第4話 通う娘

「聞いたわよ。カタリーナ様達を泣かしたんですって?

 やるわねぇ」


 愉快そうにそう言ったのは、正室であるアザリーナだ。

 今日は彼女が主催する茶会に招かれたのである。

 茶会、と言っても今日は正室とナターシャの二人だけの私的なものだ。


「あと、陛下も怖がらせたのよね」


 本当に楽しそうである。

 

「怖がってたんですかね?

 陛下は驚いてはいましたが。

 カタリーナ様達に関しては、他のお妃様達は確かに泣いて居ましたけど、カタリーナ様は仏頂面でしたよ」


「ふふふ、物は言いようね。

 でも、お陰で陛下とはとてもいい時間を過ごせたわ。

 貴方の助言のおかげね」


 言われて思い出す。

 そういえばナターシャはあの話をした後、冗談半分に国王へ、


『怖いのはエッチなことをすると寄ってこない』


そう助言をしたのだ。

ただ、こんな率直な助言ではなく、実際はもっと遠回しな言い方だった。


「夫婦の営みのお手伝いが出来たのであれば幸いです」


どちらかと言うと、世継ぎを作る手伝いが出来た、が正確かもしれない。


 それこそ下品で下世話なことだ、と怒られることも覚悟していたのだがそうでもなくて、ナターシャはちょっと安心した。


「ふふ、それはそうと。

 私にもお話を聞かせてちょうだいな?」


 アザリーナの言葉が一瞬理解出来ずに、ナターシャは首を傾げた。


「はい?」


「そうね、私は、下世話と言われてるけれど恋愛話が好きなの」


「……え、怖い話で恋愛モノ、ですか?」


「そうそう。そんな話は無いかしら?」


 このやり取りを見ていた、アザリーナ付きの女官と侍女は互いに顔を見合わせた。

 さすがにそれは無茶振りなんじゃ、とナターシャを見る。

 彼女の紡ぐ物語について、女官と侍女は仕事仲間から聞いていた。

 なので、ある程度内容については知っている。

 とてもではないが、アザリーナが想像しているような王道の恋愛モノが入り込む余地などないと思われた。

 あったとしても、なんというか愛憎劇のような気がする。

 

「そうですねぇ。アザリーナ様のお気に召すかはわかりませんが。

 ありますよ」


 しかし、侍女と女官の思いに反してナターシャはあっさりと断言した。

 あるんだ、と侍女と女官は驚きを隠せない。


「じゃあ、それをお願いするわ」


「わかりました」


 快諾して、ナターシャはお茶を一口飲んで喉を湿らせる。

 そして、話し始めた。


「これより語るお話は、【通う娘】というタイトルです。

 さて、昔昔のこと。

 とある村にある協会。

 その近所に、馬車の事故により家族に先立たれた男が一人で暮らしておりました。

 この男、かつては王都で名を馳せた剣士でありました。

 しかし、先程申したように不幸な事故によって家族を亡くしております。

 どれだけ剣の腕が立とうと、愛する者すら守れないのならその称号に意味は無い。

 家族を亡くした時にそう痛感した男は、知人を頼って小さな村に移り住みました。

 その村で男は畑を耕し、時には村人たちのために剣を振るい、ある時は害獣を、またある時は盗賊を倒していました。

 そんな生活にも慣れた数年後のことです。

 夏のある夜のことでした。

 その日は親しい村人の家に招かれ、日頃から男が村に貢献しているということでそのお礼として食事を振舞われました。

 その食事会からの帰りのことです。

 夜ということもあったのでしょう。昼間の暑さはどこへやら。

 夜風が吹き、とても心地よく男の肌を撫でていきます。

 そんな帰路の途中のことです。

 道の向こうから、ランプの明かりがユラユラと揺れながら近づいてくるではありませんか。


 はて、このような夜更けに人とは珍しい。


 男は不思議に思ってランプの主を見ました。

 幸いその日は満月でした。

 そのため、相手の顔が良く見えました。


 なんと、美しい娘だ。


 男は息を飲んで歩いてくる娘を凝視します。

 とても美しい娘でした。

 

