第35話敵討ちに挑む!

――黒柱のリソースを獲得しやがりました

――黒柱のリソースを獲得しやがりました

――黒柱のリソースを獲得しやがりました


 目標沈黙、破壊完了。

 あれから機体の腕を修繕したのち三柱の黒柱を掌握のち破壊に成功する。おかげさまで未使用の機体が溜まって来た。後半は乱雑に積み上げていたな。

 だいぶ慣れてはきたが辿り着く前から機体が待ち伏せしてくるのはちょっと頂けないな。モノリスを吸収することで演算領域は上がるものの機体のスペックが頂けない所詮使い捨ての量産機のようだ。


「ミコトちゃん機体に副腕か射撃腕接続できそう?」


『すぐにはむりでぇす。モノリスに機体の運営データが残ってましたので解析して製造まで時間がかかるでぇすよ?』


「了解、一度帰ってハンガーを整理しますか」


 音の壁を破壊し加速jする、直ぐに減速するも拠点周辺に辿り着く。


「ついでにゾンビを殲滅と索敵をしていこう。マーキングお願いしていいかい?」


『旦那様の為ならぁ~、索敵開始....目標確認、マッピング及びマーキング開始します』

 

 半径に二十キロ圏内の索敵を行う、これ以上のデータは必要ないからな。索敵はかなりの性能なのだが現在の機体の装備と性能がキツイ。さすがに同型機が十倍以上いると死にそうになる。


『近くにいる集団を確認殲滅しますか?』


「もちろんだ、射撃任せる」


『射撃開始』

 

 眼下に居るゾンビが消滅していく、集落のようになっていたようだ。粗末な家のようなもの、何かを祭り立てるような祭壇、全てをビームガンが焼き尽くしていく。今回のゾンビは多脚タイプで上半身は人間のようだった。進化の速さを考えるといつか人間が淘汰される日が近いのかもしれないと思う。


――ゾンビーポイントを獲得しやがりました


 山の麓に穴を掘り鉱石を採掘して食べている、ゾンビの食性が鉱石なのは初めて知った。採掘できそうなポイントを探せば見つかりやすいのかもしれない。洞窟の入り口に念入りにレールキャノンを撃ち込んでいく。ピッケルみたいな道具を製作する知恵が湧いている。なぜが人間より人間らしい表情が見えた。小さな子供ゾンビが蒸発する瞬間を見てしまったな。


――ゾンビーポイントを獲得しやがりました


 人間が捕まっているのを発見する、直ちに救出行動をとる、葦のようなもので縛られており火にくべられている、標的と近い為降下し、ダガーで切り刻んでいく。サイズが違い過ぎる為に小さな虫を潰すように足でストンピングする。殲滅を確認し。ハッチを開き男の元へ行く。


「大丈夫か?」


「た、助かった。仲間がいるんだ助けてくれッ!」


「どこだ?」


「むこうだッ! 俺だけ連れてこられたんだ! あんたすげえの乗ってんだな。乗せてくれよ?」


「断る。そして死ね」


 ブレイドモードを展開し顎から後頭部に切り上げる。血が首の中心から噴き出し力を失って地面に倒れる。こいつの仲間はどこにもいないのは確認済だ。恐らく損をしたから少しでも儲けようとしたのだろう。助けて嫌な気持ちになるのも久しぶりだな


「帰るぞ」


『あいあいさぁ~』







 モニターに映る夕日がまぶしい索敵を続けながらもエネルギー消費効率のいい巡航速度で周辺を索敵していく。そういえばまだマザーに遭遇していない。色々な種類のゾンビ毎にマザーがいるはずだ。おかしいな、警戒されているのだろうか。


