Case.1 探偵なのに盗むんだゆ ㉓

 駄々っ子だだっこのように地面に転がっていた俺だが、二人が無視して出口を探し始めたので、急に冷静になり、同じように辺りを散策することにした。


「そういえば、この風車小屋の中は、と」


 開けると、そこに居たのは。


「あら、ヨシナリきゅん」

「て、手下その①さん!?」


 あのきわどいハイレグ姿だった赤い髪の女性が、半袖はんそでの白いワンピースに着替え終わるところであった。


「もう、オネーサンの着替え姿、のぞき見するなんて。男色薔薇星人だんしょくばらせいじんの集う宇宙船に投げ込んじゃうぞ?」

「ギリセーフでございまして!」

「そう。じゃあ、オネーサンは先にバカンス行ってくるから、ヨシナリきゅんもみんなを呼んできてね。このエレベーターで地上に行けるから」


 そう言って山盛りになった飼い葉の奥をまさぐると、小屋の奥の薄汚れた壁が二つに分かれ、その先にはガラスが張られた、おしゃれなエレベーターの内側が出現する。


「……今度は、オネーサンのとりこにしちゃうから」

「えっ」


 俺が何か言おうとする前に、手を振るその姿は閉められたドアで見えなくなる。


 ……また、会えるといいなあ。


 手下その①としての時以外ではまだ一度も会えてないけど、不思議な魅力みりょくを持つ美人の女性に17歳の俺はちょっとドキドキしてしまうのだった。

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