第4話 疑惑
状況的に犯行可能なのは棺さん位なものだが。何しろ狩人の資格を持つのだ。血抜きと切断に関しては彼に並ぶものはいないだろう。第一牧師館内の出来事だ。役員が何でも差配出来てしまう。
だが、動機が何だ? 棺さんには殺す動機がない筈だ。
少し焦りすぎだ。一旦落ち着こう。
携帯を取り出し、先程の少女に電話する。
「もしもし、夜分失礼するね。書類整備の関係上訊きたいことがあってね。以前の会員についてなんだけど、良いかな? 役員の人達は寝てしまってね。起こす訳に行かないしね」
少女は電話越しに以前のことを知りうる限り話してくれた。
以前の会員の中に老齢の会員がいた。彼も又狂信者染みていて教会に莫大な富が埋蔵されていると吹聴していた。
それがいつの間にか姿を眩ました。
そして、驚くべきことに棺さんも埋蔵金の存在を信じていたと言う事実だった。棺さんは三代目のクリスチャンで両親からこの教会には宝物があると仄めかされていたらしい。
となると金銭関係で揉めて殺しあった可能性が高い。但し、気になることがある。少女が言うには失踪者が出た棺さんは金丸さん、英知さん、英子さんと役員会を開いていたらしいのだ。
これは困った。これ以上考えても埒が明かない。取り敢えず今日は身体を休めて信用出来そうな英子さんにそれとなく尋ねてみるか。
とは行っても死体がある部屋で寝るのは些かきつく寝付くことはとうとう叶わず仕舞いだった。
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