第18話

ある日の放課後。


学校に忘れ物をした俺は教室に向かっているところだった。


教室に入ろうとしていた直前に話声が聞こえたので思わず、立ち止まってしまった。


「ねえねえ、次どうする?」

「そろそろ飽きてきたよね。」

「安達ひどっ。飽きてきたとか。やりはじめたの安達なのに。」


最近、仲のいい女子たちは互いを苗字で呼び合うのがはやりらしい。


「だって、吉乃ちゃんってなんかうざくない?神原君もなんで吉乃ちゃんがよかったんだろ。」

「ねー。絶対れいちゃんの方が良くない?」

「わかる。」

「これで神原君から”お前なんか無理だから”って激しめに断ってくれればスッキリするのに。」

「安達わるぅ。」


まだ会話は続いていたが、これ以上聞きたくなかったため、忘れ物も取らずにその場を離れてしまった。


ただ自分の中ではこれであの子を助けられると思ってしまっていた。

まだ小学生の俺は安達が納得するような形で告白をなかったことにすれば助けられると思っていたのだ。



まだ会話は続いていたのに。





「でもスッキリするだけで、いじめをやめるかどうかはその時の気分だけどね。」

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