02.人物/世界観設定【7/6更新】
【人物設定】
⭐神村 一織(かむら いお) ♂
一人称:俺 二人称:お前、アンタ
192㎝ 86㎏ 22才 日本人
本作中においての主人公。
義理の母親が死んだ日に、事故で彼も命を落とす事となる…が、気付けば異世界転生なるものに巻き込まれてしまった。
喧騒や媚びへつらう事を嫌い、故に人との関わりを嫌って孤高を好む取っ付きにくい性格で、他人を頼ることと怠け者に対して嫌悪感を持ち、思ったことはハッキリと伝えたい質でもありそれもあってか友達も彼女も出来た試しはない。
しかしとある出来事から、自身を変えようと奮起することを決めた。
納得できなければできるまでとことん突き詰める努力家であり、公平さを求める余りストイック過ぎるところもある。
父親似の顔付きは悪くない面立ちをしているが目付きが鋭く、しかもしかめっ面が板についている為に殊更誤解されやすい。
その反面母親譲りの他人に頼られる事に弱い所は、なまじ人より多少有能な事もあってかよく利用されてしまい自他共に嫌悪する事がややありがち。
欲が薄く、知識以外に自ら求める事が無い。
その為生前は多忙にて面倒で避けてきた生き物と触れ合いを箱庭に来て初めて動物愛玩を経験してはまったりと堪能したり、憧れだったファンタジーな生物を目の前にしては柄にもなくはしゃいでしまったりと意外にも子供っぽい所もある。
好きなものは読書と学ぶ事、嫌いなものは怠け者と理不尽。
そんな彼が一番嫌悪し最も許せない事は“自己犠牲”。
【胡蝶の夢】【はてしない物語】バスチアン。
⭐アーサー・トライデン ♂
一人称:僕 二人称:君、貴方
174㎝ 64㎏ 19歳 ポニ人とイーリシュ人のハーフ(日/英)
本作中においてのもう一人の主人公であり、空想世界【箱庭】に現れた存在しない筈である勇者の二人目。
臆病かつ泣き虫な性格で一見頼り無さげに見えるが、本来人間が持ち得ない筈の超常的な力を持つ異端の存在“勇者”として生まれ、それにより数あるループの中で何度も世界に破滅をもたらした“災厄”の勇者とも呼ぶべき存在。
同時に非常に怠け癖のある人物で、かつ強者の自覚があるが故にその本性は“人でなし”である彼は人間を酷く虫の如く毛嫌う。
他人と深く関わることを嫌い、その場を凌ぐ為に相手が求める様に演じては本当に“そう”なってしまうのは自身の内に大精霊である“赤き竜”が封印されている為であり、その影響からか彼が自身を“怪物”だと認識すると特にその片鱗が身に現れる。
その為に一歩でもその扱いを誤れば周囲に害を為し兼ねない、そんな彼の危険さはまるで自我を持った核爆弾の様だ。
異常に希薄かつ不安定なその自己認識は、自己を証明する本来の名前を忘れてしまっているからであり、名前を取り戻さない限り彼はずっと自身が何たるかを見失ってしまったままである。
教授されれば何でもこなせる天才気質で誰でも出来て当然と自分基準で他者を見ては落胆し見下す嫌いがあるも、そんな当然な事でも褒められると犬の様に喜びその感嘆に雑念がなく真っ直ぐであればある程その相手に尻尾を振り尽くしたがる献身家な側面もある。
【忠実なジョン】【狼少年】嘘から出たまこと。
⭐ニエ(贄) ♂
一人称:おれ 二人称:君、お前
(生前)130㎝ 20㎏ 享年12歳 ポニ人(日)
(同化後)159㎝ 47㎏ 14~15歳程の肉体
周りからそう呼ばれたからと自らを“生け贄のニエ”と称するもそれを“名前ではない”と言う、とある村で現人神として奉られ社の座敷に囚われていた名無しの子供の
大昔に死んでこそいるが生まれつき生命力が異常なまでに強かったからか、“死んだまま生き続ける”という特異な状態で現存しており、その体質は生気を求める死霊を酷く惹き付ける。
死して尚も消滅が叶わず長年ぼんやりと過ごしていた所をロヴィオに弔われて、漸く成仏が叶ったと思いきや……?