 女神だ。


 そう考えてしまうほど、その娘は美しかったのです。

 さて、その娘に付き従っているのは十歳ばかりの幼女でした。

 幼女の手にはランプがあります。

 幼いながら、身なりとしては侍女でしょうか。

 美しい娘の方は、着ているものも上等そうなので、おそらく貴族か、はたまた大商人の娘と思われます。

 しかし、奇妙なのは変わりません。


 はて、このような夜更けに年頃の娘が出歩くか?


 これがほかの村人であったなら、化け物の類として恐れ、逃げたことでしょう。

 ですが、男には少しですがそう言った化け物、魔物の知識がありました。

 だからでしょう。娘と幼女がではないことが一目でわかりました」


 何やら含んだ言い方だ。

 これは何かある、とアザリーナは物語りに集中する。


「男は娘と、娘に付き従う幼女へ声をかけました。


 このような夜更けにおでかけですか?


 美しい娘が答えました。

 それによると、どうやらこの娘はさる貴族のご息女だとか。


 お気遣いいただきありがとうございます。

 驚かせてしまいましたね。

 しかし、この夜の散歩には理由があるのです。


 娘の話によると、どうやら彼女と彼女に付き従う幼女はさる理由から教会に世話になっているらしいのです。

 聞けば興味を持つのが人の性。

 男も大変興味を持ちました。

 というのも、教会の管理を任されている神父からは、この二人を預かっているなどということは欠片も聞いていなかったからです。


 不躾とは思いますが、その理由を聞いてもよろしいでしょうか?


 男に訊ねられ、娘は答えました。

 娘も男が都会から移り住んだ人間であると、神父から聞いていたのでしょう。

 だからこそ答えたのです。

 そうでなければ、問い詰められても答えていなかったでしょうし。

 呼び止められても、反応すらしなかったことと思います。

 さて、娘の話によるとどうやら彼女は遠い先祖の血が原因である病に侵されている、とのことでした。

 なんと、彼女は陽の下では肌が焼け爛れ、酷いと足や手の指先から灰になってしまうそうなのです。

 彼女の遠い遠い先祖に吸血鬼がいたためです。

 混血が進んで、娘以外の家族は陽の下でもへっちゃらでした。

 彼女も数年前までは、陽の下にいても平気でした。

 しかし、本当に突然体がそのように変化してしまったのです。

 厄介だったのは、娘には吸血衝動はなく、陽の下にいると灰になること以外はふつうの人間と変わらなかったことです。

 病、と娘は言いましたが正確には病ではなく、ある時を境に体質がそのように変化してしまっただけだったのです。

 だからこそ治る、ということはありません。

 もしかしたら、またいつか体質が変わって普通に生活できるかもしれませんが、そんなこと高名な医者でも断言できることではありませんでした。

 そして娘を持て余し、醜聞を嫌った家族からは療養という名目で教会に追いやられたのだというのです。

 男は思いました。


 哀れな娘だ。


 そういった先祖返りによる体質の変化も王都では、まれに聞く話でした。

 しかし、男が、そして娘たちがいる村ではそういったことはまだまだ認識されていませんでした。

 異種族同士ではなく、獣と契ったから、などと言われて差別と迫害の対象になってしまうのが常でした。

 だからなのでしょう、病気として教会に世話になっている、という話ならば万が一娘のことが村人にバレてもごまかせる余地があります。

 男は娘が可哀そうでなりませんでした。

 本当なら、良家との縁談がきていても、いいえ、婚礼を済ませていても不思議ではない年頃の娘です。

 その同情心から、男は気づくとこんな提案をしていました。

 

