第21話
しんどいしんどいしんどいしんどい
多田さんと別れてから、とりあえず保健室に向かった。
「失礼します。先生いますか。」
「はーい。まだ学校始まったばかりなのにどうしたの。」
「すみません。なんだかしんどくて。」
「あらあら、一旦そこに座って。気持ち悪い?吐く?」
「いえ、吐き気はないんですけど。。。」
「そう、それなら良かったのかしら。一応体温計っておきましょう。はい、体温計。」
そう言って先生は引き出しから出した体温計を差し出してきた。
「ありがとうございます。」
「昨日は体調大丈夫だったの?夜遅くまで起きてたりしてない?」
「昨日はここまでしんどくなかったんですけど、でも寝るのは遅くなってしまいました。」
アルバムのこともあって昨日は中々寝付けなかった。
「あら、それで体調わるくなったのかしら。あ、体温計り終わったわね。見せて。」
体温計を取り出し、自分でも軽く見たあと、先生の方に温度が表示されている方を見せた。
「37.6です。」
「うーん、これからもっと上がるかもしれないわね。どうする?今日は無理せず帰ってもいいわよ。気持ち悪くないなら、次の休み時間までベッドで休んでから荷物持ってくるといいわ。」
まだ学校に来たばかりで帰ってしまうことに気が引けたが、何となく多田さんや神原君の顔を見るのが気まずかった。
「じゃあそうします。ベッド使わせてもらいます。」
「ええ、そこの使ってちょうだい。私はこれから少し出るけどすぐ帰ってくるから何かあればその時か、緊急なら職員室に行ってね。」
「はい、ありがとうございます。」
そう言い残すと先生は部屋をあとにした。
案外すぐに休み時間になったため、保健室の先生にお礼を言い、教室に向かい、こっそりと荷物を持ちだし、担任に体調不良のことを伝えると気を付けて帰るように言われた。
荷物を持ちだしている時にクラスメイト何人かにチラチラと見られはしたが、特に話しかけられることもなく安心した。多田さんや神原君もちょうど教室にいなくてよかった。
1人になる時間があったため、少し気持ちが落ち着いた。
今日は母のパートが午前中までのはずだから午後は一緒に家で食べよう。
熱が上がってしまう前に昼食の準備でもしておこうかな。
そんなことを考えていると地元の駅に到着した。
食欲はそんなにないし簡単にそうめんとかでもいいかな、と思っていると突然声をかけられた。
「あっれぇ、もしかして櫻井じゃない?こんな時間になにしてんの。」
安達さんに。
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