第34話空中戦は流れるように刺すべし!

 日付が変わろうとする頃、朱里が部屋に静里が起きた事を教えに来たらしい。足早に向かうと静里は上半身を起こし軽食を食べていた。


「お父さんありがとう、助けに来てくれたんだよね? 嬉しかったよ」


「もちろんだ。安全の為に明日にでも新装備を渡すからな? なんとあの黒柱を攻略したんだよ? 近未来武器一杯だから楽しみにしててくれよ?」


 まだ寝起きで病み上がりだし部屋に帰るか。


「とりあえず今はまだ寝てなさい、また明日な?」


「お休みなさいお父さん」


「死人お休みなさい」







 のんびりと朝食をとるとギルド員がすでに動き出している取り敢えず入り口付近に昨日の五機を出しておく。


『ミコトちゃん遠隔で自爆プログラム組める?』


『できますよぅ~死人さんもえげつないですねぇ~そういう所に痺れるぅ~』


 早速システム構築を使いこなしているみたいだな、もともと互換性のあるシステムなのか相性がいいんだろうな。演算領域拡張にモノリスが活躍したみたいだし。

 ギルド員達も騒がしくなってきてるな、いきなり玄関を出たらロボットが五機も駐機してるんだからな。まあ、うまく使ってくれ。 


 姉妹に装備を渡すために移動する、もう起きているようだな。


「朱里、昨日言ってた装備類渡しておくな。戦闘用のボディスーツにブラスターだ。こっちがエネルギー切れた時に入れるキューブな。多めに入れておく」


「このボディスーツ体のライン出るじゃないッ! 恥ずかしいわよッ」 


「でも性能は凄まじいぞ? 運動のアシストしてくれるから戦闘行動に最適だぞ? スタイル良いんだから気にしなくてもいいぞ?」


「そうじゃなくてッ! もうッ!」


「お姉ちゃんお父さんは朴念仁でデリカシー内からきにしてもしょうがないよう」


「まあ上に何か羽織ればいいと思うぞ? コンバットスーツとかな」


「とにかくありがと、そうさせてもらうわ」


「お父さんありがとう。後で見せてあげるね」


「私は見せないわよッ?」


「はいはい」


 騒がしくも可愛い娘達だ、死なせないようにしないとな。







 源三がこちらに戦闘部隊の三重とやって来る、何か用事があるようだな。


「死人、あれを私が使ってもいいんだな?」


 三重が目をキラキラしながら窺ってくる、犬の尻尾が幻視されるな。


「問題ない、後これ着とけよ? 戦闘用のボディースーツだ耐衝撃性に運動をアシストしてくれる奴だ、それと視界が確保しやすいヘルメットに高周波ソードとエネルギーキューブだ」


「ありがとう早速来てみるな、ちゃんと見せてあげるから待ってなさいよ?」


「源三、俺三重に勘違いされてないか?」


「あー、あのボディスーツ俺も着ないといけないのか? その、目立つよな?」


「ああ、もろ目立つな。ちなみに機体が倒れて脳震盪とかなっても知らないぞ? ヘルメットも被る事推奨だぞ?」


「そうだな……上に何か着たらだめなんだよな?」


「何も問題ないぞ?」


「おめえ……確信犯だろ」


 早速走りながらボディスーツを着た三重が戻って来た。もちろんパツパツで下着も履いていないようだ。


「どうだ死人似合うだろ?」


 故意に渡した手前、本当に着て見せて来るとは思っていなかった。しかもぽっちと割れ目まで見えている。


「あー、とても似合っているし綺麗だ。だが下着は履いてもいいんだぞ? ほらこれ着ときな」


 いつも着ている黒のパーカーを渡して被せてあげる。


「ふふ、私は体に自信を持っているからな、見せてあげてるんだ、どうだ? 反応したか?」


 あー、阿岸と似てるタイプだな。好みが被ってる。


「まあ好みのタイプではあるな。ほら、操縦して来い」


「そうかそうか。ちなみに独身だぞ。じゃあな」


 三重が走るとパーカーがめくれ上がり、お尻の割れ目を見せながら走り去っていく


「源三、何空気になってんだよ。頭はたくぞ?」


「うるせえッ! 空気読んでやってんだよ? 三重は強い男が好きらしくてな。なかなか男ができねえんだよ。酒も大好きで一番の飲兵衛だぞ?」


「あー、好みなのが何とも言えねえなあ。まあなるようになるだろ」


 搭乗者には基本セットを渡し慣熟訓練を始めている、一機追加で静里の分もだ、もちろん身内びいきが入っている。

 他の戦闘要員にはアサルトライフルに始まりミサイルランチャー、ガトリングガンなんかも支給している。戦闘部隊はみんな目をキラキラさせていたな。まあ俺が居れば弾薬無制限でバカスカ撃てれば楽しいだろうよ。