 娘さん、暇なときにはうちに遊びにくるといい。

 うちには、家族が遺したボードゲームあるし、読み物もある。

 何よりも教会の近所だ。

 いつ危険があるかもわからない夜の散歩をするより安全だと思うが。


 もちろん、この時の男には下心なんてありませんでした。

 ただただ、娘と小間使いの幼女を心配しての提案でした。

 娘は驚いたものの、白百合のような可憐な笑みを浮かべて、その申し出を受けました。

 ですが、娘の方も自分たちの面倒を引き受けてくれている神父を想ってのことでしょう。

 このようなことを男にお願いしてきました。


 どうかどうか、神父様にはこのことは伝えないでくださいまし。


 さて、その翌日の夜から早速娘たちは男の元へ遊びにくるようになりました」


 そこまで物語に集中していたアザリーナだったが、不意に娘のセリフを口にしたときのナターシャの表情を見てしまった。

 そして、条件反射のようにこう思ってしまった。


(気持ち悪い)


 もちろんその笑みは役になりきっているからこそのものだと、アザリーナは理解できていた。

 けれど、ついそう思ってしまうほどに嫌な笑みだったのだ。

 まるで、まるで。


(まるで、人を騙して堕落させる、悪魔の笑みのよう)


 現実にはたしかに魔族と呼ばれる種族がいる。

 しかしアザリーナが思い浮かべたのは、そのような実在する種族ではなく伝説上の存在だ。

 一説によれば、魔族を差別するために悪魔扱いしたとも言われている。

 もちろん、現代ではそのようなことはない。


「娘たちが遊びに来るようになって数日ほど過ぎたころのことです。

 男と親しい村人の一人が、彼の変化に気づきました。

 この村に来て、病気の一つもしたことのない男が、今にも倒れてしまいそうなほどやつれていたのです。

 その村人は男のことを心配して、神父様に薬草をわけてもらったらどうだ、等と提案しましたが、男は笑うだけで、真剣に取り合おうとはしませんでした。

 しかし、その日の夜のことです。

 病気ではないにしても、村のためにも男に倒れられてはいけないと考えた村人は、精がつくように、と知り合いの猟師から分けてもらった干し肉を手に男の家へ向かいました。

 すると、男の家から楽しそうな笑い声が漏れてくるではありませんか。

 それも片方は若い娘の声です。

 村人は、ははぁ、と合点がいきました。


 なるほど、たしかに奴も男だ。

 連日お盛んだったというわけだ。


 やつれていた理由がわかり、村人は安心しました。

 そうなってくると、今度はこの娘がどこの誰なのかということが気になります。

 村には年頃の娘はそれなりにいました。

 その中の誰かなのだろうとすぐ想像できました。

 

 明日にでも冷やかしてやれ。


 そんな悪戯心が、村人を行動させました。

 そして、村人は男の家の窓からこっそりと中を覗いたのです」


 そこでナターシャは言葉を切り、村人になり切って驚愕の表情を浮かべ、叫んだ。


「ひ、ひぇええええええ!?」


 普段のナターシャからは想像もできないほどの、哀れな悲鳴にさすがのアザリーナも体をびくつかせてしまう。

 そんなこと気にせずに、ナターシャの物語は続く。


「なんということでしょう。

 家の中では、男と上等な服を着た骸骨と、小さな小間使いが着るような粗末な服を着た骸骨がテーブルを挟んで座り、談笑していたのです。

 村人の叫びも耳に入らないほど、楽し気に談笑していたのです。

 すっかり腰を抜かしてしまった村人は、それでも這いずりながらその場から逃げました。

 そして、男の家のすぐとなりにある教会の神父へ泣きついたのでした。

 事情を聴いた神父は、翌日の昼に畑仕事をしていた男のもとを訪れ、男の顔を見るなり何が起きているのか、察しました。


 お前さん、毎晩女と会っているね?

