第20話

あれ以降もすぐにいじめがなくなることはなかった。


ただ前よりも頻度や、やり口はましになったかな程度だった。


結局中学の途中くらいで安達たちも飽きたのか、いじめはなくなったかのように見えたが、吉乃はずっと1人でいるようになった。


話かけられれば答えるが、自分からは話しかけない。

ご飯もいつも1人。

班行動は先生に促されてどこかに入れてもらう。

田舎だから小学校のころからメンツもさほど変わらず、ずっと中学の最後まで吉乃は1人だった。


俺はどうにかして吉乃の行く高校を知り、必死に勉強した。

吉乃に罪悪感があったからかもしれないが、一番の理由はあの事件以降、ふとした瞬間に吉乃が消えてしまいそうな気がするからだ。


例えば技工の授業で刃物を扱ったとき。

例えば臨海学校で川に行ったとき。


あげればキリがないくらいそういった場面を見てきた。


そうなったのがあの事件のせいなら俺に責任がある。




なのに俺は未だに櫻井に謝れずにいる。

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