バイエフエルト王国の出撃の報が入ってきて、私が対処することにしました

「どうしたんだ? フラン?」

アドが声かけてくれたんだけど、


「あんたが王妃様にフォローしてくれないからでしょ。お願いしたのに!」

私がムッとして言うと、


「ああ、母の事か。気にしなくてもちゃんとフォローはしてやるから」

アドが言ってくれた。


しかしだ!

「本当に? いつも裏切られているから、信用出来ない」

「いや、フラン、今度はちゃんとやるから」

「そうですよ。兄上は信用できませんよね!」

アドの横からヴァンが言ってくれるが、

「ヴァン、何を言ってるのよ。元々、王妃様に繋いだのヴァンでしょ!」

私が白い目で見る。


「そんな、義姉上! これは仕方がなかったんだよ。兄上と違って腹違いの僕には断るすべがなくて」

「そこは色々やりようがあるんじゃなの。何もいきなり繋がなくてもいいじゃない!」

「そうだよ。姉上の味方は俺だけだよ」

横から弟のジェドまで出てくるんだけど、

「うーん、あんたも、母から、助けてくれなかったのは同じだし」

「そんな! あんな母上に対抗できるのは、父上と姉上だけだよ。いつも二人とも母上にコテンパンにやられているけど」

「余計な一言を言わない」

私はムッとして、ジェドをしばいていた。


「痛い! 死ぬじゃないか! 姉上は本当に手加減してよね」

「なに言っているのよ。私が手加減しなかったら、あんたなんて、城門の外まで吹っ飛ばしているわよ」

私の一言に皆黙るんだけど、


「ちょっと何真剣な顔しているのよ。冗談よ」

私が慌てて言うと、


「冗談になってないわよ」

気絶していたはずのピンク頭が起き上がって、言ってくれた。

こいついつも最悪の時に目覚めやがって!

私がむっとすると、


「あーん、アドルフ殿下、竜の上は怖かったです」

ピンク頭の奴、いきなりアドにすがり付こうとして、避けられて、そのまま横にいたギャオギャオの顔に抱きついていた。


「きゃっ」

思わずピンク頭が悲鳴を上げた。


ギャオギャオが怒ったら不味いと私は慌てたんだけど、ギャオギャオは顔にピンク頭の放漫な胸を押し付けられて、反対に喜んでいるんだけど……


「あれ、こうしてみると古代竜もかわいいわね」

何か、ピンク頭が喜んでいる。


な、何よこれは! 私がムッとしてギャオギャオを睨み付けると、


「ギャッ」

とかわいく悲鳴を上げるが、プッツン切れた私は思わず横を向いていた。

どいつもこいつも、本当にろくな奴はいない!


私は完全に切れていたのだ。




そこへ慌てて、近衛騎士が駆け込んできた。

「陛下、大変です! バイエフエルトの王都から緊急の連絡です。バイエフエルトの全軍が王都を出たとの報告がありました」

「何だと! こちらに向かっているのか?」

近衛の隊長が蒼白になって、騎士に確認する。

「詳しくは未定ですが、こちらの国境方面に向かっているのは確実だそうです」


「ふんっ、そら見たことか。これで貴様らも終わりだ」

半死半生の王太子が起き上がって叫んでくれた。


「兄上、この生意気な奴、誰なの?」

「ああ、この国の元王太子だ」

「元ということは何しても良いんだよね」

嬉々としてヴァンが言うんだけど。


「な、何、貴様変なことしたらバイエフエルト王が黙っていないぞ」

王太子が粋がって言うが


「お前馬鹿なの? バイエフエルトの傲慢王が、失敗したお前らを許すと思うの? 真っ先に始末されて終わりだよ」

「な、何を、そんな事は……」

王太子のトーンが小さくなった。


「おいおい、そんな事も知らないのかよ。傲慢王の噂を聞いたこと無いのか? この前一揆を起こされた領主は一揆を起こした領民もろとも焼き殺されたんだぞ。失敗したお前らが許されるわけ無いだろう。まあ、どのみち反逆罪は死刑だからな。変わらないと言えば変わらないが」

ジェドまでが言ってくれた。


「いや、そんな」

「まあ、どのみち殺されるなら、城壁の上に縛って晒したほうが良いんじゃないか」

アドまでが言うんだけど。


「いいや、それよりもギャオギャオの餌にしたほうが」

ジェドの声にギャオギャオがギロリと王太子を睨んでくれた。


「ヒィィィィ、それは止めてくれ。」

「ちょっとジェド、ギャオギャオに変なもの食べさせないでよね」

私が怒って言った。

変なもの食べさせてギャオギャオがお腹壊したら大変じゃない!


「それはないと思うけど」

ピンク頭がなんか言ったけれど、私は無視したのだ。


「で、フラン。ギャオギャオに攻撃させるのか」

アドが聞いてきた。


「えっ、そんなの可哀想じゃない。怪我するかもしれないし」

私がむっとして言った。


「えっ、いや、同種のギャオちゃんは帝国の第二師団を殲滅できたんだろう。バイエフエルトのへなちょこ軍なんて一撃だと思うけれど」

アドが言うが、私はギャオギャオにそんな酷いことをさせたくない。


「私がエクちゃんでやるわ。恐らくエクちゃんなら大丈夫だと思うから」

私が自信を持っていった。


「それって単に姉上が暴れたいだけだよね」

ジェドがボソリと何か言ってくれた。


「ジェド、何か文句あるの」

「そんな、姉上に逆らえる奴がいる訳無いよ」

ジェドは私から一気に半径10メートルほど離れたんだけど。


なんかちょっとムカつく!

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ここまで読んで頂いてありがとうございました。

ついに武のルブランの真骨頂の登場です!

宝剣エクスカリバーが炸裂するか?


次は明朝です。

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