飄々とした人物であるが、彼が要因となる破滅した世界では他のどれよりもずっと凄惨で残酷な結末を迎える、最悪の因果の一つ。
彼もまた、大精霊たる“黒い雌鳥”をその身に秘めた傀儡だったが、ロヴィオと出逢った事により“不幸”のドン底で生き続けた中で漸く“幸福”を得る事が出来た。
この不浄の塊たる怨霊は地獄を生きる餓鬼ではあるが、ロヴィオを通して供物を食す事が叶い彼は飢えを満たせる様になる。
健啖家故か酸いも甘いも苦いも際限なく供え物は受け入れ、嬉々としてロヴィオの口へと押し込んでその味を楽しむがお酒は匂いも味も好きになれず余り好まない。
ロヴィオが飲んで酔っぱらってもニエ自身伝播したところでザルの為酔うことはなく、そんな時は普段の立場が逆転し前後不覚となった彼をニエが介護する。
こうと決めたら中々に聞き分けが悪く、癇癪を起こした時には仕置きとして一織はロヴィオと酒を飲み交わす様にしており、御機嫌なロヴィオの後ろでニエはというとひっくり返って口から煙を吐き身体を痺れさせている。
「あだだだっ臭いし不味いし喉が焼けちゃううっ! もう悪い事しないから許してぇええっ」
【青い鳥】【蜘蛛の糸】
⭐マーリン ♂️
一人称:ボク、このマーリン 二人称:キミ、オマエ
148㎝ 53㎏ 12歳くらいの見た目 獣姿:猫
一織に隷属する使い魔の一体、白の魔法使い。
破天荒及びお調子者な性格で、見た目は小学生な女の子だが男である。
主人として一織にLIKEな熱烈好意を振り撒いては甘ったるい猫撫で声で媚びを売るが、彼が人型になる際参考にした姿とは一織にとって苦々しい過去の遺物たるものなので毎度鬼気迫る形相でアイアンクローをお見舞いされるのが常である。
大精霊「ピカトリクス」を捕食し、取り込み上位精霊“妖精”となった一つ。
【百万回生きた猫】
⭐モーガン ♀️
一人称:私 二人称:貴様、御前
176㎝ 58㎏ 18歳くらいの見た目 獣姿:ペンギン
一織に隷属する使い魔の一体、黒の魔法使い。
クールかつ礼儀正しいかと思いきや傲慢無礼で、主である一織にすら無遠慮に罵倒する。
身形は高校生くらいの美男子となった一織ともとれる風貌だが、実は女性である。
自身を救済してくれた一織へ深い忠誠を尽くしている。
大精霊「ラズィエル・ハマラク」から権能を継承し、取り込み上位精霊“妖精”となった一つ。
【ながいながいペンギンの話】
⭐神様 ♂
一人称:ボク 二人称:キミ、アンタ
147㎝ 52㎏ 11?歳 日本人
死んだ一織を異世界へと招き入れた“神様”を自称する少年。
その見た目は一織の幼少期の姿そのままであり、本人も同一人物である事を認めている謎の存在。
一織と違ってユーモア溢れるお調子者な性格で、楽しいことと面白いことを好む。
神になる前は勇者であり、ひたすらに力を追い求めて用意された世界の全てを屠った彼は“殲滅”の勇者とも呼べるだろう。
【ピーターパン】子供達の楽園へようこそ!
