ふたりがひとり

私の日記 #4

よくわかりました。

つまり私が書いたことは、みんなあなたに読まれてしまうから、秘密にしておきたいことはどこにも書かないほうがいいってことですね。

あなたは冬夜君になったつもりなのかもしれないけど、そんなのあり得ないし、悪い冗談でしょう。とんだ嫌がらせだと思います。彼は死んでしまいました。

彼が死んでしまったのが悲しいから、私が分離して、あなたになって、あなたが冬夜君になったつもりになってるだけでしょう。心配とか寂しいとか言って、それで私が喜ぶとでも思ってるんですか？

あの女の人のことだってそう。たまたま病院で会っただけの相手のこと、悪い人じゃないとかよく言えますね。わからないでしょう、そんなの。

美奈子さんでしたっけ？その人に、何を話したか、ちゃんと私に教えてください。

私がずっと同じになりたいと言っていたのは、おんなじになれば冬夜君がどんなふうに世界を見ていてどんなふうに考えているのかわかると思ったからです。それはこれとは違う。私たちは結局この体に同居しているだけで、あなたと私は何もかも別でしょう。

願ったり叶ったりなんかじゃない。こういう話が伝わらないのも、私はずっと寂しかった。

まぁこんなこと、冬夜君じゃないあなたに言っても仕方がないけど。

美奈子さんと会う約束を取り付けたようだけど、それ、途中で私になったりしたらどうするつもりなんですか？

私はあなたと交代する時いつも気が付いたらそうなってるけど、あなたはもしかして、出てきたい時に出て来れるんですか？

だったら、私とあの人を無理やり引き合わせようなんて真似、絶対しないで。

どういうつもりなのか知らないけど、あの人と仲良くなるつもりなんてないし、冬夜君がいなくなって私がおかしくなってしまったなら、もう別に、おかしいままで居たいんです。

私から、言いたいことは以上です。共有したいことがあったら、また書きます。あなたも、そうしてください。私の知らないところで、私の体で勝手なことをしないでください。

でも洗い物と洗濯はありがとう。おかげで助かっています。

紗香