第29話異変の始まり?

 朝方デバイスに通信を知らせるアラームがなる、こんな朝早くから誰だよ。通知相手を見ずに通話に出る。


『俺だ』


「オレダさんに知り合いはいないんだけど」


『源三だッ! 暗号回線だけど名前はなるべく使わねーようにしてんだよッ、つかおめえ派手にやったな、悪徳ギルド二つの構成員根こそぎやっちまうとか』


「ん? うちの姉妹レイプしようとした外道と、女売りさばいていたクズをぶっ殺したんだけどやり方まずかった?」


『いや、殺すこと自体になんも思わねえがさすがに一晩で百人以上死体が出りゃ相当騒がしくなるぜ? おかげで軍人どもを洗うのに苦労するぜ。しかも殺して火をかけてんだろ? 燃え広がるの抑えるの付近の住民大変だったんだぞ?』


「あーそれは悪かったわ、なるべく燃やし方に気を付けてはいたんだがな、張り切って殺しまくってたもんでな」


『まあ気を付けてくれ、今回で殺しの実力も分かったし安心してリストを渡せるぜ』


「おう、きっちり殺してやるから任せときな」


 早き目が覚めてしまったので朝ごはんの準備でもしますかね。ああ、昨日は楽しかったわ。どんどん悪い事をして俺の生贄になってくれ。


残178SP







 三人で食卓を囲む、今日は洋風に食パンにサラダとコーンスープ。学校に行く前に召し上がりたい朝食だね。スープの薫りが甘くて食欲をそそる。


「ねえ、死人」


「あん? 何?」


「もうすでに返事がおざなりになり始めている……最初は丁寧な人だと思ったのに……、いやそうじゃなくて、仕事早すぎない? デバイスに緊急ニュースで流れてるわよ? [深夜に起こった惨劇。軍人とハンター含む百人超殺害される、放火し隠蔽工作]って。軍人は後じゃなかったの?」


「あー、あいつかなんかお前ら姉妹を仲間内でレイプするっつってたから根こそぎぶっ殺しちまったわ、なんか飯誘ってたらしいけど」


「おねえちゃん確かいっつもいっつも断ってるのに俺はエリートだーとか、俺と付き合えば贅沢できるとかなんとか言ってたアホ」


「あーあーあー、いたいた。それで死んでりゃ分けないわよね。まじウケル」


 朱里はパリピなのか? すでに朱里こそ本性丸出しのような気がする。


「飯時で言う話題でもないがそういうやつは言ってくれ、犯罪予備軍でもいい。兆候が見える前に言え」


「うーん、大丈夫よとは言えないのがまあまあいるのよね。私たちは何もないけど被害に遭った人とか軍に届けても何もしてくれないって言うのは多いわね」


「私も良く聞くね、治安維持機構事態が成り立ってないのかも」


 うん、自浄作用が機能してないねコミュニティが狭くなった分、権力が偏っている弊害だな。十五年もたてば水も濁りはするんだな。


「むしろ標的を用意してくれれば助かるんだけどな、ある程度の証拠があれば殺し屋としても活動してもいいかもな、SP欲しいし」


「殺しを依頼してもここまで良心の呵責が痛まない人を見るのは初めてだわ」


「むしろこんなお父さんの娘が、私なのがびっくりだよ。エリートアサシンになれるかも? でも大切の思ってくれてるのは伝わってるよ? ありがとうお父さん」


「私もよ? 感謝してるわ」


 姉妹に情報の収集をお願いし、楽しい砲撃をしに榴弾砲を担いでいく、そういえば今日から偵察任務の仕事って言っていたな、遭遇しないように砲撃場所考えないといけないか。面倒だな。

 隠しておいたバギーが回収されないうちに確認をしに行くことにする。どのみち距離を空けないと砲撃に気づかれてしまうし丁度いい機会だろう。

 偵察部隊を搔い潜りながら移動してたので小一時間程かかってしまった。廃墟の裏を確認するとまだ二台ともバギーが残っていた、小型のバギーならお部屋に入るので入れて置き、大型のバギー榴弾砲移動の為に使うとしよう、担いで走るのはなんだか気持ち的に疲れるんだよね。