 その女とはもう会ってはいけないよ。


 なんのことだか。


 とぼけようとする男に、神父はさらに言います。


 その女に何を言われたかは知らないが、お前さんのもとに来ている女は死者だ。

 そのような者と逢瀬を重ねていては、近いうちに死んでしまうよ。


 女が死者である、という言葉に男は激しい怒りを覚えました。

 ほんの数日のかかわりでしたが、いつの間にやら、男はあの娘を愛するようになっていたのです。

 娘も男のことを憎からず想っているように感じました。

 神父を男は睨みつけました。

 そんなのお構いなく、神父はこう言いました。


 私の言葉を嘘ととらえるかね。

 それならば、この聖水を君の家の周りに撒いても支障はないだろう。

 その女が生者ならば普通に家に入れるはずだ。

 だがもしも死者ならば、わかっているね?


 神父の言葉を男は鼻で笑いました。

 そしてつい、


 何を言ってるんだ、あの娘は貴方のところで世話になっていると言っていたぞ。


 そう言ってしまったのです。

 男の言葉に、神父は悲しそうに首を振りました。

 そして、優しい口調でなだめるように、男へ言いました。

 

 そんな娘はいないよ。

 考えてもみなさい。

 ここは狭い村だ。

 そんな娘がいたなら、たとえ秘密にしていても伝わってしまうものだよ。

 でも、そんな噂をお前さんは耳にしたかい?

 してないだろ?

 つまりはそういうことだよ。


 神父の言葉に、男は愕然としました。

 頭では、女たちが死者であるということを必死に否定しようとするのです。

 ですが、世話になっていると言っていた教会の神父から、その存在を否定されてしまえば反論などできるわけがありません。

 死者かどうかはともかく、少なくとも娘が男に対して嘘をついていた、というのは事実なのですから。

 神父は男に聖水の入った瓶を渡して帰っていきました。

 自分の目で確かめたほうが早い、そう考えたのでしょう。

 その日の夕方、哀し気な顔で家の周りに聖水を撒く男の姿がありました。

 そして、いつも娘たちが来る時間となりました。

 足音がします。

 それは玄関前で止まりました。

 そして、届いたのは、哀し気な娘の声でした。


 あぁ、あぁ、ここを開けてくださいまし。

 後生です。


 男は答えます。

 優しく、答えます。


 なんのことだ。鍵なら開いているよ。

 いつものように家に入ってきていいんだよ。


 あぁあぁ、どうしてこのような意地の悪いことをなさるのですか?


 なぜ、入れないんだい?

 

 あぁあぁ、開けてくださいまし。どうかどうか。

 愛しい人、開けてくださいまし。


 男の問いには答えず、娘は外から開けろ開けろと繰り返すばかりでした。

 まるで、男の声が届いていないかのようです。

 開けてしまいたい。

 そう思うものの、男は娘が死者などとは信じたくなかったのです。

 だから、信じていたからこそ、彼女が家に入ってくるのを期待しました。

 しかし、いつまでたっても娘も、あの幼女も入ってくる気配がしません。

 ただただ、哀し気に家に入れてくれ、開けてくれと繰り返すばかりでした。

 どれくらいそうしていたのでしょう。

 気づけば男は眠っていました。

 目を覚ました時には窓から朝日が差し込んでいたのでした。

 男の期待は裏切られてしまったのです。

 すぐに男は、神父のもとへ向かいなにがあったのか話しました。

 その話を聞いた神父は、男を諭しました。


 生者と死者は交わってはいけないんだよ。

 おそらくその者達は死してなお迷っているのだ。

 お前さんがその娘に心を奪われてしまったのは仕方ないことだ。

 でも、その想いは断ち切らなければ、彼女たちは今後も迷い続けることになるだろう。

 いいね?

