【2巻重版感謝!】SS;演劇隊
「ラビ!
とうとうこの日が来たね!」
「ええ、そうね!
とってもワクワクするわ!」
炎鳥だったリアちゃんがグリフォンとして再び契約してから、数週間。
リアちゃんにはしっかりと
実はリアちゃんが炎鳥時代、私の小説に感化されてとある試みをしていたの。
それが……。
「来な!
私の特別眷族!
演劇隊!」
__チュン……チュンチュン。
__チチ……チチチチ。
__ココ……コケッコー。
(※緑の蜥蜴じゃないよ。by嵐)
__ポポ……ポッポー。
崖を挟んだ向こう側でちびっ子グリフォンが元気に叫べば、どこからともなく多種多様な鳥達の鳴き声。
羽音と共に鳴き声も大きくなってくる。
「まあまあ、何という事でしょう!
可愛らしい鳥の演劇隊ね!」
崖のこちら側にある切り株に腰かけて見守っていれば、リアちゃんの眷族ちゃん達が20羽程集まった。
リアちゃんは不死鳥時代もあってか、眷族ちゃん達の姿は鳥類の子達ばかりなの。
世間一般的に精霊って言われる目に見えない子達も、そうでない子達も皆、鳥の姿を纏っているわ。
今現れた眷族ちゃん達は皆、姿を顕現化させている。
「さあ、皆!
まずは位置につくんだ!
日頃の成果をラビに見せつけな!」
リアちゃんの言葉で演劇隊はババッと飛び退く。
「それでは、はじまり、はじまり〜」
__カカカカカ!
リアちゃんの言葉と同時に、舞台袖の木に飛び移っていたキツツキ姿の眷属ちゃん達が、一斉に嘴で木をつつく。
更に舞台の脇にいたリアちゃんが、口からファイヤー。
1度炎幕ができてから、ふっと消える。
すると簡素な着物姿の衣装を身につけた、見た目がニワトリのお爺さんと……雌鶏かしら?
現れたの。
お爺さん役は顎の下に髭をつけているから、お爺さんなのねと納得。
けれど、もう一羽は羽毛に覆われているから何役なのか、良くわからない。
「コケコッコー!」
(婆さん、今かえったぞ!)
「ココココ」
(お爺さん、今日もご苦労様)
お爺さんが背負っていた薪を下ろしたら、雌鶏……お婆さん役だったみたい。
お婆さんはただいまのハグで迎えて……。
「コココ、コココ?
コココ、コココ?
コココ、コケッコー?」
(爺さんや、お風呂にする?
ご飯にする?
それとも……ワ・タ・シ?)
いつまでも新婚気分を大事にする
照れて両翼をほっぺに添え、身をくねらせているのもチャーミングよ。
「コケー!
コケッコー!」
(そりゃあ、決まっとるじゃろう!
お・ま・え・じゃー!)
バサバサッと翼をはためかせてお婆さんを押し倒すお爺さん。
突然のR18展開……。
ディアが隊長の所に遊びに行ってて良かっ……。
__ヒュッ、ゴッ。
「ゴゲッ」
あらあら?
どこからともなく、前世のボーリングボールくらいの桃が飛んできて、お爺さんにクリーンヒット。
鈍い音がしなかった?
お爺さんの鳴き声も、何だか鈍かったような?
まあまあ、転がって舞台のある崖から下の川に転落……これ、演出よね?
「ポルッポー!」
(桃から生まれた鳩胸太郎!)
「コケコッコ〜!
コッココケー!」
(お爺さ〜ん!
洗濯中に拾ったこの子と幸せに暮らします!)
新婚ラブ・チュンチュンモードから、怒涛のハードモードな展開。
お婆さんの適応力が神がかっている。
__チュンチュチュチュッチュ、チュンチュチュチュッチュ。
(ドンブラコッコ、ドンブラコッコ)
雀姿の眷属ちゃん達が合唱し始めたわ。
でも私の記憶の昔話、恐らく桃太郎?
と違ってお爺さんが流れていくのね?
「コケコッコー〜……ブクブクブク……」
(アイルビーバ〜ック……ブクブクブク……)
あらあら、ダンディーボイス・コケコッコーと共に水面にお爺さんが沈んじゃった。
姿は鶏だけれど、仮にも聖獣の眷族ちゃんですもの。
大丈夫よ、ええ、多分、きっと……恐らく!