⭐ソロモン・デル・スケルトゥール ♂(愛称:ソール)
一人称:私 二人称:貴方、御前
173㎝ 65㎏ 20歳 イーリシュ人とゲルマニー人のハーフ(英/ゲルマン系)
帝国ではなく王国の都スケルトゥールで王位の座に就いた人物。
今までのループでは早期に病で命を落としていたが唯一最後のループでのみ何故か生き延び、結果幾つもの世界破滅の因子を打ち消している謎多き人物。
アーサーとは幼馴染みの親友といった関係である。
そしてその正体は魔導書の名を連ねた賢者たる大精霊達の長である“グリモワール・レメゲトン”その人。
過去の罪を償うべく地上へとのぼったが、そもそもがかつての実弟の策略であり、地上にて得た大切な者を人質に言いように扱われてしまう事となる。
【ピノッキオの冒険】【金の鍵】
⭐アルクレス・フォン・スケルトゥール ♂(愛称:アルク)
一人称:俺 二人称:お前 イーリシュ人
スケルトゥール王国第二王子、ソロモンとは腹違いの兄弟であり三人兄妹では真ん中に位置する次男坊で、剣技の達人である“剣聖”とも呼ばれる。
かつての破滅した世界では帝国の第一皇子であったり皇帝として君臨して争いを引き起こしていたりと物事の渦中に存在する事が多い。
アーサーを酷く嫌悪し、何かと理由をつけて躾と称して暴行を加える為に彼の恐怖の象徴となっていた人物でもある。
しかし前回のループにて“赤き竜”の呪いを受け、引き継いでしまった彼は毎夜の悪夢に魘される事とな
るも最愛の兄を得る事となり、軈て物語が大きく変わり始めることとなる。
【フランダースの犬(反転)】【卧虎藏龙】
⭐ミネルヴァ・フォン・スケルトゥール ♀️(愛称:ミーニャ)
第一王女、王国三兄妹の末の妹。
アルクレスと同じくソロモンとは腹違いの兄妹であるが、実兄のアルクレスよりもソロモンを崇拝者の如く慕っている。
勇者の子孫であるからか魔力操作に長けており、魔学(魔法についての学問)に置いて右に出るものは居ないと言われている程研究を重ね続けた果てに、只の人の身のまま魔法すら使える様になった勇者以外では唯一公認されている“魔法使い”で付いた呼び名が“スケルトゥールの魔女”。
【塔の上のラプンツェル】
⭐アルモニア・ルーチェ ♂
とある兄弟が森で拾った人形だったのが、名を与えた途端目を覚ました記憶喪失の謎の青年。
人を殺さず魔物も殺さず、圧倒的な力を持ってして反乱分子を制圧し続けた全ての始まりである
ポエマーかつ朗らか、他者を疑わず何事も鵜呑みにする猪突猛進な嫌いがあり、息をするように人々へと無償の施しを与える慈善家。
その彼の行き過ぎた博愛精神は名も知らぬ初対面の女性からの誘いに乗ってしまう程。
尽くさなければ見捨てられる、そんな強迫観念から無意識に苛まれていた記憶もなく素性の知れない自分を無条件に受け入れたナイトやナトリを妄信的に慕っており、自身も良く理解していない彼が持ち得る“能力”を無闇矢鱈に使わない事とその使い時のルールをナイトから言い付けられてより、それに従い行動をする。
始めはそれが何処を見ているのか解らないぼんやりとした様子だったので、心此処に非ずを
元の名を取り上げた彼等は、いつも誰かの“代役”ばかりだった人形に新しく“唯一無二の自分”を与えたのだ。
【人魚姫】
いつも誰かの代役な中身のない彼、疎外感から誰かと同じに成りたくて地上に昇る。
模して真似ても
⭐ナイティニコラ・ルーチェ ♂(ナイト)
旅先の森で長い耳の人形を拾った、医者の青年。
唯一の肉親である身体が弱い弟を過保護になる程溺愛している。
年離れた弟からの、彼が気にしている事に図星となる正直かつ無垢な発言に、いつも硝子の心をブロークンされ涙目となってしまいやすくネガティブな人物。
