第2話 異質

 深淵教会。


 噂通りの教会そうな予感だ。


 しかし、牧師として着任するからには神の愛に仕える教会としなくてはならない。これが神より賜った僕の使命だからだ。


 三回目の訪問で僕は牧師として牧師館に泊まることにした。会員は渋々ながら晩餐会を催してくれた。


 豪華な料理に僕は目を丸くするばかりだった。これだけの食事を貧しい人達に施せばどれ程素晴らしいことか。不正な富を使って真実な友を作りなさいと言う考えに反している。しかも給仕がいる。年若い国外の少女ばかりだ。


「先生、不正な富を使って真実な友を作れとはご存じかな?」

「ええ」

「私らはね、こうやって彼女達に高賃金で優遇しているのですよ」


 少女達の怯えた瞳を見る限り、そう思えないが。ME,TOOと叫ばれた世界でもこの教会では異質扱いの様子だ。

 中には年幾ばくもない少年すらもいる。


「私らは男女平等なんですよ」


 少年らの怯える姿を見てそう語る執事さんは誇らしげだ。教会で役員を務める執事である棺さんは狩人の資格を持っていると語り、猛禽が獲物をねめつける視線で少年を見下していた。

 それにしても先程異臭がしてならない。棺さんは先日の濃いめのスープやソースを作ったもので「その残り香でしょう」と言った。棺さんが狩人の傍ら調理の経験も豊富でよく教会員に御馳走を振舞っているとのことだ。

 

 それでもこの異臭にはただらなないものを感じる。これから住むかも知れない場所のことを把握しておきたいと理由で宿泊の許可を半場無理矢理申し込ませて頂いた。棺さんは若干困った様子で「部屋が空いているから構いませんがね」と言ったので、遠慮なく使わせて頂くことにした。金丸さん、英知さんも若干雰囲気が変化した。少し硬い表情と言った具合だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る