帝国皇女の陰謀で退学になりそうになりました
アドが私を裏切って、帝国の皇女と抱き合っていた・・・・。もう私は許せなかった。
絶対に!
私はメラニーとノエルと一緒に、食堂で爆食いしようとトレイに目一杯取った食べ物を載せていた。二人の残念な者を見るような視線は無視だ。もうやけ食いだ!
ダンッ
「本当に許せない!」
トレイを置いて、私は机を叩いていた。
バキッ
という音と共に、机が真っ二つになる。
二人のトレイはまだ置いていなくて無事だった。
私の山盛りトレイも、メラニーが持ってくれた。
「ちょっとフラン。机に当たるのは止めてくれる!」
メラニーに文句が言われた。
「だってメラニー、私、アドを信頼していたのに! なのに裏切られたのよ!」
「そうよね。フランが怒るのは無理ないわ! 本当に信じられないわよね!」
頷いて一緒に嘆いてくれる、ノエルは本当の友だ。
メラニーは何か言いたそうにしているが、無視だ。
壊れた机はメラニーが、リペアの魔術で直してくれる。
「でもフラン。あんたが怒るのも判るけど、殿下はあんたを本当に裏切ったの?」
「裏切ったに決まっているでしょ! あんたも見たじゃない!」
私が叫ぶと、
「そうかな? 私から見ると、単に帝国の王女に抱きつかれただけに見えたけど」
「それが裏切り以外の何になるのよ!」
メラニーの言葉に私は切れて言った。
「だったらあんたも殿下に抱きついたら良かったじゃない」
「何で私がアドに抱きつかなければいけないのよ」
「売られた喧嘩は買わないと」
なんかメラニーが訳の判んないことを言ってくる。
「それもあの淫乱皇女、あろうことかアドの顔を胸に挟んだのよ」
「本当よね。あんたは胸が小さくてやろうとしても出来ないものね」
「ちょっとメラニー、何を言うのよ。と言うか、あんたどっちの味方なの?」
私がメラニーの言葉にプッツン切れて言った。
「そんなの、エルグラン王国の味方に決まっているじゃない。国のためにならないことはやらないのよ」
「ちょっと、待って! 何よ、それは? そうか、判った。あんた誰かに何かもらったのね」
私はメラニーらしからぬ言葉に驚いた。そして気付いたのだ。絶対になにか裏がある。
「失礼な。陛下に言われたのよ。『帝国が色々しかけてくるかもしれないが、フラン嬢の事はよろしく頼む』って」
「何の見返りを受けたのよ」
私が問いただすと、
「バロー商会を王宮御用達にしてくれるって。だから父からもくれぐれもちゃんとやるように言われているのよね」
なんかやけに冷静な対応していると思ったらそういうことか。メラニーは計算高いのだ。ただでは人のために動かない。
「失礼ね。私もあんたのために頑張っているのよ」
「うちの母には何をもらったの?」
「失礼な。何ももらっていないわよ。今度両親連れて遊びに来ていいって言われただけよ」
この娘、破壊の魔女と恐れられているうちの母相手にもちゃんと商売をしているではないか。
私は呆れてしまった。
「フラン、フェリシー先生が呼んでいるぞ」
そこへアルマンがとんでもないことを言いに来た。
「えっ。聞かなかったことにするわ」
私はスルーすることにした。絶対に行きたくない。フェリシー先生の用なんて碌なことはないからだ。皆呆れた顔で私を見る。
「そんなの通用するわけ無いだろう。出張説教を食らいたいのか。あの先生の剣幕からするとお前の部屋まで行きそうだけど」
それはもっと嫌だ。夜通し怒られそうな気がする。
「で、どこまで行けばいいの」
「学園長室だ」
「げっ、それって最悪のパターンじゃない」
私はぞっとした。
「アルマン。私のふりして怒られてきて」
「おい、どう見ても俺とお前は似ていないだろう」
「そんなの当たり前じゃない。私は男じゃないわよ」
「じゃあ行った瞬間お前じゃないってばれるだろう!」
「代わりに来ましたって言えばあんたなら許してくれるわよ」
「そんな訳あるか」
私は散々、嫌だとゴネたのだが、許されなかった。
結局、「仕方がないからついていってあげる」のメラニーに連れられて学園長室の扉をノックしたのだった。
「失礼します」
「失礼します」
私たちは挨拶して中に入った。
「メラニーさん。あなたを呼んだ記憶はありませんが」
一緒に入ってきたメラニーを見てフェリシー先生は戸惑った。
「私はフランのお目付け役です」
「はっ、呼ばれていないのに入ってきてはいけません」
フェリシー先生はキッしていった。
「だって先生、私はフランのお母様からは『娘に何かあったら困るからよろしくね』って言われているんです」
メラニーが何故か、学園長の方を見ながら当然のように言う。
「そんなのは許されるわけ無いでしょう」
目を吊り上げてフェリシー先生が言った。
まあ、メラニーには居てほしいけど、これ以上フェリシー先生の心象を悪くすると3時間コースだ。ここは仕方がないかと私が諦めようとした時だ。
「ええええ! 学園長。私、側にいられない時は、心配だからお母様を呼べってフランのお母様からはきつく言われているんですけど」
メラニーが爆弾を落とした。そんな、母が来たら下手したら帝国の王宮の二の舞いだ。こんな学園一瞬で終わりだ。
「いや、ちょっと待った。フェリシー君。公爵夫人が来るのは不味いだろう。ここはメラニー君でいいのではないかな」
慌てて学園長が言う。学園長も必死だ。帝国の王宮の二の舞いだけにはなりたくないのだろう。
「学園長!」
フェリシー先生は学園長を睨見つけるが、学園長は明後日の方を見て無視する。
フェリシー先生は諦めたようだ。
「判りました。ではメラニーさんは静かにしているように」
メラニーが頷いた。
まあ、静かにしているかどうかは判らないけれど、というか、私のピンチには絶対に助けてくれるはずだけど・・・・
「エミーリアさんから、報告を受けたのですが、あなたはあろうことか帝国の皇女のエミーリアさんに殴りかかろうとして、それを庇おうとした殿下を殴りつけて壁に激突させて傷つけたというのは本当ですか? これが本当ならば退学処分が妥当だと思いますがどうなのです」
フェリシーの無情な声が部屋の中に響いた。
た、退学処分?
そ、そんな、私の青春が退学で終わってしまうの?
私は目の前が真っ暗になってしまったのだ。
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