第14話

「いてもいなくても平気ってくらいなんとも思ってない。」


「あんたがいると神原君が気にするから消えて。」


「なんで神原君はあんな子がいいんだろ。」



バッと目が覚めた。

最悪の目覚めだ。


夢でみた光景が目を閉じるとしっかりと思い出せる。


誰だよ夢は起きたら忘れてるって言ったやつ。


鬱陶しい前髪をかきあげながら早くこの部屋から離れたくてリビングへ向かった。


「おはよう。」


「おはよう。今日は早いのね。何?テスト?」


「違う。何か早く目が覚めただけ。でもご飯食べたらもう行くわ。」


「ふーん、珍しいこともあるのねぇ。」


そう言いながら母が朝ごはんの準備をしてくれる。


今日の朝ごはんはパンと牛乳と果物だ。

我が家の朝はだいたいパンなのでいつも通りの朝ごはんといえる。


あまり食欲はわかなかったが、食べないわけにもいかないので少しずつ食べ進める。


あんな夢を見たのはきっと昨日地元の友人に会ったからだろうか。

安達の名前を聞いたからだろうか。


どちらにせよ、昨日友人に会っていなければと思うのは友達不幸なことだろうか。


ほぼ牛乳で流し込むような形で朝食を完食し、早々に学校へ向かう準備をして家を出た。


テレビで流れていたニュースでは有名人の自殺未遂について報道されていた。





俺は不意に櫻井のことを思い出してしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る