 今後、なにがあっても彼女たちを招き入れてはいけないよ。


 そう言い含められました男でしたが、それは苦難の幕開けでした。

 毎日毎日、娘は男のもとにやってきたのです。

 そして、ある日のこと。

 娘はとうとう開けてくれ、とは言わなくなりました。

 男が娘がどういう存在であるか察してしまった、ということに気づいたのです。

 そして、聞こえているかどうかもわからないというのに、娘は身の上を語り始めました」


 そこでナターシャは、いれてもらったお茶に口をつけた。

 語りが長くなり、喉が渇いてしまったのだ。

 アザリーナもそうだが、侍女と女官が、続きを待ち遠し気に耳を傾けている。

 喉を潤して、ナターシャは語りを再開する。


「それによると、彼女がついていた嘘は一つだけでした。

 すなわち、死者であること、その点だけでした。

 生前体質の変化で夜にしか外出できなくなったことも、貴族の娘であることも本当でした。

 そして、その体質の変化により本当の病気になりこの世を去ったのです。

 その亡骸が埋められたのが、今村に建つ教会の墓地でした。

 しかし、迷いが残っていたようで彼女は夜になると村の中を彷徨い歩いていたのです。

 娘は、自分自身の迷い、未練についても理解しておりました。


 愛を知りたかった。

 恋をしたかった。

 一度でいい、たった一度でいいから、愛する人に抱かれたかった。

 体を重ねたかった。


 そうして出会いなんてない夜の世界で、出会ってしまったのがこの男でした。

 恋も愛も知らない娘が、初めて惚れたのがこの男だったのです。

 娘は必死で訴えました。

 

 わかっていました。

 本当はわかっていました。

 このままでは貴方をこちら側にこさせてしまう。

 それが駄目なのだと、わかっていました。

 でも、それでも、どうしても私は貴方の愛がほしかった!!


 娘は泣き叫んでいました。

 やめてくれ、もうやめてくれ、と男は苦しそうに玄関を見つめます。

 

 寂しかった。

 愛してほしかった。

 私の家族になってほしかった。

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。

 でも、信じて、私は貴方を愛していました。


 娘の言葉が過去形になった時。

 男は腹をくくりました。

 その時にはすでに苦しそうな表情は、ありませんでした。

 そして、扉を開けたのでした。


 翌日のことです。

 神父が日課のために、男の様子を見に家にいきました。

 声を掛けても返事がありません。

 まだ寝ているのだろうか、そう考えつつドアノブを回すと、鍵が開いていました。

 神父はすべてを察して悲しそうに顔を伏せました。

 

 その男の家の寝室では、満足そうに永遠の眠りについた家主と、家主に絡みついた骸骨がベッドに横たわっておりました。

 そしてその傍らには、古ぼけた人形が落ちていましたとさ。

 

 おしまい」


「興味深いお話だったわ。

 でも、あまり怖くはないわね」


 アザリーナが正直な感想を口にする。


「まぁ、比較的ハッピーエンドなお話ですから。

 友人曰く、友人の故郷では今回お話させて頂いた物語って、バリエーションがとくにたくさんあるらしいです。

 個人的に好きなのは【鏡占い】でしたけど」


 「あら、そうなの?」


 アザリーナが少し残念そうに返す。

 第二妃主催のお茶会のこともあったので、ナターシャは今回の話を選んだのだ。

 さすがに正室をガチで怖がらせにいくほど、ナターシャも馬鹿ではない。

 ちなみに、ずっと話を聞いていた女官と侍女は女の思いが遂げられたラストだったためか、感動の涙を流していた。


「その【鏡占い】は怖いのかしら?」 


 アザリーナに聞かれ、ナターシャは少し考えつつ返した。


 

「そうですねぇ。

【鏡占い】は復讐のお話なので、怖いといえば怖いんじゃないでしょうか?」


「そう、それなら次はそのお話を聞かせてちょうだいな。

 時間はまだまだあるし、お菓子とお茶もたっぷり用意してあるから」


 たしかにその通りだ。

 しかし、これは友人であり義姉のミズキに来てもらって紙芝居を公演した貰ったほうがいいかもしれない。

 無茶なのはわかっているが、ついそう考えてしまうナターシャなのだった。

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