第17話 修学旅行、二日目です

 2日目は朝から班ごとでの自由行動。自由行動と言っても前もって、どこを回るのかを申請しているわけだが。ちなみにうちの班では、八坂神社へ行き、京都タワーへ行って付近で昼食、伏見稲荷大社の近場を回る予定になっている。

 一晩明けて体の重さもだいぶ楽になった。やはり慣れない長距離移動で、疲れていたのだろう。そう思うことにする。思い込みは以外と有効だから……そうすれば今日一日ぐらい、持つだろう。

 そんなわけで現在は八坂神社の見学を終えて、京都タワーを登って街並みを一望していた。


「おぉ……」


 遠くを見る分にはまだマシではあるが、近いところを見ると何か……ぞわっとするな。けれど見える景色は美しくも感じる。……と言うか人って何で、高いところが好きなんだろう。


「あら?その反応、キミは高い所は苦手?」


 景色を眺めていると古詠こよみさんが声を掛けてくる。


「なしてそう思った?」

「キミ、一回窓際に行ったきり、近づこうとしてないでしょ?一歩引いたところで見てるから、そうかなぁって思ったの」

「よく見ている事で」


「みんな集まって!そろそろ降りて、お昼に行くよ!」


 そんな話をしていると班長から集合の声が掛かる。古詠さんは何かを言おうとしたが取り止める。


「行くか」

「そうね」



         ◆◇◆◇◆



 昼食を取り、私たちは伏見稲荷大社へ来ていた。これからこの山を登るのか……。少し考えていると、班長と話し終えた古詠さんがこちらにやって来た。


「今日は調子が良さそうね」

「……おかげさまで、昨日よりは」


 まだ調子が悪いのではないかと疑われていたのか。……当然か、昨日の時点でかなり気にかけてくれていた。それなら今日も気にするか。……せっかくの修学旅行でかなり迷惑掛けてるな。一言謝って


「先に言っておくけど、すまないとかごめんは、いらないよ」


 おくか……って、思考を先読みされた。なぜか聞いておくか。


「理由を聞いても?」

「昨日も言ったわよ?私がしたいようにしているだけ」

「本当に、それだけ?正直言って、迷惑でしょ。体調不良の人がいると、素直に楽しめないでしょ?」

「あら?体調不良なことをようやく認めたわね」

「なっ」

「大方一晩休んで、昨日よりはマシにはなったけど、一日動き回るほどの体力は戻ってないんじゃない?」


 何処までもお見通しだったようだ。実際、まだ行けるまだ歩ける、と思いながら行動していたが、実際の伏見稲荷大社を見て、山頂までは持ちそうにないと感じていた。さて……


「古詠さん言う通りだよ。さすがに山登りの体力までは、戻ってないわ。という訳で、自分は下で待ってるって、班長に伝えてくるわ」

「待って」


 班長のもとへ行こうとすると古詠さんに呼び止められる。


「班長には私から伝えてあるわ。よく周りを見てみなさい。もうみんな先に行って、ここには居ないでしょ」

「えっ?」


 辺りを見回すと確かに、古詠さん以外の班員は居なかった。


「下山したら連絡が来るから、私たちはこの辺で休んでおきましょ」

「じゃあ、そうするか」


 取り敢えず古詠さんに従っておく。

 なんだか今回は古詠さんに迷惑掛けてばかりだなぁ。

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