羨ましい
中学二年生にあがっても、私は同じ事を繰り返して過ごしていた。
それは、夏休みに入る二日前の出来事だった。
私は、二年生になってから小野田先生をストーカーするようになっていた。
何故なら、小野田先生を
少しでも、近づきたかった。
放課後の教室で、小野田先生と
「花村君を利用するのは、やめなさい。」
「何で、そこまで言われなきゃいけないんだよ」
「お金をだしてもらったりしてるのも、他の生徒から聞いてるの。だから、そう言うのはやめなさい。」
「小野田先生、そんな言い方するなんて酷すぎない?」
佐伯君が、小野田先生を後ろから押さえつけた。
「やめなさい。離しなさい」
「いたー」
その声に、
佐伯君と
「小野田先生、どうされましたか?」
「いえ、足をぶつけただけです。」
「それで、そんな大きな声を出したんですか」
「すみません」
「保健室で、手当てしてもらって下さい。君達も帰りなさい」
「はい」
「
「小野田先生にとって、俺は生徒?」
「当たり前です。花村君の事、利用するのは、本当にやめて。」
「あっそ」
「隆太、帰ろうぜ」
「先、帰って」
私は、教室に隠れた。
小野田先生が、出てきた。
肩を押さえていた。
白いハンカチに血がついていた。
「羨ましい」
ついボソッと口に出してしまった。
私は、
殴られる女でも、セフレでも、ブンブンと飛び回るハエでも…。
何でも構わなかった。
私は、教室を出た。
小野田先生に気を取られて、肝心の
教室を覗きながら歩くと、三つ目の教室で
ガラガラ…
私は、
「小野田先生に拒否されたぐらいで、
私の言葉に、
あの
「誰だっけ?」
「
「あー。同じクラスのやつだな」
「そうだよ」
「そんな嬉しいのかよ」
「嬉しいよ」
嬉しいに決まってる
「小野田先生って、お前見てたのかよ」
「見てたよ」
「全部か?」
「うん、全部」
「何で、見てんだよ」
「たまたま、近くの教室に居たからだよ。」
「俺を脅すのか?」
「脅すわけないじゃん。好きな人に噛みつきたくなる野蛮さは、誰もがもっている事だよ」
そう笑った私の顔を、
「お前、化粧したらちょっとは、綺麗なんじゃねーの?」
「化粧かー。高校生になったら、やってみようかな」
「その方が、いいと思うよ」
私と
「内緒にしてくれるか?」
「何を?」
「今の」
「あー。
「それ」
「小野田先生が、受け入れてくれると本気で思ってたの?」
「悪いかよ」
「大人は、肩を噛まれたぐらいでコントロールできないよ」
「そうみたいだな」
「彼女は?」
「今は、フリー」
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