第13話

地元の駅に着くといつもドキドキする。

地元の同級生や知り合いに会うことを想像してしまうからだろうか。


毎回杞憂に終わるのだが、やはり今回も結果は同じだった。


スーパーに寄り、母に頼まれた物を入れた袋をさげ、帰宅した。


「ただいま。お母さん頼まれてたもの買ってきたよ。」


「ありがとう~。助かった。」

そう言いながらぴょこぴょこと母が玄関に姿を現した。


「そうそう、今日はカレーがいいなって思ったんだけど、肝心のじゃがいもとニンジンがなくて。吉乃ちゃんのおかげでカレーが作れるわ~。」


じゃがいももニンジンもないなら他のものを作ればいいのにとは言わなかった。

それよりも母が手にしているものが気になったからだ。


「お母さん、何してたの?」

「あっ、これ?アルバム整理してたの。まだ吉乃ちゃん帰ってこないかと思って。」


そういいながら母は困ったようにアルバムを後ろに隠した。


「いいよ別に。いつの?」

「これは吉乃ちゃんが小学校6年生くらいのときの習い事がんばってますアルバム。」

「そうなんだ、見てもいい?」

「そりゃ、吉乃ちゃんのアルバムだから見てもいいけど。。。」


母が渋々といった感じでアルバムを渡してきた。

そのアルバムをめくると習字で賞を取った時の写真や水泳の進級試験で合格した写真などが写っていた。


隣の母の視線を感じながら気になったことを聞いてみた。

「ねぇ、ここら辺に写ってる子たちって地元の子じゃないよね?」


「ああ、隣町の子じゃない?ほら、あっちは授業で水泳があるけどスクールはなかったから。こっちに通わせてる親御さんが多かったのよ。」


その声を聞きながら私の目は一点に集中していた。





そこには先ほどまで一緒にいた多田さんに似ている女の子が写っていた。

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