「ポーポー、ポポ、ポッポー!」
(お婆さん、いや、俺の運命の君!)
「コケ、コケッコー!」
(ああ、運命の鳩胸!)
ヒシッと抱き合う2匹。
……それにしてもどういう物語か、ちょっとわからなくなってきたわ?
桃から鳩が生まれたから、前世の日本昔話的な桃太郎?
それとも昭和の懐かし昼ドラマ的略奪愛?
それも桃からパカンと出てきたばかりの赤ん坊……いえ、鳥の成長は早いからきっと幼児よ。
幼児とお婆さんだから、かなりの年齢差を感じさせるショタ愛がテーマ?
けれどそれよりも大事な事がある。
リアちゃんの眷属ちゃん達だから、契約者の私は何を言っているのかわかる。
とはいえ鳥の鳴き声と相まって、物語が全く頭に入ってこないという異常事態に戸惑ってしまうわ。
「コケコケコケコケ……」
(ああ、いけませんわ鳩胸太郎様……)
「ポルッポ、ポルッポ、ポルルッポー」
(良いではないか、良いではないか、ういやつよ)
まあまあ?
突然の嫌がる町娘と悪役代官風?
鳩胸太郎が
「コケ〜コッコ〜!」
(あ〜れ〜!)
何だか前世のテレビで見たコントのよう。
町娘がクルクルと駒のように回り、最後は着物をツルンと剥がされた。
「ポッポッポー、ポルッポー」
(生まれたままの姿で巣ごもりしようぜ、ベイベー)
そういえば鳩胸太郎は登場した時からずっと
あら、良くある鳥の交尾のように、お婆さんの上に背後から跳び乗った。
これは真っ昼間の公開R18展開に……。
「チッチッチー、チチチッチー。
チッチチ、チチチチ、チチチッチー。
チッチチ、チチチチ、チチチチチー」
(ポッポッポー、鳩胸太郎〜。
婆さん欲しいか、それやれよ〜。
爺さん押し退け巣ごもりだ〜)
頭の中で可愛らしい子供の声で合唱が……歌詞は可愛らしい子供の声から逸脱しそうだけれど。
__カカカカカ!
「これにて第一部、終了だよ!」
__ボウッ!
するとここで再びのキツツキノックとリアちゃんの終演合図。
そして炎幕ファイヤーの後、ずぶ濡れのお爺さん役の鶏も、裸になるのかしら?
生まれたままの姿で舞台関係者全員が、整列して現れた。
皆でペコリと一礼。
どうしましょう。
最後までお話が見えなかったけれど……。
「……まあまあまあまあ!
素敵なR18舞台作品になりそうな、アレンジに次ぐアレンジ!
想像を上回る第一部だったわ!」
そうよね、今はとにかく褒め称えるべき!
チャレンジする事が大事なのよ!
それだけで大成功よね!
「チュンチュン!」
「チチチチ!」
「コケッコー!」
「ポッポー!」
「そうだろう!
第二部は……夜に開幕だ!
それまでにディアを寝かしつけておいとくれ!」
すると眷属ちゃん達は一斉に沸き、リアちゃんはとっても得意げ。
「もちろんよ、リアちゃん!」
とはいったものの、夜になり……。
見えるように顕現化した眷属ちゃん達は、皆鳥目の影響を受けて舞台から足を滑らせて川にダイブ。
言葉そのままの意味で、濡れ場が過ぎて閉幕となってしまったの。
__おしまい。
※※後書き※※
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
以前にお知らせしていた【稀代の悪女②巻】重版の記念SSです!
お知らせから遅くなっておきながら、いつもより長々とした話の割に、内容がアホっぽいSSで申し訳ないm(_ _)m
二巻から少し間が空いてしまいましたが、お陰様で三巻も現在進行形で刊行準備しております!
他にも告知できる状況になれるよう、関係者様達が総出で頑張って下さってます!
もちろん私も(*´艸`*)
今後ともWEB版、書籍共にお付き合いいただけますと嬉しいです(*´∀`*)
このすぐ後に本編も投稿するので、そちらもご覧下さい。
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