第15話 聖女に王子が毅然とした態度で注意すると、生まれて初めてもらった花束が教室中にばらまかれてしまいました

私は今までのアラモードプリンを食べて幸せモードは、ピンク頭の出現によってあっという間に吹雪モードに変わった。こいつなんなのだ! いつもいつもアドにくっつきやがって、それもこちらを自慢タラタラ見るのはやめててよ。


それにアドもアドだ。なんでいつもピンク頭にすがりつかれてにやけた顔をしているのだ!

私はプッツンキレてアドを見ると、なんとアドが不機嫌モードになっているではないか。自分のプリンがなくて怒っているのだろうか?


「デボア伯爵令嬢」

「やだー、アドルフ様ったら、私のことはローズって呼んでって言っているじやないですか」

氷のようなアドの言葉にも全く動じずにピンク頭は言った。さすがピンク頭。空気読まずに言うのは超一級じゃない?


「は?、何言っているんだ。学園は皆平等だが、婚約者でもないのに私は名前呼びするつもりはないし、呼ばれたくもない。そもそも、君はベタベタ私にくっつきすぎだ」

「す、すいません。私、まだ、貴族の生活に慣れていなくて」

アドの剣幕にさすがに半泣きになって、ピンク頭が言う。


おいおい、平民でも普通、男にくっつかないだろう! こいつの感覚はどうなっているのよ?

私は白い目で見た。


「貴族に中々慣れなくて、だから友だちも出来なくて」

半泣きになって、ピンク頭が言う。

泣かれると男は弱い。アドもタジタジになっている。ここはガツンと言ってやろうか、と私が思った時だ。


「ちょっとあんた。平民の女が皆、親しくもない男にベタベタくっつくような印象与えないでよね」

そこには怒って立ち上がったノエルがいた。


「えっ」

ピンク頭がキョトンとしている。


「そうよ。普通そんなにべたべたしないわよ。それも殿下になんて恐れ多くてできるわけないじゃない」

「あんた自分が淫乱だからって、平民が皆そうだなんて印象与えないでよね」

「何が聖女よ。淫乱娼婦の間違いじゃないの」


「えっ、何よ! あんたたち。平民のくせに伯爵令嬢に逆らうっていうの」

きっとしてピンク頭が言った。


こいつ馬鹿なのだうか。今まで貴族に慣れなくて皆に虐められるみたいに言っていたのに、平民に突っ込まれたら伯爵の笠を着るって、どういう頭の構造しているのだろう? そんなのここで出しても親の顔にドロ塗るだけでしかないのに。それに、親の地位を出すのならば、私は腐っても公爵令嬢なんですけど・・・・。公爵令嬢に逆らうのか?って思わず言ってやろうかと思ったが、その前に、


「デボア嬢。学園の中で親の地位を笠に着て言うのは禁止されているぞ」

アドが思わず注意していた。良かった余計なこと言わないで。


「えっ、殿下、いえ、これは違うんです」

慌ててピンク頭は言い訳しようとした。


「どこが違うんだ。自分の行動がおかしいと同じ学年の子に指摘されただけで、伯爵という地位をちらつかせて脅したよな」

「そんな、殿下、信じて下さい。私、そんなつもりじゃ」

「じゃあ、どんなつもりなんだ」

アドはさらに突っ込む。ピンク頭は真っ青になった。


「そんな、酷い、殿下酷いです。わああああ」

泣きながらピンク頭は去って行ったのだった。


「何なのよあれ。絶対におかしいよね」

ノエルの声に皆頷いた。あいつ絶対にわざとやっていやがる。まあ、いざとなったら私が〆るけど。でも、待てよ。そうなったら処刑台ヘ一直線になってしまうのだろうか?


「いやあ、皆、デボア伯爵令嬢が迷惑をかけたね。彼女の父親や教会にも私から注意しておくよ」

疲れたようにアドが言った。


まあ、今回はくっつかれても毅然とした態度をアドが取ってくれたので、許すとしよう。

私はうんうんと頷いた。それにアドがクラスメイトを庇ってくれてちょっと嬉しかった。


「まあ、これからも私の婚約者をよろしく頼むよ」

アドはそう言った笑った。


「お任せ下さい」

「またプリンお待ちしています」

「おいおい、殿下に何度も奢らせるなんてそれはないだろう」

ノエルの声にアルマンが突っ込んだ。

「まあ確かに程々にしてくれ」


アドの言葉に皆笑った。


うーん、なんか私のことをアドに頼まれるのは変な気分だが、皆が笑ったのならばいいか。


そこで予鈴が鳴って私たちは慌てて立上った。また、食事が完食できなかった・・・・。

明日こそは完食してやるぞ、厨房に悪いと思いつつ、私達は食器を片付けると慌てて教室に向かった。


そして、急いで入った教室で唖然とした。


外の水差しに挿しておいた私が生まれて初めてアドから貰った花束が、グチャグチャになって教室中にばらまかれていたのだった。

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