『死人さん~』


「どうした? マザーがいないから何故かと思っているんだが」


『防壁破られてますよう?』


「うっそだろおい」


『モニター出しますよう~』


 モニターに映し出されたのは巨大な亀のような図体に四肢が人の手をしていて顔の部分は、がしゃ髑髏のように眼球が存在していない。


『死人さんッ! 友軍機ががしゃ髑髏に取りついていますッ!』


「通信入れろッ! オイッ! 死人だ! 撤退しろ、ダガーのみじゃどうしようもないッ! 早く引けぇ!」


『援護射撃開始します』


 撤退を促すも一機だけは、がしゃ髑髏の頭にダガーを刺し取りついている。


「おい、撤退しろっつってんだろうがッ!」


『こいつがお母さんをッ! こいつを殺すッ!』


「ッチ。朱里か、ミコト、機体を回収するからタイミングよく機体をハッキングして停止させてくれ。プログラムを仕込んでいるだろう?」


『了解。カウント開始します。5.4.3.2.1.0.停止しました』


 カウント0に合わせ機体の胴体を掴み一気に加速する。防壁外に撤退していた機体の元に着地しハッチを空ける。


『機体を見かけた奴が連絡しているかもしれない、接収しに来たり攻撃される前に殺せ』


『了解』


 ハッチを空けるとそこにはギルドの幹部が集合していた、停止させた機体のハッチを開け朱里を無理やり連れて来る。


「邪魔しないでよッ! あいつがお母さんを殺したのよッ! このッ! 離せッ!」


「一度しか言わない。まずは落ち着け」


「うるさいッ! 離せッ!」


『ミコト睡眠剤を』


『あいあい~』


 腕を捻り地面に押し付け首元に注射器を刺す、数秒後深い眠りに落ちる。振り返り幹部連中に話しかける。


「状況を説明してくれ」


「おいおい、後で怒られてもしらねえぞ。ま、冷静さを失えば仲間まで巻き添えになるからな。こんな状況じゃ俺でも今の行動を賛成するぜ。二時間前に防壁都市内のギルド員より連絡があった。防壁が破られて超大型マザーが来たってな。うちのメンツが避難するまでに少しでもヘイトを稼げればと思ってな。すまねえ」


 率先して賛成し話を促してくれたか。源三はギルド長なだけある。


「ウチの戦闘部隊もあの隠し拠点だよ。家族の安否は確認できているが雑魚ゾンビ共が防壁をちらほら超えて行ってるねぇ」


「同じく兵站部隊も隠し拠点っす」


「衛生部隊のメンバーは防壁都市に多少いて避難誘導を行ってるわ」


 どうするべきか。戦闘軌道にまだ慣れていないメンバーを破られた防壁中心に配置した方がいいな。助けたいと思っているならの話だけどな。


「お前たちはまだ戦闘軌道に慣れてない、恐らく軍人共が機体を接収しに来るだろう。ギリギリまでなら防壁へ侵入するゾンビへの援護を許すが認められるか? もちろんマザー級は俺が殺しに行く。友人知人が避難完了次第撤退してくれ。それが俺が現在許せる範囲だ。もちろん命令する権利なんてないが接収の際に軍人とやり合えるならいいがそうではないのだろう? やるなら俺がぶっ殺してやる。その上で返事をくれ」


「ギルド長として死人の提案を支持する」


「兵站部隊支持します。ボスに突っ込むなんて一番危ないとこになってくれるのに我儘なんて言ってられないっす」


「私もボスぶっ殺しにいきたいけどさすがに戦闘軌道は自信ないわね支持するわ」


「衛生部も支持するわ避難の時間ぐらいなら稼げそうだしね」


「…………」


 静里は沈黙を守っている、悩んでいるようだ。


「俺に任せろ静里。絶対にお母さんの仇を取って来る」


「わかった。お父さんにお願いする」



「え、娘だったのね。今更知ったわ」


 三重の抜けた突込みに少し雰囲気が柔らかくなる、こういう女はいいよな。


「三重、そういうとこ良いと思うぞ?」


「お父さん浮気? チクっちゃお」


「あらあら、嫉妬深いともてないよ? 阿岸妹?」


「はいはい今から機体の武装を出す。すぐに装備して戦闘行動に移ってくれ。あくまで援護防壁の外でな。もし接収部隊や撃たれたら言ってくれ。通信は常にオープンにしておくからな。装備はレールキャノンにビームガンだ」


 朱里をハンガーの簡易宿泊施設に寝かせると機体を操作して装備は支給していく。


『使い方はさっき説明したとおりだ。防壁内に侵入された際は上から撃ち下ろせビームが街中に飛んでいくととんでもないことになる気を付けてくれ。通信を傍受はされないだろうがイニシャルで呼び合ってくれ。では作戦開始』


「G了解」「K了解」「M了解」「A了解」


「えっとAはいるからS了解?」



――ミッションを発令しやがります

――超大型指定特殊個体ゾンビを殲滅せよ



 さあ仇を取ろうか。

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