 射撃場で案の定バカスカ撃ってやがる。みんなにこにこじゃねえか、まあ水を差すのもなんだしこっそり弾薬を補充しておく。今日一日はこんな感じだろうな。







 最初に乗っていた源三が戦闘部隊に機体操縦の指導をしている。あいつ適応するの早いよな、機体を動かすのに才能があるのかもしれない。


「源三、ちょっと偵察がてらゾンビぶっ殺してきていいか? あと黒柱も確認してくる」


「いきなり飛ばしてくるよなお前。まあ行って来いよ昨日の地震の原因だろ? お土産よろしく」


「おう、任せとけ」


 現在ハンガーにも陸戦空戦合わせて二十機ほど残っている。回収出来たら予備機も渡すか? でも大事になりそうだよな、早く軍人のリストが欲しい。


『コアより機体排出、機動シークエンス開始』


『あいあい~、索敵まっかせろでぇ~す』


『ステルス起動、背部ブースター点火』


『エネルギー収束完了 get ready準備はいいかい?』


okもちろんだ


 ブースターを吹かし空を自由に飛んでいく、目的地は汚染区区域周辺の残りの黒柱だ。


「ミコトちゃん汚染地域一帯で何本あるんだ?」


『そうですねぇ、えっと四五本ありますねぇ』


「何を基準に配置してるか情報あるか?」


『明確な基準はないですけどゾンビ被害の始まった都市に重点的に設置されるらしいですぅ』


「情報イデアか」


『でぇす。黒柱自体、情報イデアの質は問わないですけどぉ増減には敏感なのですねぇ』


「死んでゾンビになっても一個体には変わりないってことか、そりゃ何千も変動すれば異常を感知するよな。うちの依頼者様の思惑だもんな」 


『恐らく他の地域でも狩ったら黒柱ぶっささるでぇすね』


「まあ直接な被害がゾンビの活性化なのがな、ゾンビ減らして貢献してるのになんだかなぁ。そういえばマザーで増えるゾンビには反応しないおんだよな?」


『もしかしてこの地球自体牧場だったりしてぇ~』


「…………あり得るな。減ったから『オラッ! 産めよ増やせよ』で活性化だな」


 モニターに目標の黒柱が確認できた、最初の破壊した黒柱が特別でかかったようだ。


『黒柱こわしましょぉ~、目標確認、接触しま――敵機確認、攻撃行動に移る』


「了解ッ!」


 敵機は十機か、一斉にレールガンの銃口を向けて来る。


『回避機動を取りつつ射撃モードへ移行』


「射撃補正任せる。」


 背部ウェポンラックからレールキャノンとビームガンを装備する。レールキャノンが回転、展開、長方形のレールが音を立て延びる。


 敵機が包囲陣形を取りつつある。リーダー機らしき機体にレールキャノンを射出。回避されるも、右腕部喪失。すれ違いざまにビームガンを他機体にお見舞いする。胴体に命中。撃墜。あと九機。


 反転し、長距離からビームガンで牽制、数機に損傷も撃墜ならず。


「クッソ、性能差はそこまでないか、うまくいかねえなぁ」


『射撃の経験データ蓄積してますのでぇドンドンうってくださぁい、当たらないのはプライドが傷ついたのでぇすッ!』


「頼もしいかぎりだッ! くるぞッ! 回避ぃ!」


 雨のようにビームガンとレールガンの雨が自機に降り注ぐ、ほとんどが回避できたものの左腕部を失う。回避。回避。回避。


「射撃いくぞぉッ!」


 敵機が重なる瞬間を狙いレールキャノンを撃つッ! 命中。胴体と頭部が吹き飛んで墜落する。二機撃墜。続いて回避行動。残り七機。


 高速反転。超至近距離で発射、胴体部を突き抜け後方の機体を巻き込み三機撃墜。上空へ飛翔。残り四機。


 後方から四機が接近してくる。反転し太陽を背負いレールキャノンを牽制射撃。視界制御が間に合わず一機に命中。後三機。


「シャオラァッ! ダガー展開、最大加速で地面へつっこめぇッ!」


 レールキャノンを前方へ投擲。システム上理解不能でほんの数瞬三機が硬直する。地面に向け最大加速。


「負けてたまるかよぉぉおおおッ!」


 こちらを追いかける為に上昇してきた三機は数珠つなぎになっている。ダガーの出力を最大にし突撃する。一機。胴体にダガーが突き刺さる。二機。胸部に突き刺さる。三機。頭部破壊のち地面に激突し三機の重量を受け止め損壊。


「はぁっはぁっ」


『状況終了、警戒態勢に移行。直ちに黒柱に接触してください。応援を呼ばれる可能性があります』


「了解、人使い荒いぜ」


 素早く加速、黒柱へ接触する。浸食開始。後は任せた。


『10.9.8.7.....0、リソース及び掌握完了。お疲れさまでしたでぇす。死人さんカッコよかったぁ~、ホレなおしちゃいましたぁ~三重さんにはわたさないでぇすよぉ?』


――黒柱のリソースを獲得しやがりました


[情報をサービスするでやがります魂の連続性はあるでやがりますよガフの扉はありやがります]

[今回のリソースはしょっぺえやがりますからこれからも頑張るでやがれであります]


「ふう、お疲れさん。好い事聞いたな。ちゃんと見てるみたいで安心したよ」


『早速強奪たいむですぅ~』

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