友人に今回の件について色々教えてもらいました

「そもそも、まずは現在の王位継承順位だけど理解している?」

「あんた、私を馬鹿にしているの? いくら私でも知っているわよ。第一位は婚約者が自分のせいで反省房に入れられても全く助けようともしない酷薄なアドでしょ。次が天使のヴァン。そして、何時も会ったら私にお菓子をくれる親切な王弟殿下で、その次がいつも私に逆らってくる生意気なカミーユよ」

私が自信を持って言うと、何故かメラニーが頭を抱えてくれているんだけど……


「あんた、本当にお菓子で釣れるのね。じゃあ、はい」

な、なんと、メラニーが焼き菓子を差し出してくれた。


「メラニー、あなた、天使だわ」

私はそれの菓子を開けて一口で口の中に放り込んだのだ。


「ちょっと、あんた、なんて、食べ方しているのよ! それでも公爵令嬢なの?」

メラニーが注意してくれるが、

「らって、ほははがふひて……」

「何言っているか判らないわ」

「……だってお腹が減って死にそうなのよ。ご飯なんて本当にちっぽけなパン一個と腐った野菜スープしか出なかったんだから」

私が何とか飲み込んで文句を言うと


「えっ、そうなの? じゃあ、これも食べていいわよ」

メラニーが戸棚から乾パンの袋を出してくれた。

前世懐かしい災害の時の非常食の乾パンだ。


「えっ、有難う! これ、懐かしいわね」

私はその乾パンをむさぼり食べた。

前世の記憶をもとにメラニーの商会で作って売り出したそうだ。備蓄用の食料にそこそこ売れているらしい。


私にとっては久し振りのまともな食料だ。


「ちょっと、ちょっと、あんた、そんなんじゃ……」

慌てたメラニーの前で、いかん、のどに詰まった!


メラニーはゴホゴホやる私の背中をたたいたり水を持って来てくれた。


「有難う。メラニー。本当にお腹空いて死ぬところだったわ」

私はとりあえず、乾パン一袋空けて人心地がついた。


「食べてないなら、そういう事は早く言いなさいよね。あいつら食事もまともに出さないなんてどういう事なのよ?」

「でしょう。絶対に許さないんだから」

食事の恨みは怖いのだ。


「で、その王位継承順位が何か関係するの?」

私がやっとお腹が少し膨れて、思い出して聞くと、メラニーは私を見て呆れたような大きなため息をついてくれた。何だかめちゃくちゃ失礼だ!


「今、殿下らが王宮で出迎え準備している公国の大公殿下はあんたの所に不満持っているわよね」

「そうかな。まあ、300年前は叩き潰したし、三代目の時も連合軍を殲滅したけど、領地を取り上げたのはグレースの祖先よ」

メラニーの指摘に私は他人事のように言った。


「そんなこと言っても、あんた所にコテンパンにやられたんだから、あんた所にも恨み持っているわよ」


メラニーが言うんだけど、でも、現実に領地取り上げたのはグレースの先祖だし、恨みはグレースのラクロワ家にしてほしいんだけど……


「ああ、それであの子ら私に突っかかってくるのね」

私は大公の子供たちが私に反抗的な理由に得心して頷いた。


「あんた本当に他人事ね」

「だって、そんなこと言ったら、世界の大半はうちの事を恨んでいると思うのよね」

私は平然として言った。帝国にしろ、海賊共にしろ、帝国教にしろ、絶対に私達を恨んでいる。


それを聞いて何かメラニーが頭を抱えているんだけど。


「あんたね、世界を敵にしてよく平気でいられるわね」

「えっ、だって、いざとなったら父とか母に任せれば良いから。あの二人に勝てる軍隊なんてそう簡単にいないし。偶には外で運動させたほうが良いのよね」

私は笑って言った。


「あんたね。そう言う問題なの? それに、あんた所の両親、魔の森の魔物を抑えているから、領地から出られないんじゃ無いの?」

「少しくらいなら大丈夫よ? 何しろ、魔の森の主のワンちゃんは私のお友達だし、古代竜は母のペットだし」

「……」

メラニーは呆れて黙った。


「えっ、どうかした? 何であの二人が領地から出ないかって? だってあの二人は領地でイチャイチャしていられたらそれで良いのよ」

本当にあの二人仲は良いのだ。それに面倒事は嫌いなのだ。

基本は領地でイチャイチャしていてくれたら他国も我が国の国王陛下も被害を受けないで静かにしていられるのだ。


まあ、それを見せられる領地の者にとってはたまったものではないが。子供たちの前でも平気でイチャイチャしているし……


「で、それがどうかしたの?」

私が聞くと


「まあ、大公のところはあんたに反発しているのよ」

「それで今回反省房に入れられたっていうの?」

「それとクラリス様のところはエルグランの3っつの公爵家の1つじゃない。あんたのところとグレース様の所に挟まれて目立たないけれど」

「まあ、うちも色々と助けてもらっているとは思うけれど」

昔、半減された領地はグレースのところではなくて、クラリスのところが預かってくれているのだ。

その領地は魔の森とホラン国との境線と接していて、クラリスのところの軍は今一つなので、格安で我がルブラン家の騎士団が、責任をもって警護しているのだ。


「あんたのところって馬鹿なの? なんか、トルクレール公爵家にもうまく使われているような気がするんだけど……」

メラニーが何か言ったのは声が小さくて聞こえなかった。


「その公爵家がどうかしたの?」

「王弟殿下の所のカミーユ様と婚約の話が出ているんでしょ」

「まあ、どうなるかはわからないけれど、一緒によくいるわよね」

私としてはあのカミーユは昔から傲慢で嫌いだ。クラリスの相手としてはどうかとは思うけれど、私のことではないので、そこはそんなに強くは言えない。


「王弟殿下は元々、王太后様に色々虐められて恨んでいると言う話はあるわ」

「えっ、そうなの? 私はお二人からよくお菓子をもらっていたから良くわからないけれど」

私は首を捻った。


「でも、そう言えば、王太后様の前には王弟殿下はいなかったわ」

「そうでしょう」

「でも、王太后様の前は、王妃様も陛下もアドもヴァンもみんな避けていたんじゃないかと思うわ」

「そうなの?」

メラニーが目を丸くした。


「そうよ。そこにいたのはラクロワのおじいちゃんとうちのおじいちゃんで二人でしょっちゅう喧嘩していて、王太后様とトルクレールのおじいちゃんと騎士団長とかで必死に止めていた記憶があるわ。一度私が食べようとしたお菓子が二人が喧嘩して壊れちゃって、私が怒って二人にめってしたらそれから大人しくなったと思うのよね」

私が思い出して言うと


「本当にあんたって凄いのね。王太后様は礼儀作法に厳しいって言われていたけれど、何で礼儀作法の出来ないあんたは大丈夫だったの?」

「さあ、良くわからないけれど、そのテーブルだけ、いつもお菓子が沢山余っていたのよね。集まる人が少ないから。美味しそうだったから小さい時にとことこ歩いて言って、『お菓子食べていいですか?』ってきいたら、王太后様が膝の上に抱いてくれて食べさせてくれたのよ。それから何故か私の席が王太后様のテーブルになっちゃったんだけど」

「やっぱりあんたはお菓子が全てなのね」

ってメラニーに呆れられちゃったんだけど、そんなことはないはずだ!


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すみません。話が進まなくて。

明日くらいはそろそろサマーパーティーに行けたら良いなあと思います!

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