第50話領主会談
現在町の中を魔導車なるものに乗車し領主の館に向かっている、日が暮れるまで飲んだ後、兵舎のようなとこで持て成され再度飲み会に突入。
そりゃ醸造技術の進んだウイスキーやブランデーここではラガーかな。透き通るグラスに氷を放り込みロックでカパカパ飲んだら大盛り上がりでしばらくしたらみな酔い潰れてしまった。
案内された部屋で休んでいるとエステリちゃんが部屋に薄い下着で入って来て、顔を近づけると少し酒臭い息を吹きかけて来て――まあ、汗に塗れるダークエルフ……素晴らしかったな。
跳ねる跳ねる、踊る踊る――なにがとは言わない?
子供ができたら責任とりますよ……ほんとだよ? エステリちゃんはまだお疲れの様子で隣で寝ています。
頬にかかる銀糸の髪の毛が太陽の光を反射してキラキラしている。頬と唇はほんのり紅く、褐色の肌は健康的だ。引き締まった肢体に背が高く抱き心地も最高だ。
指で頬をつつくとプニッと反発力を伴い帰って来る、この美貌でまだ未経験だったなんて――最高かよ。
下世話な内容はここまでにしといて、部屋の中にはシャワー室みたいなものがあり取っ手に魔力を流せばお湯が出てきますよと案内されたのだが……魔力ねえじゃん俺。出ねえよ。
仕方なく懐かしいポリタンクの水を頭上から浴びて体を洗い流す。エステルちゃんを起こそうか考えたけどあんなにすやすや気持ち良さそうに寝ているのに起こすなんて鬼畜の所業できない。
洗い終わりタオルで拭いているとエステリちゃんが起きている、寝ぼけ眼で腰に抱き着いてくるなんて――。
◇
シャワーを二人で浴びながら今日の予定を話し合う、なんでも領主と面会をお願いしたいらしい先方は竜人様のご都合がよければ歓待を、お迎えに上がりますと下に置かない対応をされてしまった。今まで雑な扱いしかされたことなかったのに……異界最高かよ。
このまま永住してもいいかな――と考えさせられるまでが赤柱の罠かッ!
『絶対ちがうですぅよぅ~スケコマシの死人ぉ~』
そんなこと言うなよ子供は一杯いた方がいいだろ?
ではお願いする。と偉そうに返事しておいた。特注の最高品質の地球製スーツをパリッと着こなし、エステリちゃんには純白ドレスと宝飾品が満載のティアラとネックレスを進呈、さりげなく薬指にシンプルなダイヤの指輪を嵌めてある。ふふふ、地球の文化を分かるまい。
装いを綺麗にされて凄く幸せそうなエステリちゃん可愛いなあ。こちらに気づき腕を絡ませてくる。おっと、平常心平常心。
城下町を魔導車なるものに乗りゆっくりと進んでいく、前後には儀礼兵が馬に跨り先導する。なにこれ結婚式かな? 両サイドには住民の皆さんが手を振ってくれる。
よし、サービスでお菓子の木箱を配ってやろう。あ、兵士さんちょっといい? うんうん、そそ、これ配ってよ。一本これ上げるからお酒ね。
簡素だが品のある木箱に入ったクッキー詰め合わせを大量放出する。もちろん住民の方々喜んで大きく手を振り始めどこから持ってきたのか分からない花びらを撒き始める。どうもどうも~。
さすがにお姫様抱っこで宙に浮くのは悪乗り過ぎるかと思い踏み止まる。
街並みはレンガ造りの建物が多く、中世的な感じにもかかわらず要所要所技術が進んでいる。
街灯みたいなのもあるし、何なら魔銃なるものもある、名称は俺が分かり易いように翻訳されているが大体あってればいい。
外敵が多いと技術が発展しやすいと聞くしね。こっそりエステリちゃんの太ももには小型のハンドガンを装備させてある。試射をさせるとびっくりしていたな。魔力を使わずなぜ……と。
ここの異界の住人を悪く言うつもりはないが核石みたいな魔石が体内にあるのだと思うエステリちゃんを少しだけ同化して調べてみた時にも存在していた。もちろん見返りに多少リソースを流してあるけどね。
恐らく戦闘すると気付かれるだろうな。
リソースは基本器を拡張したり演算領域が広がる、情報イデアとは生命そのものだからな。
今回エステリちゃんに施したことにより魔法の演算速度が上がり速度と威力が上がりそう。
到着はしていないが視線の先には立派な城が存在感を強調している。城は威圧感と権力の象徴と言えべきものだからな。
城かっこいいなあ、日本の住宅も快適なんだけどあの無駄に立派で豪華なのあこがれるな、もちろん冷暖房効かなさそう。電気代だけでもすごい事になるよあれ。
「エステリ、あれが領主の城か、立派なものだ」
「竜人様をもてなすにはいささか貧相ですが……申し訳ありません」
