第19話 好きな本は?
「つむぎの一番好きな本って何なの?」
「またいったいどうしたん?」
ある日昼休憩。生徒会の仕事もなく、のんびりと本を読んでいるところに、
「キミさ、暇さえあれば本を読んでるじゃない?」
「まぁそうだな。ポケットに二冊、予備に一~二冊持って来てるぐらいだし」
「持って来すぎでしょ……!?まぁそれだけ読んでるならさ、キミはどんな作品が好きなのかなぁって」
「はぁ、そう言うこと」
好きな本、好きな作品かぁ……。元々はミステリー系の作品を好んで読んでいたけど、いつだったかライトノベルのアニメを見て、原作を読んでみたいっておもったんだよな。
きっかけの作品は、三作。一作は青春系ラブコメの物語。残り二作は同じ作家さんの書く、ゲームが舞台の物語。この三作品に魅了されて、そこからライトノベルばかり読むようになったんだよなぁ。
さてさて、何て答えようか?……あ、そうだ。
「ならさ、勝負しない?」
「勝負?」
「そう、質問三回以内に好きなジャンルを当てられたら、古詠さんの勝ち。質問は基本、はいかいいえで答えられるものだけね」
「へぇ……勝ったら何か、良いことあるの?」
「え?そうだなぁ」
その辺は考えてなかったなぁ。どうしようか?
「じゃあさ、私が勝ったらジュース一本でどう?」
「まぁ、そのぐらいなら」
「OK!じゃ、始めようか。まずはそうだなぁ、恋愛が関係している?」
「ん~……まぁ、はい、かな」
「時にはって感じかな。次は……異世界系ですか?」
「いいえ、かな。ここは」
「最後の質問ね。ファンタジー寄りの作品?」
「いいえ、だね。さて分かるかな?」
正直かなり難しいと思う。おまけでもう一回ぐらい質問をOKにするべきかも。
「異世界やファンタジー以外、恋愛の要素が時にはある作品……」
「どうする?難しそうだし、もう一回ぐらいなら質問もありだけど?」
「いえ、答えを言うわ。ずばり、青春系の作品!」
「驚いた。まさか当てられるとは」
「そう。キミは青春系が好きなのね」
「まあね。ライトノベルを読み始めるきっかけの1つだし、ホントは一番を決めろって言われると難しいんだよね」
「でも選んだわよね?」
「今でも迷ってるよ?異世界系にバトルもの、ミステリーにファンタジー、ラブコメ……素敵な作品がいっぱいあるから。でも、やっぱりここに戻ってくるんだよ。甘酸っぱい身悶えする様な青春。そんな作品に」
「なるほどねぇ」
「さて、話はこのぐらいにして飲み物、買いに行こうか?」
そう言って手にしていた本をしまって席を立つ。この話は長くなるだろうし、このぐらいで切り上げるべきだろう。
「あ、待って待って」
私の後を古詠さんが着いてくる。そして隣に並び歩く。
物語の青春には負けるけど、こう言う何気ない日常が、私にとってかけがえのない青春の物語なんだろうなぁ。
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