アド視点3 やっとフランに会えたと思ったのに気がついたらフランはいませんでした

俺は魔の森の試練を死にもの狂いで突破しようと努力したのだ。


しかし、襲って来る魔物の数は全然減らず、食料はすぐに尽きた。


でも、俺は必死に食べられる草木を食して飢えをしのぎゴール目指して歩いたのだ。


夜は死ぬように眠り、朝は日の出とともに起きた。


あまりゆっくりとはしていられない。さっさと試練を終えてフランのもとに行かないと!



何故か起きた時に目の前に果物の実などが落ちていることがちょくちょくあったが、理由は判らなかった。


神様がくれたんだろうか?


そうこうして、必死に歩いて俺様は5日目にはなんとかゴール地点にたどり着いたのだ。


「ああああら、殿下、遅いお着きですね」

そこには呆れて言う破壊の魔女が佇んでいたのだ。


「5歳のフランは2日で帰ってきましたのに」

「ぐっ」

そう言われると俺は返す言葉もなかった。


フランからは途中で犬を拾って連れて帰ったら母に怒られたと言っていたが、後で公爵にフランが拾ったのがフェンリルだと聞いて唖然としたのは言うまでもない。


どうやって5歳の子供がフェンリルに言うことを聞かせたのか俺には良く判らなかった。


聞いた所によると、傍らで見守っていた歴戦のルブランの騎士団の連中の前で、フランは魔の森の王フェンリルを「めっ」と叱りつけて言うことを聞かせたらしい。


更に、寝込んだフランを襲おうとしたフェンリルをフランは寝たまま叩きのめしたのだとか。


それ以来フェンリルは完全にフランのペットになってこの屋敷にいるのだそうだ……


そう言えば破壊の魔女の横に巨大な魔物が控えているいるんだけど、良く見れば白い犬に見える。あれがフェンリルだろうか?


「本当にこのわんちゃんやギャオギャオがどうしようもない王子を試練に受からせるためにどれだけ苦労したことか!」

なんか破壊の魔女がブツブツ言っているのだけれど、声が小さくて良く聞こえなかった。


「公爵夫人。頼む! 頼むからフランの居所を教えてくれ」

俺が頭を下げて頼むと


「殿下が行っても決して状況は良くなりませんよ」

夫人が呆れて言ってくれるのだが、そんなのはやってみないと判らないではないか。


「そこを曲げて頼むから教えてくれ」

俺は再度頭を下げた。


「判りました。結果の責任はご自身で取って下さいね」

「当然のことだ」

俺は夫人の言葉に頷いたのだ。


「では殿下いきますよ」

夫人の手が光ると同時に私の体が光に包まれて私は転移したのだった。


吐きそうになるのを耐えるといきなり転移は終わった。外に放り出されたのだ。


て、これって空中なんだが、少し高くないか?


このままでは俺は地面に落ちる!


思わず叫びそうになった時だ。俺は誰かに抱きとめられたのだった。


その人物は俺が夢にまで見たフランだったのだ。


「フラン、良かった」

俺はフランが無事でホッとしたのだ。


そのまま気俺はフランの胸の中で気を失うように寝てしまったのだ。


普通は落ちてきたフランを俺が抱きしめるべきなのに、逆だ!

と気付いたのは気を失う前だった。



俺は夢の中でフランと一緒にエルグランの王都を食べ歩きしていた。

俺が食べていた肉の串をフランが食べたそうに見ていたので、それをフランの口元に持っていくとフランは幸せそうに食べてくれたのだ。


俺はとても幸せだった。


でも、それは長続きしなかった。


いきなり周りが暗転して、フランが騎士たちに囲まれたのだ。


「フラン!」

俺が必死に叫ぶもフランが連れて行かれてしまったのだ。




俺はハッとして目を覚ました。


「フラン!」

俺は慌ててフランを探した。


「あ、アド、気付いたのね」

起きた俺を見て銀髪の女がこちらに寄ってきた。


「お前は」

「私はこの館ハルスカンプ侯爵家のカトリーナよ。フランに、あなたの面倒を見るように頼まれたの」

「フランはどうしたんだ?」

「騎士たちによって王宮にさられたわ」

「何だって」

俺は理由がよく判らなかった。ハルスカンプ侯爵家と言えば北の小国フイーアネン王国の侯爵家だ。

カトリーナはそこの唯一の相続人のはずだ。その割にこの部屋は粗末な作りだ。小国だとやはり貧しいんだろうか? 俺はこの部屋が使われなくなった離れだとはその時は判らなかったのだ。


俺はそこでカトリーナからこれまでのことをいろいろと説明されたのだ。

そして、フランが俺が怪我して動けないから、あっさり捕まった旨を聞いて自分の不甲斐なさに頭を地面に打ち付けたくなった。


俺は直ちに本国に連絡を取ろうと思った。


シルヴァンに連絡して王家の影を使えばすぐにフランは救出できるだろう。今の俺の体では下手したら足手まといになるだけだ。


俺がカトリーナにお願いして本国に連絡する手配を終えてホッとした時だ。


いきなり騎士団に踏み込まれて今度はカトリーナもろとも捕まってしまったのだった。


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