くのだから、話題になるし観たくもなる。
そんなゴールド氏だが
しかしゴールド氏はこれをのらりくらりと受け流し、やれ体質だから仕方がないだの、やれこれ以上
しかし、ゴールド氏に諫言する人達もゴールド氏を心配してからの発言なのだ、ゴールド氏に憎まれ口を利きたいのではなく、長生きして欲しいのだ。その返答がコレなのだから、すっかり
「そんなに適正体重になる事を
死ぬというのは即ち、作品を作れなくなると言う事である。ゴールド氏は太っても一クリエイター、この言葉には思う所があったらしく、重い腰を上げて自分の死について考え始めた。
一晩油を
曰く、自分が亡くなったら火葬を希望する事。そして、その一部始終を動画に録って自分の葬式の様子をチャンネルに投稿して欲しいと。
寒くなり始めた秋の夜の事である、ゴールド氏が亡くなった。睡眠中に急性心不全を引き起こし、けれどもその死に顔は穏やかで、まるで眠っているだけの様に見えた。ひょっとしたら、本人としては瞬間的な
葬式は彼が遺志通りに行われ、カメラが回る中スーパーサイズの棺桶に入ったゴールド氏の遺体が火にくべられた。
その瞬間である、ゴールド氏の遺体から大量の高温油脂が煙突から噴出、火葬場とその周辺が発火した。
もうこうなるとパニックである、煙突から燃える油が溢れ出して周囲を飲み込もうとしたのである。
幸い、異臭に気が付いた人達が居た事、
ゴールド氏は生きている間も死んだ後もゴールド氏だったと、彼の知人は口を
火葬場の煙突は、天に向かって煙を吐いていた。
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