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「……っ、どうして、優成」
「沙羅、大丈夫…?」
隣で泣きじゃくる彼女を、私はそっと慰める。
「雨音っ…!優成が…、優成が…」
私の目の前には、棺の中で、穏やかな顔をして眠る優成の姿があった。
「…っ結婚式、まだなのに、どうして!」
「辛いよね、沙羅。でも、大丈夫だから」
涙に濡れた彼女を、そっと抱き寄せる。
傷心状態の人間を落とす事は、容易い。
ー優成、あなたも使った手段だもんね
大学時代、当時沙羅と付き合っていた恋人を、私は寝取った。
その結果、傷心状態にあった彼女の心に漬け入り、彼は沙羅と交際する事になったのだ。
全ては、優成の描いた構図。
彼が女を落とす時の、常套手段であり、私は彼にとって、体の良い駒でもあった。
ー結婚する事になって、罪悪感でも芽生えたのかしら
先日、喫茶店で彼と会った際、優成は一つのUSBメモリを、私に渡してきた。
もう、私を都合良く、利用する必要は無くなったのだろう。
あれは、彼なりの手切れ金だったという訳だ。
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