そういった性格なので一見頼り無さげではあるが、貧乏故に金銭の代わりに町医者だった父より受け継いだ医療学にて診察や治療を無償にて取引し遣り繰りしていた為に聖人と思われがち。
夜の騎士の名の彼は優れた鑑識眼を持ちその視野の広さにて魔族への理解が誰よりも深く、それを憎むのが通常な世間に上手く馴染めないでいる。
命令され否応なしに“不殺”の勇者の首を跳ね飛ばし、彼の最期を見届けて自らをも自害した事でその悲劇の物語に
【メメント・モリ】【サンタクロース】
⭐ナトルドルフォ・ルーチェ ♂(ナトリ)
旅する医者の青年の弟、歌が好きな幼い子供。
持病からか常に風邪っぽくそれで赤い鼻が特徴的で、常にニコニコと楽しげに歌って踊って詩的な物言いを好むポジティブなムードメーカー。
弟のナトリがアルモニアへ無償の愛情を注いだ側とするならば、兄のナイトは彼に無償の愛情を向ける相手への特別さを教えた側となるのだろう。
町で人気だった歌姫の母親に指導されてより歌が上手く、善良過ぎて上手く商売が出来ない兄の為に自身を見世物としてその歌声を披露する上で耳聡く商いをこなし、大黒柱の如く金銭を稼ぐしっかり者。
行き着いた国にて黒死病を患ってしまい、兄の必死の医療にて辛うじて生き長らえていたのを何も知らない民衆からの非難と中傷、悪意ある噂にて間を引き裂かれ治療を受けさせて貰えず密室に独り閉じ籠られてしまう。
その最期には医者としての資格を取り上げられた兄が国に徴兵する事を条件に面会を許され、末期にて身体を黒く濁らせて瀕死だった所を再会を果たしてより息を引き取った。
名を取る、その只の名前が後に意味をなす事となる。
【カルペ・ディエム】【赤鼻のトナカイ ルドルフ】
⭐天空竜 ロヴィオ・ヴォルグ 無性別(♂寄り)
一人称:私 二人称:御前、貴様
(獣姿)2m超の大型ライオンくらい
(人姿)205㎝ 115㎏ 見目の良い男性体、
空想世界“箱庭”において人々に唯一広く認知されている神の一柱。
その姿は体毛と鱗に覆われた大きな狼姿の竜であり、頭に二本の角を持ち、そして背中にあるもう二つの角では魔力の膜を張り翼として空を駆ける。
使命が“弱き者を助ける”である事からか、面倒見がよく世話焼きで困っている者を放っておけない善良な質であり、ついうっかり亡霊の子供を拾ってしまう事となる。
空に瞬く星々は彼の観測網であり、空の下であれば屋内地中でなければ全て見通せる権能を持つ。
人の姿へと変わると、長身にして切れ長の鋭い目が特徴的な強面の大男となる。
普段が毛皮に覆われているからか毛の薄い人間体時は寒がりで良く着込む。
酒好きの酒豪で普段はしっかりとした性格なのだが、飲めば酔い易くかつ鬱陶しい程に絡み酒な嫌いがある。
特に好きなのは神聖持ち故か“御神酒”……なのだが、今は飲むと“不浄”属性の塊であるニエに害が及ぶ為に泣く泣く禁酒中である。
【マーナガルム】【ロミオと呼ばれた狼】人々と寄り添い暮らす獣。
⭐冥界竜 ??? 無性別(♀️寄り)
(獣姿)50m超の巨大な大蛇
エープースャン(エジプト)の砂漠の地中奥深くに存在する“地界の祠”にて冥界の門を守護する巨大な大蛇。
エメラルドグリーンが輝く水晶体の角を持ち、その巨躯には大地を纏うように苔や植物が緑豊かに点在する。
三対の神竜の一つであり、ループを引き起こした張本人であるが現在行方知れずである。
【墳丘の怪】【Star-crossed】【白蛇伝】
⭐綿津見竜 ??? 無性別(♀️寄り)
(獣姿)?
ポニの双子島(日本)付近のとある広い海原、深い海底に恐らく彼女はいるのだろう。
かつて魔族を造り出した賢者達に力を貸したと片割れであるロヴィオは認識しているが、それは三対の竜の一つである彼女も他の魔族同様であるという事に矛盾を感じられる謎の多い存在。
世界の核にいる賢者達を見張っているというのがロヴィオの見解であるが、果たしてその目的と魂胆とは?
