第二百十一夜『氷の溶ける音-break the ice-』

2022/12/29「白色」「リボン」「ぬれた時の流れ」ジャンルは「大衆小説」


 春になって雪が消え、こおっていた山麓さんろくの川の氷が溶けた。氷の中には山の空気が混ざっていて、溶けると中から音がした。

 ひよひよひよ、これはヒバリの声だろうか?

 しんしんしん、これはきっと雪の降る音に違いない。

 ぴっぴっぴっ! 知ってる、これはナキウサギの鳴き声だ。

 おや、上流から真っ赤なリボンが流れて来た。まるで妖精の染物屋そめものやさんが作ったような、不思議な赤色。

 待って、氷が溶けて中から何か音が聞こえる。

「お願い、助けて、殺さないで!」

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