わがままな詩人

たから聖

第1話 わがままな詩人……

小雨が降りしきる中……詩人は

思う。


タバコをゆっくりと口にくわえ

タバコに火をつえる。


ひとしきり煙の味を確かめると

椅子に腰掛ける。


【今日も長雨なのか?!あぁ

つまらん!!全く、何も出来や

しないじゃないか!!】



駆け出しの詩人は椅子を蹴飛ばし

激高した後、またタバコに火を

つけた。



何もかもを天気のせいにする

駆け出しの詩人は、

ひょうひょうと生きている

隣人が、妬ましかった。



【私が思案していると、いっつも

いっつも自転車のベルを鳴らしてくる!!邪魔でしょうがない!】


詩人は、隣人の姿を目撃する度

~怒りの~を

隣人宛にポストに投函していた。



隣人が貯まりに貯まった手紙を

数日後に受け取り、

封筒を開けていた。



そのシーンを目撃して詩人は

【クックッ】と……一人で

含み笑いをしていた。


詩人は、素知らぬ顔で声をかける。

お困りかな?

お嬢さん。』


と、罵倒のメッセージの手紙の

主である事を隠して、声をかけた。


隣人は……

『あ!!おじさん?実はね?』

と話し始めた。



その白く光るピチピチッとした

肌に、タイトなジーンズを

履きこなした若い女性が

話し始めた。



『私……おじさんだけに話すね?

実は、家を引っ越すの。』


若い女性は、困り顔をして詩人を

眺めた。


『この誹謗中傷のメッセージもぅ!!何処に引っ越し

てもあるの。困るわ……』


『もしかして……おじさん?』


詩人は咳払いをしながら答えた。


【あぁ、良く分からんな!】

とだけ答えて、会話に困っていると、


『そうだ!!おじさん。私ね

芸能界のオーディションに通過

したのよ?だから引っ越すの。

おじさんがファン1号かな?』



その若い女性が15通の手紙を

読み始めた。

1つ1つのメッセージを読み終えると……


【オマエが気になるんだ!付き合え!】

『と、頭文字を繋げると……

そう解釈出来るよね?』


若い女性は話しを続けた。



【おじさん。天気に怒り狂っても仕方ないよ?クスクスッ】


女性はさらに続けた。

【雨にね、語りかけると

空は、応えてくれるのよ?】


と言わんばかりに詩を、いとも容易く作ったのだ。


駆け出しの詩人は……全てを

悟った。



詩人は……怒りに震えながら

【私では!才能が無いって事か?!】

(こんなナメた女に!!)

詩人は……目が血走っていた。




【私はね?自然に

おじさんが、ずっと嫌いだったのよね?】



【なッ…………なにぃ!!?】



【あ!!トラックだっ!じゃあね

おじさん。サヨナラ~。】


若い女性は荷物を引っ越し業者に

指示を出し手早く片付けた。



1トントラックに荷物をたくさん

詰め込んだ女性は……

詩人に別れの挨拶をし


15通のメッセージ以外にも、

貯まりに貯まった手紙を、その場で詩人に、突っ返した。



『おじさん?おじさんに足らない

モノは心もだけど、おじさんには

多分……一生分からないのかもね?

テレビ今度見てね!

曲も決まってんの!!じゃ。』



そう言い残し1トントラックは

煙を放ちグロロロロッ……と

走り去って行った。





後日……詩人はラジオから

聞こえる元隣人の、甘ったるい声に過激なメッセージを……



送らずにはいられなかった。






~BADEND~

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わがままな詩人 たから聖 @08061012

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