102.気絶と金髪組の勘違いと再びの呪い?
「公女のお陰で、今はな」
「同じグループだからと贔屓とはな。
こいつは蟲と戦ってもいない!」
まあまあ、こいつ呼ばわりされてしまったわ。
学園ではお前呼ばわりもされたし、家格君てば、私への扱いが酷くないかしら?
でも確かに戦闘は家格君同様お任せしていたから、間違ってはいないわね。
なんて心の中で家格君に賛同していると、あらあら?
大きなため息がラルフ君のお口から排出されたわ。
「公女の知識に生かされているとわかっていないのか。
今蟲が寄って来ないのが、たまたまだとでも?」
まあまあ、もしかしてお婆ちゃん、褒められてるのかしら?
やだ、照れちゃう。
「無才無能のこいつの知識がいつ役に立った?!
せいぜいが食事だろう。
義妹のシエナを己の能力が低くて努力もせずに妬んで虐げ、形だけの婚約者であるシュア様に嫌悪され、にも関わらず王子の婚約者の地位に縋ってしがみついておきながら何らの義務も果たさガッ……ゲハッ」
ゴッ……ドスッ……ドサッ。
効果音としてはこんな感じかしらね?
胸倉を掴むと同時にお孫ちゃんの右の拳が物理的に彼の左頬、次いで鳩尾にクリティカルヒットしちゃった。
胸倉から手を離すと、そのまま地面にうつ伏せに沈んだわ。
でも大丈夫ね。
さすが女性でありながら4年生になるまで騎士科で学んだだけの事はあるわ。
食べたばかりだけど、吐いていないから手加減したのね。
うちのお孫ちゃんはえらいわ。
気を失ったのは鳩尾ではなく、頬の一撃で脳が揺れたからよ。
家格君は動かなくなってしまったけれど、これで静かになるわ。
その様子を冷静に眺めているラルフ君。
殴った当事者で殴り足りないとばかりに拳を震わせて怒りの表情を浮かべるお孫ちゃん。
淑女の微笑みで静観する私。
「「「「……」」」」
それ以外の人達は唖然として黙りこんでしまったわ。
お口が開いているから、閉じた方が良いのではなくて?
「聞くに堪えない」
キリリと表情を引き締めたお孫ちゃんは家格君に吐き捨てると、こちらへ向き直って近づいてくるわ。
どうでもいいけれど、彼、ピクリとも動かなくなったのね。
まさかのショック死なんて事はないわよね?
本来なら魔法師でも体はいくらか鍛えていたりするのだけれど、彼は貧弱そうだもの。
いくらゴリゴリの反抗期真っ只中でも、若者が亡くなるのは胸が痛むのよ?
「公女、同じグループの者が重ね重ねすまなかった」
お孫ちゃんてば、またまた頭を下げたわ。
今度は先ほどよりも深く。
金髪組は先ほどと同じくらいね。
それにしてもこの2人の顔を上げたそれぞれの瞳に、媚びるような色が見えるのは何故かしら?
「それでもやはり私は、同じグループになった者を私は、見捨てるわけにはいかない。
そこの2人を信用できないのは承知しているが、頼む。
この2人だけでも明日から君達と行動を共にさせて欲しい」
「よ、よろしいの、かしら?」
「ミナ様は……どう、されるのですか……」
サブリーダーとしては妥当な判断ね。
でも金髪組は勘違いしているわ。
こちらが彼らをもう受け入れた気になっているのではない?
「2人共勘違いするな。
さっき彼らが話していた事を聞いていなかったのか。
気づかなかった私も悪いが、どうやらこのグループは昨年の卒業生から名指しで警戒するよう忠告されていたグループらしいな」
金髪組はビクッと肩を震わせたわ。
それくらいお孫ちゃんは騎士らしい殺気をこの2人に向けたの。
「お前達はこの森に入ってすぐ、私が離れたタイミングでこれから行動を共にする仲間に向けて精神感応魔法を使った。
これまでにもそんな事をしていたと私は判断している」
「そ、それは公子が……」
「マイティ!」
金髪ちゃんが家格君に責任転嫁しようとして墓穴を掘ったみたいね。
金髪君が大声で静止したけれど、もう遅いわ。
認めたようなものだもの。
「やはりそうか。
それで?
私が頼んだからと言って、この2年生達が君達2人を受け入れるなどと思いこんではいないか?」
「「え……」」
まあまあ、金髪組が再び静止画の呪いにかかってしまったのかしら?
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