落ちたベッドはメラニーのベッドでした
「ギャッ」
転移して私はベッドの上に落ちていた。
寝ていた人物を押しつぶしたのだ。
「め、メラニー」
その人物はなんとメラニーだった。
メラニーの真上に落ちたようだった。
「ちょっとフラン、どいてよ! 重い」
「失礼ね。私は軽いわよ」
メラニーに私が文句を言いながら退くと、
「何言っているのよ。気持ちよく寝ていた私の上に落ちて叩き起こしてくれて、そんな文句言うの? どのみちベッドの上に落ちて来るのなら、恨みのあるフェリシー先生の上に転移しなさいよ」
文句を言うメラニーに、
「そんなの出来るわけ無いじゃない」
私は頭を大きく振った。
そんな事した日には下手したら退学になってしまうじゃない!
私が震えて考えていると、
「で、どうやってここに転移してきたのよ? あんたも転移も出来るようになったの?」
メラニーが聞いてきた。
転移は母は得意だが、私は全然出来ない。
「まあ、必要になったら出来るようになるから」と訳の判らないことを母には言われてはいるが……
私は反省房の落書きのとおりにフェリシー先生の悪口を言ったら転移装置が発動してここに転移してきた話をすると、
「あんたの一族って本当にどの時代でも問題事ばかりしているのね」
とメラニーに呆れられてしまった。
いや、母や三代目に比べたら私はマシだと思うんだけど。
そう言うと「得てして一番の問題児は自分が一番マシだって言うのよ」
メラニーに呆れられてしまったんだけど、絶対にそんなことはないはずだ。
「で、本当に殿下と裸で生徒会室で抱き合っていたの? 周りはその噂で持ちきりだけど」
メラニーが聞いてきた。
「そんな訳無いでしょ。あんたに言ったとおりキスしただけよ」
「そうよね。フランがそんな大胆なこと事出来るわけ無いと思っていたけれど、でも、何故、クラリス様はそんな嘘言われたの?」
「そこがわからないのよ。真面目なクラリスが嘘を言うわけ無いんだけど」
私は首を傾げた。
「そうよね。どう見てもクラリス様は真面目だと思うんだけど。
でも、それからしたらクラス対抗戦の時に怪我された殿下とやたら近かったのは変だと思うんだけど。だって、あれってまるでクラリス様がピンク頭になったみたいな感じだったわよ」
そうだ。メラニーの言う通りなのだ。
本来クラリスは高位貴族の淑女で、異性に、特に婚約者のいる異性とはきちんとした距離を取っていたのだ。
あれはまるで私に嫉妬心を起こさせるためにやっていたみたいな感じだった。
でも、今までのクラリスなら絶対に取らない手段だった。
「うーん、それに最後に会った時、何か変だったのよね。今から思うと変な魔術の感じがしたと言うか」
「魅了されたとかそんな感じなの?」
メラニーが聞いてきた。
「魅了の魔術なんてこの世界にあったっけ?」
私が聞くと
「元々、ピンク頭はそんな感じじゃなかったっけ」
メラニーが言うんだけど。
「ええ、そうだっけ? 彼女は元々はヒロインだし、魅了なんてしなくても男が寄ってくる設定なんじゃない?」
「まあ、そうかも知れないけれど、でも、クラリス様の性格が変わったんでしょ。人が入れ替わっているか、魅了されているか、何か考えがあってやっているかどれかよ」
「人は入替っていないわ。魅了されているか何か企んでいるかのどちらかよ。でも、クラリスは何か企むっというのは無理だと思うわ。いつも、弟たちに振り回されているから」
「あんたとグレース様にも振り回されているわよ」
私の言葉にメラニーが言ってくれるんだけど、
「私はそんなに振り回してはいないわよ!」
「何言っているのよ。いつも私達を振り回しているくせに。クラリス様も絶対に振り回しているわよ」
何かメラニーが酷いことを言ってくれる。
「なら、残るのは魅了だけよ。あんたも変な魔力感じたんでしょ」
「でも、魅了なんてどうやってやるの?」
私が驚いて訊くと、
「旧帝国にはそういう魔導具があったって話だけど」
「旧帝国の魔導具?」
「そう言えばクラリス様、最近、同じ髪飾りをしていらっしゃるけれど」
「じゃあそれが魅了の魔導具ってこと?」
私が聞くと、
「その可能性は十分にあるわね」
メラニーが答えてくれた。
「最近、クラリス様と一緒にいらっしゃるのは王弟殿下のところのカミーユ様よね。王弟殿下一家はつい最近まで旧帝国の国々に遊学していらっしゃったんでしょう。そこでなら十分に手に入れられるけど」
「えっ、でも、カミーユがクラリスを魅了してどうするのよ」
メラニーの言葉に私は疑問が残った。
「王弟殿下は国王陛下とお母様が違うのよね。前国王陛下が侍女に産ませたって聞いたけれど」
メラニーがズバリ言う。
「私もそう聞いているわ。でも、それとカミーユがクラリスに魅了をかけるのはどう関係するの?」
私が単純に聞いた。
「あんた本当に単細胞よね。そこまで来たら普通は見えてくるものあるわよ」
「えっ、全然判らないわ」
メラニーが言ってくれるけど、私が首をかしげる。
王弟はひょうひょうとした人で、よく私に外国のお菓子をくれたとてもいい人なのだ。
私がその話をするとメラニーが頭を抱えた。
「あんた本当にすぐにお菓子で釣られるのね。ひょっとして帝国の皇帝からお菓子もらったらホイホイついていくんじゃないでしょうね」
「そんな事しないわよ。まあ、お菓子をくれる人はいい人だとは思うけど」
私がそう言うとメラニーは呆れ返っているんだけど。
何で? 皇太后様も王弟殿下もいい人よ。
「あんた籠絡するには本当にお菓子でいいのね。だから殿下もあんなにいつもお菓子持ってくるんだ」
「ちょっとメラニー、それどういう事よ」
いくら私でも、お菓子くらいでアドは許さないわよ。今回も王宮にいて、私一人が反省房に入っているって絶対に変だ。元々アドがしてきたキスなのに!
「ちょっとフラン、ここからは真面目な話をするからよく聞いてね」
メラニーが真面目な顔して言うんだけど、私も真面目な話をしているのに!
でも、それからメラニーが話しだした話は本当に深刻な話だったのだ。
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ここから核心に迫ります。
続きは今夜
皆様のおかげで書籍が出来上がりました。
本日出版社から出荷です。
書店に並ぶのは一日から三日後だそうです。
もう今からドキドキです!
本当にありがとうございました。
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