第4話 そして、事件は起きる
「ひー、齢を取ると胃腸が弱くなって仕方がない」
代議士が帰ってきた。その代議士が「おい、拓司」と心配そうに秘書に声をかける。
「顔色が悪いぞ? どうした?」
秘書が突然震え出して椅子から崩れ落ちる。
「おいっ! 拓司、しっかりせえ。どうした?」
「せ、せん……せい……あな……たが」
そのまま意識を失った。
「救急車を!」
英知さんは叫んだ。
周囲は騒然としている。救急車が駆けつけ、秘書を担架で運んでいく。
一時間後、一命を取りとめたと言う知らせが入った時、皆が安堵した。しかし、警察が現れて事態は一変した。
「毒殺未遂ですと?」
代議士は焦燥しながら警察からどこか恨みを買った憶えはあるかなどの質問をされていた。
署長がこちらに近寄って「おお、牧師先生。お久しぶりです」と慇懃に挨拶をしてきた。
「この事件についてなのですが」
おそらく状況証拠的にあの人物なのだが、動機の面で確信が持てない。
「署長、この方々の過去についてご存知ありませんか?」
一通りの説明を訊いた後、ある程度予想が立った。おそらく素人の犯行だろう。計画はしたが杜撰そのもので。あるいは犯人に思慕の情が残っているかだろう。
僕は署長に三か所に捜査を依頼した。おそらくそこに証拠が残っている。
しばらくして鑑識が署長に報告しにきた。
署長と相槌をうって場の皆の視線を集める様にした。
「えー、こほん。これより牧師先生が事件の真相を解明して下さったそうだ。皆様もお聴きください」
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