 大型バギーの屋根に括り付け走行できるか試してみる、バッテリーを再び嵌め込み走行。タイヤが少し凹んでいるが何とか走行できそうだな。バギーの寿命は確実に縮むのは間違いない。







 巨人と戦った元市街地を中心に汚染地域が広がっているらしい。元都市高速を使って中央駅跡まで行ってみようと思う。

 

 現在都市高速上を走行している。高い位置にいるので狙撃と索敵が渋る。走行中に関わらず狙いやすいゾンビを撃ち殺していく。


「進行方向はどうだ?」


『ぼちぼちしかいないのでつまんないでぇす、汚染地域にはゾンビが少ないですぅ~』


「中心地に行って砲撃すれば周辺の雑魚ゾンビ根こそぎ撃っていいから機嫌を直してくれ」


『やくそくですよぉ~?』


 確かに中央駅に近づく度にだんだんとゾンビが減っている。そんなに汚染されているのか? 俺がいた時には何もなかったのだが。




――ゾンビーポイントを獲得しやがりました







 見つめる眼でも確認したがやはり中央駅には何もない、むしろなぜか建物が意外に残っている印象が感じられる。


「そろそろ砲撃するポイント決めてくれ」


『中央駅近くの商業ビルがいいですぅ。一番高いところでぇすよぅ』


 指示された通り廃墟ビルに辿り着く、窓ガラスは全て喪失し、コンクリートと割れたタイルだけの状態だ。草木は生えておらず生き物の気配すらない。

 バギーに括り付けた榴弾砲を担いで天井に当てないように内部へ侵入する。

 商業ビルは天井が高く設定している為、ぶつけにくいが注意し砲身をぶつけないように上っていく。


「意外に階層があるな、高い所は良いが登るのが大変だな」


『その分撃ってる時はさいこうですよぅ』


暫くして周囲の見渡せる屋上部に到着する。景色は良いが何か者悲しい雰囲気だ。


「そろそろ準備するぞー」


『了解ですぅ』


「アンカーセット You have controlきみにまかせる


副腕のランスをコンクリートに撃ち込み。両腕を砲身へ同化させる。銀が浸食し人力の固定砲台へと変化する。


I have controlわたしにまかせて 索敵開始 見つめる眼起動 目標確認 射角調整完了 砲弾装填 Get ready準備はいい?』


okもちろんだ


Open fireお祭りじゃ!』


 蹂躙劇の始まりだ。







 そこはゾンビたちの楽園だった。

 すきなときにねて、すきなときにあそんで、きょうもいいてんきだ、だいこうぶつのかたいものをきょうもたべる、おかあさんにもわけてあげよう、そしていっぱい、きょうだいをうんでもらうんだ、あれ、なんかぴかってひかって――







 そこはゾンビたちの天国だった。

 今日も支配種族たる我らが下等種族である人間とやらを支配してやらねばなるまい、奴らの悲鳴を聞けば天にも昇るような快感を得ることができる、奴らの肉はとても食べれたものではないが、あの悲鳴を聞くた――







 そこはゾンビたちの戦場だった。

 仲間が死んだ、無残に胸を切り裂かれ、心臓を取り出され生命の源を搾取される。我々が何をしたというのだッ! マザーから生まれ、つつましく食事をとり生命を謳歌しているしているだけだッ! 神は我らを見捨――







 そこはゾンビたちの――







――ゾンビーポイントを獲得しやがりました


[mlin;nv lwnlinb;onの閾値を超えました]

[;oiangvbopinbnlkniyvlivを開始いたします]


「ん? 何かログ出なかったか? おーいミコトちゃん?」


『……………uviubwea;oihg;lin;vn;l n;larekjnglh;n:l:aknln』


「ミコトちゃんッ!? ミコトちゃん返事してくれ!!」


 返事が返ってこない、一体何なんだ?


 砲身との同化を解除し地面に置く、お部屋にもつながらない。副腕やブレイドモードは健在だ。ただZPの購入画面すら表示されないのはおかしい。俺をゾンビを殺させている何かが変化したのだろうか? ミコトちゃんは確か俺と半分同化していて■■■が混ざっているといっていた。分からない。


「ミコトちゃん…………、君がいないと寂しいよ。返事してくれよ…………」

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