第16話

「俺と付き合ってください。」


小さな、まだ小学校5年生が頑張って勇気を出して告白した。


「。。。少し考えてもいい?」


女の子は最初驚いたような表情をしていたが、次には頬を赤くして恥ずかしそうにうつむいていた。



次の日学校に行くと、クラスの中心核の女子が集まって、ある一点を見つめニヤニヤしていた。


「どういう反応するかな?泣いちゃうかな?」

「えー、困るー。なぐさめないとじゃーん。」

「これで泣かなかった場合さ、机とか外に投げちゃう?」

「やば、ドラマのやつじゃん。」


そういえば今、女子の中ではやっている漫画が、いじめられっ子がいじめっ子に復讐するってやつだったっけ。ドラマ化もしてて昨日も姉が家で見ていたような。


昨日のドラマの話でもしているのかと思って席に着いた。


俺の隣の隣があの子の席だ。

まだ来ていない。


昨日の今日だからいつ来るのかそわそわしてしまう。


なんだか教室の音量が下がったように感じた。

不思議に思って周りを見るとあの子が教室に入ってきたところだった。

さっきまでギャーギャードラマについて喋っていた女子が静かになっている。


一瞬女の子が自分の席の前で固まったように見えた。

でもすぐに席についてランドセルから荷物を出しはじめた。


なぜか、後ろの女子たちが静かにでも騒がしくクスクスしているのに嫌な予感がした。


荷物を机の中に入れ終えた女の子は筆箱から消しゴムを取り出して何故か、机にこすりつけ始めた。

いや、本当は後ろの女子がクスクスしているあたりからなんとなく予想はついていた。



その日からあの子へのいじめがはじまった。



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