第4話 授業中
つい夜更かしをしたので、授業中はうっかりうたた寝を決めてしまいそうになる。
そんな昼休み終わり直後の授業中はどうしても集中力がなくなるというものだ。
まぁそんな事はさておき。
さておきだ。
何故か隣の席から視線がちょくちょく来るのだ。
俺……なんかしたかな。
自分のしでかした出来事なんて高校に入ってからはないと思いたいが、それでも無意識のうちに失礼な事をしてたのかもしらん。
まぁ、仮にやらかしたとしても僕にできる事なんてなにもないけどね☆
が、それでも視線が気になるというものでつい目線を二条さんの方向に向けてしまう。
「……ッ……」
………目線をそらされてしまった。
……うーむ分からん。
コレもしかして僕のせいじゃなくて、何か困りごとがあるのか?
そういや二条さん普段眼鏡かけてるけど今はしてないな。
もしかして黒板見えずらいとか?
………
「あー、二条さん」
「……ん…」
「黒板見えずらいなら…ノ、ノート…僕の見る?」
「……?……あ……うん……ありがとう…」
「う、うん」
相変わらずの自分の会話下手さに嫌気がさすも、なんとか困りごとを察せる事ができたらしい。やったね。
「……もうちょっと、近くに寄っていい?」
「え、うん」
そういって二条さんは椅子ごと席をこちら側に近づける。
なんていうか、いや近くに寄っていいとはいったが、滅茶苦茶近い。
なんか隣からめっちゃいい匂いするし、やばい好きになりそう相変わらずチョロいな俺。
「ふふっ……」
なんか隣で口元に手をやり微笑を浮かべている。
見るからに上機嫌そうだ。
二条さんが笑うなんて珍しいんじゃないか?
な、なにか可笑しかったか?これは聞いた方がいいのか?
「ど…どうしたの?」
「いや、僕って言うんだなって……」
一人称の事だろうか。
中学時代のあることがきっかけで、高校からは一人称を僕にしようと決意したんだけど、やっぱり高校生にもなって僕はまずいか?
「へ、変かな?」
「…ううん、私は今のままでもいいと思うな」
「そ、そうなんだ……」
「うん、そうなんだ」
なんか他人事みたいになってしまった。
「ふふっ……」
唐突にまた二条さんが笑う。
「な、なんすか…」
「いや、可笑しいなと思って。だってずっとおどおどしてるし」
そ、そりゃあ貴方みたいな美少女に話しかけられたら誰だってそうなるでしょうに……
なんていえる筈もなく。
まあ、機嫌よさそうだからいいか。
その後は何事もなく、二条さんが俺のノートを見て写したりして時間は過ぎる。授業も続く。
「あ、これ……次当てられそう……ねぇ、神崎くん。この問題……分かる?」
「あ……う、うん多分だけど」
そんな事を言いながらも内心この男はドキドキうきうきしている。
こういうシチュエーションのために神崎は予習を毎日欠かさない。
なんていったって以前隣の席の女の子に授業の分からない問題を聞かれて自分も分からなかった為に、申し訳なさやら恥ずかしいやらで気まずい思いをしたからだ。
幸い友達という友達もいない為、勉強する時間はたっぷりあるのだ。
一通り教えたけど理解してもらえただろうか?
「…うん、わかった。ありがとね」
「あ、そ、それならよかったっs……」
「……うん……」
二条さんはご機嫌なようで、うすらと笑みを浮かべながら、目線を前に戻した。
まぁ、どうやら俺の努力は報われたという事で。
良しとしますか。
その後も眠い授業は続く。
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