【千一夜物語】【赤い靴】
⭐賢者達/大精霊
神様が余所の崩壊間近にあった異世界から利用する為に拾い上げた双子の人外と五つの翼を持った人型生物の男達。
死を望まなかった彼等は自らを救った神様に感謝し、忠誠を誓って想像世界“箱庭”に多くの幻想生物である魔族を創り、送り込んだ。
神の存在となった訳ではないものの、今も尚世界の核の中に存在し神様の力になるべく与えられた使命を果たさんと奮闘して……いるかもしれないが、その実はその内の一人の策略により千々に離れてしまっている。
竜は封印、鳥は黒き海へ、長である兄は策略の内に操り人形とされ、弟である“黒”は銀の鍵と玉虫色の珠を手に地上にて暗躍する。
【アーサー王伝説】【小さな白い鳥】【変身物語】【カリュドーンの猪】
⭐ネクロノミコン・グリモワール ♂
諸悪の根源、混沌を呼び起こす者。
銀の鍵と玉虫色の光輝く珠を手に最後のループにて漸く目を覚ます事となる。
かつてのループではアルクレスを乗っ取って世界を混沌に染め上げていたがその幾度と計画は滞り、破綻し、失敗を重ねてきたが、漸く最後のループにて人知れず王手を懸ける事となる。
兄であるグリモワール・レメゲトンに酷く固執しており、目的の傍ら兄を苦しめる事を娯楽に興じては王国の影で操っている。
【銀の鍵の門を越えて】【ギルガメシュ叙事詩(反転)】
怪物は退治せず女神の妬みにて貶められた王、黒人形は、二人で一つ共に在り続けるが為の永遠を求め、銀の鍵を手にさ迷い続けて夢の中。
*****
【世界観設定】
⭐空想世界“箱庭”
一織が飛ばされた先の異世界。
幼少期のままの彼である“神様”が海や森、川などの景色を自らが考え配置して回り創った星の模型であり、そこに他の異世界より連れてきた生物作成に長けた“賢者”達と共に幾つもの様々生命を送り込んで出来た、正に惑星規模のミニチュアではない模型が並べられた箱庭である。
そこで生きる者達の歴史、行く先を見て楽しむだけの神様の箱庭には、本来世界を陥れる魔王やそれに対抗する勇者の存在はない筈だったのが突然湧いて出た魔王の噂と勇者の出現により、その観賞用である世界の運命は大きく変わる事となった。
⭐イーリシュやポニと呼ばれる地域。
“箱庭”は神様の故郷である地球の規模を小さくした模型である。
所々細かい場所は元とは違った地形をしている所もあるものの大体は差程変わらない。
神様により訳も解らず送り込まれた人間達は彼と故郷を同じとしている者である為に、自らの知識や故郷に似たそれに同じ名を付けて暮らしてきたのが代が変わるに連れて訛り呼び名が変わっていった。
ポニの双子島は日本列島に近しい島々であり過酷な自然に囲まれている為に港付近にのみ、人口が少ないものの暮らす人々は和装の出で立ちで、スケルトゥール王国がある反対側の地域は王都があるのがイーリシュ島、そしてエウロパ大陸と呼ばれる地域にも広く傘下に取り込み、他にも小さな国が各地に点在する。
“箱庭”の世界地図をみた一織曰く「イギリスが戦争に勝って大国になってたら、うちの世界もこうなっていたんだろうなぁ」と、スケルトゥール王国の国境の広さを見て思うのだった。
⭐人間達の系譜
上記の通り“箱庭”の人間達の先祖は元々、神様や一織と同じ地球から来た外来種とも呼べる種族である。
死んで行き場を失った人間達をまんべんなく取り込んだ為に其々の生まれ育った年代や出身地も様々で、彼等が名乗った出身地を元に後世にも伝わっていった結果、人間達は自らを証明するのに生まれ育った地域と共に先祖の系譜を名乗るようになった。
尚、多少発音に変わりはあるものの、彼等が使う言語の名称も系譜と同じものである。
