第2話 決意
「おはよう、匠。今日はゆっくりだったのね。土曜日だからって寝過ぎは駄目よ?」
「おはよう、母さん。夢が衝撃すぎてさ。鑑定って言うスキルが使えるようになったって言われる夢だったんだー。母さんに使ってみても良い?」
「いいけど、無理だと思うわよ?夢は夢なんだから。」
「じゃあやってみるね(笑)《鑑定》」
【名前:三崎麻美】
【年齢:45歳】
【状態:肺ガン】
【その他:ステージⅢ】
!?…母さんが肺ガン?
「…ねぇ、母さん。体調におかしな所とかってない?」
そう僕が聞くと母さんは明らかに動揺した様子だった。
「えっ…?な、なんの事?」
「例えば…、“ガン”とか、ね」
「!?まさか本当に鑑定ができたの?」
「そうだよ。ステージⅢなんだね…。」
「えぇ、そうよ…。ごめんなさいね、黙ってて。」
「もう一つ、夢の中で貰った力があるから…。ちょっと待っててね。」
僕は冷蔵庫に有ったスポーツ飲料を取り出し、2つのコップに分けて、1つ目には『ガン完治』、2つ目には『切り傷完治』を付与した。
「母さん、もう1つの力は“付与”って言うんだけど、見てて」
そう言って自分の指を軽く切って見せた。
怪訝そうに見る母さんに
「付与っていうのはね、物に効果を付けることを言うんだけど。今回はデモンストレーションで、この傷を治すから。それで治ったら、母さんのガンに効くように付与したもの、飲んでくれる?」
とお願いした。
「それはいいけど、本当に治るの?ラノベじゃあるまいし…。」
「じゃあ見ててね。」
ーゴクンー
付与したドリンクを飲むと、みるみるうちに傷が塞がっていった。数秒すると傷があったとは分からないほどだ。
「ね?母さん。治ったでしょ?これ飲んでみて。あと病院に行って見てもらってね。」
怯えながらも、覚悟した様子で一気飲みをした母さん。
「母さんの状態を《鑑定》」
【状態:良好】
ホッと一安心だ。
「なんだか体が軽くなったわ。丁度今日病院の日だったから、みてもらってくるわね。」
そう言って母さんは出かけていった。最近ため息の多かった母さんの明るい表情に、安堵のため息をついた。
僕はこの力を使って、人を助けたり喜ばせたりしたい。
幼い頃の夢だった、人の為になる事をしよう。そう決意したのだった。
そして僕は行動を開始した。
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短い物語ですが、楽しんで頂けると嬉しいです。
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