「よい、十分もてなされておる。エステリと我の中ではないか、もっと気安くしてくれ」
「――はい」
そういうとしっかりと抱き付いてくる。頭をグリグリ擦り付けないの。
周りの兵士たちがビックリしてるよ? こっそり兵士たちにエステリちゃんのことを聞くと鬼教官で有名だったらしい。恐ろしく美しいが嫁には……ということで婚期を逃していたらしい。それで俺とこうなったことでみんなでおめでたいと喜んでくれたようだ。
◇
大きな城門が開き魔導車が停止すると降車する場所には絨毯が引かれており案内される、大きなエントランスには豪華な衣装を纏う金髪イケメンエルフが
立っている。
こちらに歩み寄り膝を付くと。
「ようこそおいで下さいました竜人様、私如きの城でございますが歓待させてくださいませ」
「うむ、感謝する。実用的なものではないが我の異界では珍しい鉱石の宝飾品だ挨拶の品を受け取手欲しい」
そういうなり必殺指パッチン。巨大な金細工の施されたルビーの宝石をこれまた宝箱のような小箱に入れて手渡す。
丁寧に加工された宝石は見る者を魅了するかのような艶やかな光を纏い存在を強烈に主張している。
「おお、竜人様の世界のですか! 大変なものを頂きありがとうございます。ではどうぞ中へ」
そういうと兵士たちはエントランスに並び警備に戻る。どうもありがとねとこっそり小瓶のウイスキーを渡す。喜んでもらえて何よりだ。
「竜人様それは何の小瓶で?」
「何、ウイスキーという我の世界に誇る酒だ。どれ飲んでみたまえ」
キラキラ光るロックグラスに丸い氷を落とし琥珀色の薫りの美しい液体を注ぐと領主に渡す。
「歩きながらだが飲んでみるといい、まだ量はたくさんあるのだ気にせずともよい」
「では――――なんて芳醇で薫りのいい酒か――素晴らしいッ!」
そうかそうか、それ二十年物だからね。気に入ってもらうと嬉しいな。
食堂室にはものすごく長いテーブルがあった一番の上座に座らせようとするが。
「なに、酒と食事は対等に食べてこそ仲が深まるもの、どれ――これでどうだ?」
大きなテーブルではなくこじんまりとした、古木を組み合わせ中心に川が流れている様な細工が施されたテーブルを出す。領主は驚きよく観察している。
「これならば仲よく対話できるだろう。大きなテーブルもいいが偶にはいいのではないか? もちろんそのテーブルも進呈させていただく」
◇
テーブルの上には色とりどりな料理が並べられている、ここの食材は不思議なものが多く、紫色なのに甘い野菜や地球さんとは比べ物にならないくらい肉汁の溢れるステーキなどかなり堪能させてもらっている。
「ここの料理は素晴らしい、特にこのステーキなど初めて食べる美味しさだ」
「気に入っていただけたようで何よりです。竜人様はなぜ此処の街にいらっしゃったので? 質問は失礼かと思ったのですが気になったので」
「気にする出ない、気楽に聞いてくれ。――赤柱にここに招かれてな調査するうちにこの街を見かけただけよ。騒がせて悪かったな。詫びにちょっとしたものをプレゼントしよう。そう我が銀の巨人より劣り、鹵獲品だが黒い巨人を進呈しよう」
「そ、それは誠ですか! ぜひに!」
それならばと中庭に移動しハンガーを解放する。遠隔起動させハンガーから歩いてでてくる。
「お、おおおおッ! このようなものを頂けるとは!」
「色々と制約もある。まずは使用者登録をしてからだな。時間はまだある乗りたければ教えるぞ?」
「私も乗りたいです……竜人様」
後ろに控えて慎ましく待機していたエステリちゃんも聞いてくる。あまり相手できなくてごめんよ。
「そうかそうか、ではエステリにもプレゼントしよう。一緒に乗ろうぞ」
それから機体に乗りはしゃぐ領主に、それをひやひやしながら見守る執事やメイド達、メイドさんにあまり反応をしていないが十分綺麗だ。だがエステリちゃんが眩しすぎて。
エネルギーキューブが無いと動かないことや登録者しか動かせないこと、登録方法等話しているとすっかり夜遅くになってしまった。
「ぜひ宿泊されて行ってください。部屋を用意します。あの空戦機とやらはすごいですなぁ! 空を飛び! 駆け抜ける! 人生最高の日です!」
おもちゃをもらった子供のようにキラキラしてるよ領主君。あ、名前はアードルフ君だって。
エネルギーキューブも大量に置いていったから相当持つと思うよ。
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