第7話

 

 ぐっすり眠れたからか疲れも取れて今朝は自然に早起きできた。少し前までは侍女に起こしてもらってたのにやればできるものね。

 宿の美味しい朝食を食べて冒険者ギルドに肉を取りに行き、その後はジュエリーを売る店を探しに行く。 


 宿を出る時にジュエリーの買取をしている有名店を3店舗女将さんに教えてもらったからとりあえずそこに行ってみようかな。


「ここかな?」


 1店舗目に着いたが、流石は有名店だなと思える綺麗な外観で中に入るといっそう華やかだ。


「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」


 そう声をかけてきた店員も有名店ジュエリー店らしい、華やかな女性だ。


「ジュエリーを売りたくて店を探していて、数点査定していただきたいんです」


 そういうと店員は私を上から下まで見回し、「は? この小娘がうちの店にジュエリーを売る? 冗談でしょ?」というような視線を向ける。


 え? 客をこんなにジロジロ見るなんて失礼じゃない?

 買い物にきた客じゃないとわかり態度もあからさまにダルげになった。


「じゃあ査定のできる者を呼んできます」


 10分ほど待つと、店の奥からさっきの店員と一緒にもう1人女性が出てきた。


 この人が査定担当の人かな?


「査定担当のジュリアです。

さっそくジュエリーを見せていただいてもいいですかぁ?」


 この人の態度も最初からひどい。

 きっと連れてくる時にもう1人の店員から期待できないとでも聞いたのだろうか。正直もう査定はいいから店を出たいけど、査定担当を呼んでもらったのにそうは行かないわよね。


 仕方なく1点ネックレスを出すと、価値がわかったのか査定担当のジュリアは目を輝かせる。


 ふんふん言いながら色々な角度からネックレスを眺めること数分。

ジュリアが顔を上げたかと思うと、「うーん、これは一見細工が凝ってて良い品に見えますけど、使われている宝石のグレードがあまり良くないですね」、と言った。


 ???


 屋敷から出た時に売り払うことを考えて目立たないようにあまり高すぎず華やかすぎないものを選んで持ってきたが、一応公爵令嬢が使っていた品だ。

 家柄的にも安いものは着けられないから買わないし、王都で貴族がよく使う老舗宝石店で買った物だし宝石のグレードが低いなんてそんなのありえない。


 私の年齢や見た目から自分で買った物じゃなく誰かから貰ったか譲り受けたかした物だと思っているのね。 

 価値を知らず売りに来たと思って、嘘をついて格安で買い取るつもりだわ。


 バレてないと思っているのか、「うちなら高く買い取りますよ!」なんて言っている。

 ジュリアが買い取り額として出した金額は金貨10枚。


 ここに傷もありますし、とか言って目を凝らしてじっくり見ないと気が付かないような傷を見せてくる。

 もちろん新品じゃないから多少の傷はあるが、使うたびにサーラが手入れをしてしっかり管理してくれていたし価値が下がるような傷や汚れはないはず。


 もうここで売る気はないし、次の店に行こう。


「ごめんなさい、希望と合わないので他を探します」


 そう言いネックレスをしまうと慌てて「金貨13枚でどうでしょう!?」「金貨15枚では!?」などと言ってくるが、気にせず店をでる。


「はぁ、酷い目にあったわ」


 気を取り直して2店舗目に行ったが、ここも入るや否や私のことをジロジロと見ると、期待できない客だと思ったのがあからさまに態度に表れる。


 ここでも試しに1点査定してもらったが1店舗目と同じようにあり得ない価格で買い取ろうとしてきたのでさっさと断って店を出た。


「この町にはまともな店はないのかしら」


 もうジュエリーを売るのは諦めて冒険者としてお金を稼げばいいかしら、なんて思うけれど今後の生活のためにはできるだけお金を貯めておきたい。

 気が乗らないけど女将に聞いた3店舗目までは行ってみようとオレリアは歩き出した。

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