公国令嬢視点 絶対に破壊女に逆襲すると決めました
私は公国の姫君、マドレーヌ・シュタインだ。決して子爵令嬢ではない。
なのに、あの王太子の奴、私を見下して子爵令嬢子爵令嬢と何回も連呼しやがって、許さない。
もっとも、その横にいたあの破壊女がいらないことを吹き込んだに違いない。だって前の日は王太子は私には優しかったもの。
絶対にあの女だけは許さない!
私は小さい頃から公国の姫君として可愛がられてきた。
魔力量は兄よりは少ないが他のものに比べれば圧倒的に多かった。
その上、勉強も出来たのだ。周りのものに比べれば圧倒的に。
文字もすぐに読み書きできるようになったし、足し算や掛け算も二桁までは直ぐにできるようになった。
我が国では文字の読み書きの出来るものは少なく、計算も得意なものは少ないのだ。
「姫様はよくお出来なる」
「さすが姫様です。このように小さい時からおできになるなんて」
私の周りの家庭教師達は私を絶賛してくれたのだ。
確かに古代帝国の歴史は覚えることも多く難しかったが、必死に覚えたのだ。何とか半分は頭に入ったと思う。
でも、そんな優秀な私もエルグランの王立学園の入試では、目が点になった。
なぜ算数、いや、エルグランでは算数も格好つけて数学と呼ぶそうだが、何故か古代文字のXとかがたくさん出てくるんだけど、これは何かの誤植なのか?
私には全くちんぷんかんぷんだった。
回りの皆は平気で解いているのだけれど何故だ?
「先生」
私は監督の先生に質問した。
「これは誤植だと思うんですけど」
「えっ、いや、別に問題ないと思うが」
先生は私のプリントを見て答えてくれた。
「だって、算数の問題なのに古代文字のXが出てくるんですけど」
「はっ?」
何故か先生は固まってしまった。
「出来るところだけで良いから解いて下さい」
そして、何故かとても可哀相な者を見るような目付きで見るんだけど、何故だ?
後で聞くとこの国では判らない数字の代わりの四角の代わりに文字を使うんだとか。
そんなの知るわけ無いじゃない!
それで、テストの点数が低いのは仕方がないでしょう!
この国エルグランの歴史も覚えていないし、古代帝国のところは半分くらい判ったけれど、そんなので点数が取れる訳ないじゃ無い。
それで最低点だと言われても仕方がないのよ。
なのにあの王太子は馬鹿にしてくれて!
最初はあの破壊女の公爵令嬢が私に生意気な口を聞いてくれたから、母と一緒に王妃文句を言って虐めようと思ったのよ。
聞いたら私達のターゲットのルブラン公爵の娘だって話じゃない。
礼儀作法が全然なっていなくて、王妃の前だと、私に対した威勢の良さは完全に姿を消して、可哀相なくらいだったわ。
魔術が凄いって噂だったけれど、これなら、楽勝で、礼儀作法だけで、潰せると思ったのよ。
格好良い王太子と食事も出来たし、うまく行けば王弟の息子でなく、王太子を物に出来るかも知れないと思ったんだけど。
でも、破壊女の取り巻きが邪魔してくれて、それに王太子までつられてくれて、私の作戦は台無しになってしまった。
挙句の果てに我が国がルブランの蛮人のお情けで生きているなんて悪評を立てられて最悪だった。
ルブランの蛮人と我が中央の常識人は普通は戦ってはいけないのだ。
それを我がご先祖さまは間違って戦ってしまったのだ。
それが間違いの始まりだった。
破壊女は相変わらず、礼儀知らずの蛮人だった。
何しろ
「ああああああ!」
と、猿のように雄叫びを上げて海賊船に乗り込むのだ。
あれを見た後はどれだけ笑えたか!
絶対に私は恥ずかしくて、あんなことは出来ない。
その蛮人の破壊女と対抗できるのは古代帝国史の中でも最強の我がお兄様しかいないのだ。
何しろ皆が言うには、お兄様は、ここ千年の中では最強の魔術師らしい。
「マドレーヌ、何を余計なことをしているんだ。ルブランの奴らに馬鹿にされるなんて!」
そう思ったところにやっと兄が来てくれたのだ。
「お兄様、ちょうどいい所に。私、あの蛮人の破壊女に、虐められているの。絶対にお兄様が私のこの屈辱を晴らして頂戴」
「ふん、勝手にあの破壊女に手を出そうなどとするからだ。良かろう。古代帝国時代も含めて最強の魔術師の俺が破壊女に鉄槌を食らわしてやるわ」
兄はそう言うと不敵な笑みを浮かべてくれた。
これであの憎き破壊女に目にもの見せてやるのだ。
私は早速翌日兄を破壊女の前に連れて行こうと思ったのだ。
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