母に負けてしまい、魔術を封じられて知らない地に飛ばされてしまいました
「嫌です」
はっきりと母に逆らったのだった。
その瞬間周りの時間が止まったのだ。
みんな唖然として私を見ていた。ジェドなんて震えていた。
そして、言われた母も固まっていた。今まで母の理不尽な命令も、自分絡みのことはほとんど逆らったことはなかったのだ。ジェドに試練を課すと言った時には流石の私も反抗したけれど。それ以来の反抗だった。
でも、母は首を振って再度聞いてきた。
「フラン、今なんて言ったの?」
「嫌だと言いました」
私は母の怒り顔にも言い返したのだ。
「ふうん、最近付け上がっているとは思ったけれど、これほどだとは思わなかったわ。
そう不機嫌そうに言うと、
「いいわ、表に出なさい」
外を指さしたのだ。
「あの、奥様、お二人が王都で本気出されますと被害が甚大なものに」
執事のクリストフが必死に諌めようとしてくれたが、
「クリストフ、何言っているの? 私がフラン相手に本気を出すとでも」
「いえ、奥様、その……」
クリストフは母の言葉に詰まっていた。そう、母は顔は笑っているが目は笑っていなかった。これは本気で怒っている。そんな母に使用人が逆らえる訳は無かった。
「姉上、まずいって絶対に! ここは母上に謝って」
ジェドも必死に私に言ってくるが
「いいから黙っていて」
私はジェドを横にどけて外に出たのだ。
私は毎日毎日の礼儀作法マナーの補講で完全にストレスが溜まっていたのだ。
でも、母相手なら思いっきりやれる。
私は久々に持てる力の全てを放出することが出来ると、完全にやる気になっていた。
「みんな、直ちに地下のシェルターに避難するのだ」
クリストフが慌てて大声で叫んでいた。そう、一応地下にはご先祖様が作った核シェルター並みの頑丈な施設があるのだ。
「大変だ」
「お屋敷がなくなるかも」
「何言っているんだよ。それで済むわけがないだろう」
「下手したら王都が壊滅するぞ」
使用人たちや騎士たちは口々に不穏な言葉を言いながら建物の地下に避難していく。
全員がいなくなったのを見て母が私を睨みつけた。
「フラン、あなたの思い上がった高慢ちきな鼻っ柱を叩き折ってあげるわ」
母が何か言ってくれているけれど、ここはやるしか無いのだ。
やるなら先制攻撃、それも持てる力の全てを出すしか無い。
私は久々にわくわくしたのだ。
私は深呼吸すると
「行っけーーーー」
私は魔力を一瞬で最大に高めるとそのまま、母めがけて放出したのだ。
最大規模の爆裂魔術を!
ドカーーーーン
凄まじい爆発が起こる。
でもこんなもので勝てない事は私も判っていた。その爆発が起こった時には、私は飛び上がっていた。そして、エクちゃんを引き抜いて最大スピードで母に向かって斬り掛かっていたのだ。
「喰らえ!」
爆発の噴煙が薄れたなか、母が少しみえたその瞬間、渾身の力を振り絞って斬りつけたのだ。
母の衣服はすでにボロボロだった。
何とかなったか!
私は少し喜んだが、私の渾身の斬り込みを母は展開した障壁で受けてくれた。
ズドーーーーン
凄まじい爆発が起こる。
パリンと障壁は割れたが、母がその瞬間、ニヤリと笑ってくれたのだ。
「まだまだね」
そう言うと、爆裂魔術を私目掛けて放ってくれたのだ。
私は障壁を展開しようとしたが、間に合わなかった。
ドカーーーーン
私は母の攻撃の直撃を受けボロ雑巾のように弾き飛ばされて地面に叩きつけられていたのだ。
「ふんっ、私に対抗しようなんて100年早いわ」
母が私の目の前に来ると言ってくれた。
私はもう、抵抗する力も何も残っていなかった。
「フラン、その高慢ちきなお前の考えを叩き直すために、もう一度試練を与えてあげるわ」
母はそう言うと私の腕に何かを嵌めたのだ。
「これは魔封じの腕輪よ」
母は言ってくれた。
魔封じの腕輪。魔封じの手錠なら何回かはめられたことがあったが、いつもは私より魔力の少ない者が作っているので全然効果がない。しかし、母が作ったのならばその名の通りで全く私は魔術が使えなくなるはずだ。
「5歳の時の試練は手加減してあげたけれど、今回の試練は厳しいわ。お前から魔術を取ったらどうなるのやら。まあ、健闘を祈るわ」
そう言うと母は私の返事も聞かずに私を何処かに転移させてようとした。
「ちょっと待てババア!」
私は叫んだが、間に合わなかった。
そして、私は転移のショックで気を失っていたのだった。
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破壊の魔女は実の娘でも許しません。
どうなるフラン?
後一話更新します
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