広い範囲で使われているのはスケルトゥール王国を始めとするイーリシュ語である英語を元にしたもの。
⭐魔力無種族と魔力有種族
魔力無種族とは地球から転移された外来種たる人間やただの犬・猫・鹿などの動物の、魔力保有を生命活動に必要としていないもの。
それ以外の魔力を取り込み扱うことを可能とする在来種の“魔族”の魔物や魔物と人類の混血種である亜人(魔人)も含め、それらを魔力有種族とする。
これは近年とある人物が定めた、単純に魔力を保有出来るかどうかの区別である。
例外に勇者とされる人間は唯一魔力保有を可能とし、特殊人種と定義し、在来種と人種のハーフ達とは全く違う存在とする。
蛇足だが在来種と人間が交わって生まれた子孫達である亜人は、果たして人類に含むかは未だ偏見と差別を理由に議論の最中である。
⭐人間が使う魔術と魔族が使う魔法
元来人間は魔法を扱うどころか魔力を保有する事も出来ない。
しかし実体のない概念たる精霊と契約し双方の魔力と生命力のパイプ線を繋げる事によって魔力を扱う術を人類は得る事が叶った。
結果、精霊と契約を果たした人間は借りた魔力で物理学や化学反応に基づいて物質を操作し発現しえる“魔術”なる技法を編み出す。
魔力有種族が魔力を扱い行う事は“魔法”と呼ばれ原理を解明するのが難しく、森羅万象の事象を理解して初めて発動させる魔術とは別個の魔力操作法であり人間には扱えない。
例えばの話であるが、魔術は正しい知識によって魔力で物を動かしたり組み換え/組み立てていくものであり、必要材料必要量が足りなければ完成しないが必要最低限の魔力量で扱える。
魔法は魔力そのものを別物質に変化させる為、魔力保有量によっては出来ることと出来ない事がある。
⭐精霊とよばれるもの
魔力の煮凝りとも言える生物と無機物の境目にある物体。
人類はこれと契約し使役する事で超常の力を使うことが出来るが、様々な理由があって契約すれば全員が使えるようになる訳ではない。
精霊には二種類有り、もう一つを“大精霊”と呼びそれは賢者の別称でもある。
精霊と違い異世界からの全くの異物である彼等はそれぞれが様々な魔術知識と魔法技術を極めている為に非常に魔力の扱いにも長け、“名付け”により存在を確立させた上での存在の固定化をさせる特異な存在の為別段誰と契約するまでもなく自らの自我を持つことが出来る。
しかし欠点として、“名付け”自体に不具合があると酷く不安定になりやすい。
⭐
住む世界を失ったもの、神に見放されたもの、転生する先がないものなど、爪弾きにされたものが集まる外宇宙にある星海の一角。
神々は此処に不要なものを手放していくのだが、その所有権を放棄された要らないものばかり浮かぶそこを、何処かの欲しがりで変わり者な少年神は“掘り出し物市”のように思っている。
事実、誰のものでもなくなったそこに浮かぶものは持ち帰るだけで所有権を得ることは可能である──それに意識が無ければ、の話だが。
長くそこを漂っていくと、軈てその先にある“廃忘孔”の黒き海へと堕ちていく事になるだろう。
⭐廃忘孔
忘失海域の更に奥にある、堕ちたら最後、誰からも忘れ去られてしまう忘却の黒海。
基本的に在ったものは完全に消失させる事は出来ず、その代わりにそこへ捨てて忘れる事で存在否定をする為の場所。
そこには捨てられて長く時間が経ってしまったものも多く、腐り、爛れ、穢れ成り果てた不浄が多く積もる為に、不浄を酷く嫌悪する神々は汚染を恐れ近付くことは叶わない。
故に神へと昇華する際に得たいものに対する代償を、一度捨てれば二度と当人に帰る事はないその黒海に捧げ手放してその“報酬”を受け取るに使われる。
勿論入ることは誰にでも出来るが、閉じた世界である為に出るのは困難で脱出する“手段”が無ければ永遠に不浄に埋もれ、その身を黒く穢し融けていくことになるだろう。
