メラニー視点 やっとフランの場所が判りました

私は慌てたノエルにルブラン公爵邸に連れて行かれて唖然とした。


古いとは思っていた邸宅の建物がほとんど瓦礫と化していたのだ。


地面に巨大な穴も空いていて、周りの木々はなぎ倒されていた。


凄惨な焼け跡が至る所残る。


天災の跡か隕石が落ちたみたいだった。


「ジェラルド様。これは何があったのですか?」

私がフランの弟に聞くと


「母と姉上が戦ったんだ」

私はそれで納得した。


怪獣同士が戦ったんだ!


王都が灰燼と化さなくて、被害が公爵邸だけで済んで良かった、と思ったのは弟には秘密だ。


「で、フランはどこにいるの?」

「姉上は母に魔力を封じられてどこかに飛ばされてしまったんだ」

どうやらフランはその母に負けたらしい。


あのフランに勝つって公爵夫人はどれだけ化け物なんだろう! 帝国が手も足も出ないはずだ。


「どこに飛ばされてしまったか、判りますか?」

「それが皆目判らない。おそらく今まで母が行ったことのあるところだとは思うのだが」

基本転移の魔術は自分の行ったことのあるところしか飛ばせないらしい。


「魔の森の横の領地ではないのですか?」

「それならばすぐに領地から連絡あるはずだ。連絡がないから違うと思う。それに領地に飛ばすなら母が一緒に連れて行くはずだし」

「ギャオギャオはどうしたんですか」

フランのペットのことを聞くと

「母が乗って帰ったよ」

ペットまで母に取られてしまったらしい。


「判りました。公爵夫人の今まで行った場所を分かる範囲で教えて下さい。我が家の店や知り合いの商人のいるところもありますから、色々調べて見ます」

「よろしく頼む。俺は影を使って調べるから」


こうして公爵邸を本部にして早速フランの行方を調べだしたのだが、フランの母の行ったことのあるところは膨大で到底全てを調べるのは難しかった。


アドルフ殿下はフランの行方不明を聞いて、すぐにどこに飛ばしたかを聞きにフランの母の所に向かったらしい。

が、中々場所がわかったと連絡は来なかった。素直にフランの母が教えてくれるとは到底思えないし……


私は我が家の商会とその取引先にフランの特徴を連絡して調べさせたのだが、なかなか良い返事は帰ってこなかった。


変だ! フランはどこでも目立つはずなのに。


更に、女で目立った行動をして問題を起こしている者がいないか調べさせたのだ。


しかし、中々めぼしい目撃談とかの連絡が来なかった。


来ても、どこぞの王女が王子に振られて両国の間が険悪になっているとか、どこぞの公爵家の令嬢が婚約者を振って大騒動になっているとかいうものだけで、中々フランの足取りが掴めなかったのだ。


「メラニー嬢、フィーアネン王国でデ・ブリュネ男爵家のフランと名乗るものがいるらしいのだが」

ジェラルド様が言ってこられた。


「デ・ブリュネと言いますと現代語に直すとルブランですね」

「そうなんだ。昔、母が功績で男爵位をもらったらしい」

「それが怪しいと?」

「確かなことは判らないんだが、結構その女が目立っているらしい」

「じゃあ義姉上じゃないのか」

シルヴァン第二王子殿下が言われるんだけど。


「我が店の者が隣国バイエフェルトにおりますから確認させましょう」

私は魔導具の通信装置を接続した。


画面に支店の者がでる。この魔導具は結構高価な物なのだが、シルヴァン殿下の協力の下置かしてもらっている。国にも活用いただいているが、商売に使っても良いと言われているのだ。


「これはお嬢様。いかがされました?」

慌てて、支店長が聞いてきた。


「隣国のフィーアネン王国にデ・ブリュネ男爵家のフランを名乗るものがいるみたいなの。この前連絡したフランソワーズかどうか確認してほしいんだけど」

「しかし、お嬢様。今我が店はバイエフエルト王国から食料品の大量の買付が来ておりまして、中々人員をさけないのですが」

支店長がしぶそうに言う。


「バイエフエルトが食料の調達をしているだと。どこかに攻め込むのか?」

「これはシルヴアン殿下」

慌てて支店長が頭を下げた。


「何やらきな臭いことを聞いたが」

「良くは判りませんが、武器なども調達しているそうです」

「聞いているかジェド」

「いや、まだ、影からはそのような報告はないが」

「うちもそうだ。アイツラは何をしているのだ」

殿下は機嫌が悪くなった。


「で、忙しいところ悪いのだが、早急にメラニー嬢が言った事を調べてほしいのだ」

「左様でございますか。殿下のお話では仕方がございませんな。フランと言えば、お嬢様。お嬢様宛に『フランとアドはフィーアネン王国のハルスカンプ侯爵邸にいる』という、胡散臭い手紙を侯爵家の御者を名乗る者が持ってまいりましたが」

「それは本当なのか?」

「な、何ですって、そう言うことはすぐに言いなさいよ」

私は切れて言った。


「いえ、ちょっと忙しくてですな」

「すぐに報告しろって言っているでしょ」

「その手紙はあるのか」

「少しお待ち下さい」

王子の声に支店長は慌てて手元の書類を探していたが、


「これです」

画面を見ると確かにフランの書いた文字だった。


「あなた、直ちにすべての仕事をキャンセルして、その侯爵家に行くのです」

「えっ、しかし、バイエフエルトの商売は」

「穀物は山賊に奪われたから直ちに取り返しに行くとでも言っておきなさい」

「しかし」

「損が出たのならば後で王家から補填しよう。直ちに行動してくれるか」

「わ、判りました」

あの支店長、私の言う事よりも殿下の言うことを聞くのか? 後で父に言ってお灸を据えてもらおうと私は思った。


「直ちにあの辺りにいる影を王国に向ける」

「王家の影もそうしよう」

王子とフランの弟が相談を始めた。


「で、俺たちはどうする?」

「馬車で移動したら二週間以上かかりますよ」

「馬でも早馬を乗り継いでも結構かかるが」

私達がどうしようかと悩みだした時だ。


私達の仮設テントが暗くなったのだ。


照っていた太陽がなにかの影に入ったのだ。


慌てて外に出るとまさにそのフランのペットのギャオギャオが着陸しようとしていた。


そして、その背には目を回したオーレリアンが乗っていたのだった。


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さて、話はそろそろ佳境に入りつつあるます。

続きは明朝。

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