その成れ果てこそ、黒き海なのだから。
⭐黒に輝き赤き稲妻走る多面性結晶体
外宇宙にある要らないものを棄てる場所、“廃忘孔”に打ち捨てられていた宝石。
光の届かない暗闇にそれが在ると混沌を呼ぶ忌まわしき“邪神”を呼び寄せる、その為の装置であり、そしてそれは閉じた暗闇世界である廃忘孔に在った。
何処かの誰かが不要になり、捨てられていたものに引き寄せられた“誰か”は居たけれども、もう一つの存在によりその“誰でもない”それは正しく名前を思い出したが為に邪神降臨は叶わず終わった。
誰が仕組んだ訳ではない、事故のようなそれによって出逢った彼等を起点に、とある夢のような世界の命運を大きく変える事となる。
宝石の名は【輝くトラペゾヘドロン】、這い寄る混沌を召喚する為のアーティファクト。
⭐他の異世界について
少年神が作った本に綴られる夢の理想郷の他に、この作中では三つの異世界が存在を明かされるだろう。
一つは魔法もなければ勇者も魔王もお伽噺とされる変哲もない現実的な世界、二つ目は“親”が強い権限を持つ人形劇を模した見世物の様な鳥籠の世界、三つ目は引き込まれた“子”の望みを叶える温かくも退屈な揺り籠の世界。
人形劇の世界では“役割”を与えられた者は“特別”になれるだろう。
皆が愛し、皆に慕われ、困難は在るけれども仲間と共に打ち勝っていく。
そんなシナリオ通りに動いていれば、女神もきっと喜んでくれるだろう。
与えられた感情を糧に生きる人形は彼等の喜びこそが自身の喜びに繋がるのだから。
しかし演じたその劇の
誰もが羨む美貌を持つ嫉妬深い彼女は、名前を与えた
揺り籠の世界では“子”は愛玩の如く望むままに愛でれられ豊かに過ごす事が出来るだろう。
女神に見守られて安全に穏やかに甘やかされていくそこでは、欲しいものは好きなだけ与えられ、嫌なことは彼女が無くしてくれる──但しそれと引き替えに、あらゆるものが満ち溢れる世界で“子”は自ずと成長を望まなくなっていく。
無邪気な子供のままで、母の愛に満ちたような温かな揺り籠で女神に抱かれて、その余りの心地好さに軈て眠りに落ちた子は目を覚まさなくなる。
すると無駄を嫌う怠惰な彼女は眠ったそれを見捨ててしまうだろう、だって目覚めないものを甘やかしたって詰まらないのだから。
箱庭の世界では皆好きに生きることが出来るだろう。
その裏でどうすべきか何をするべきか決められた道筋を歩かされているのだとしても、彼等は神に捧げる娯楽として物語の中で生き続ける。
純粋無垢なまま、子供の様に無邪気なままで、停滞の平和の中で穏やかに過ごせる夢の理想郷では“有り得ない”を実現出来るからこそ成りたいものに成れる。
そう在るべきと思う程に、環境が彼等を“そう”成る様に導いていくのだ。
そして夢の世界では現実には“存在しない”もの程力は強くなっていく、だからこそ【神】【魔法】【勇者】【創作物】【そこにいない者】は何よりも強い。
その世界では成長を望む者に過酷さと困難を与えるだろう、夢見る子供のままでいる方が、現実を見ないでいる方が幸せなままでいられるのだから。
⭐
世界その物である“誰か”を鏡写した、全てが終わったその後に新たに作られた内側にして裏側たる世界。
子供の夢を映す
存在しても干渉出来ない、矛盾まみれで曖昧模糊を形どった彼の在り方に沿い、お茶を濁すようで
そして表世界でどの様な事象が起きていようと、今過去未来全てが等しく存在を赦され、同時に誰もがそこでは一時の安息を約束されている。
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