レイのスキル・装備実戦使用コーナー!



 さて、あの場はあいつらに任せて、話し合いから抜けてきたわけだが。

 何をするかというと、勿論、装備とスキルの使用練習だ。

 ん?何が勿論か分からない?

 仕方ない、説明しよう。

 俺達は、異世界に来たわけだが、あの六人のような冒険者がいるということは、当然のように敵が存在するということだ。

 敵や危険な生物がいなければ、強くなる必要も、武装する必要だって基本的にはないわけだからな。

 他にも、異世界人である俺達を狙う奴等は、きっと居る、これに関してはただの勘だがな。

 そしてもう一つ、あの六人恐らく俺達が異世界人であることに気付いている。

 実際のところどうなのか、知らんがそっちは、ナユタが何とかするだろう。

 ナユタは、マジで頭の回転速いから大丈夫なはずだ。

 俺の予測では、都市への案内、住居の提供、常識の説明、俺達が冒険者として安定するまでの補助、このあたりで話は纏まると思う。

 だがまだ警戒すべきは、あいつらが言う通りにしている風で、誰かに俺達を売ること。

 だから、他の目が無いところで力を扱えるようにして、もしもに対応しようってことだ。

 やっぱりなんか、テンション高くないか?俺。

 まあ、いいさっさと始めるか。

 先ず、黒白ノワール・ブランから行こうか。

 さっきの攻撃の時に変形できたわけで、今も俺の右手にガントレットの形状で装備されている訳だが、他の形状では、どんな風になるか確かめよう。


「長剣」


 無音で形状が変わるっぽいな、しかも瞬間的に、今俺の右手には、白と黒で構成された長剣が握られていた。

 持ち手と柄の部分は黒を基に白の装飾がされていて、剣身は灰色だな。

 剣はもとから使っていたかのようにしっくりくる。


「振ってみるか、ハッ!!」 ゴトン!


 ………え?

 俺は、丁度良くあった岩を切ろうとしたんだが、正直本当に切る気はなかったんだけど。


「メッチャ綺麗に、切れとる」


 つるつるではないが、凡そ剣でやったとは思えないくらいには綺麗だ。


「この切れ味は、扱いに困るな……思い切って触ってみるか」


 そして俺は剣身に触れる。あれっ?


 スベスベ、さわさわ


「まったく切れない、所有者は傷つけないってことか、意図的に刃をなくすことも可能だろうな」


 次は、武器主ウェポンマスターを使ってみるか。

 武器主、発動!

 見た目には、特に変化はないがこいつはスゲェな!

 今、黒白をどう扱えいいか、どういう状態なのかが事細かに分かる。

 ん?この命令コード気になるな。


分離セパレーション、おっ!これは」


 俺がそう唱えると、右手には黒、左手には白の長剣が握られていた。

 大きさは、若干小さくなって、片手で振りやすい。

 んー、二刀流は、ロマンだが素人がやると速攻で死ぬと思うんだよな。

 でも、武器主を使えばいけるか?いや、やっぱ普通に戦えるようになってからだな。

 じゃあ次に、武器主のもう一つの使い方やってみようか!

 声に出してイメージを固めることにするか。


「浮け…凄いな」


 今二つの黒と白の剣が俺の目の前で浮いている。

 武器主の意のままに操れるってのは、何も持った状態の時だけじゃない。

 念動力みたいに触れずに操ることも可能みたいだ。

 しかもこれ一度、支配下の置くと後は、ある程度自由に動かすことが出来る。

 それに結構、効果範囲が広くて、周りの武器を操りながら戦闘も出来そうだ。

 まあ、練習しないと操った武器が上手く操作できなくて自滅するだろうけど。


「戻れ、よしこれで良い」


 黒白がしっかり手に戻ってきた。

 他の形状も試したいけど、この形を先にしといた方が分かりやすいはずだ。


「銃…何故にリボルバー?」


 俺は、銃という大きな範囲で指定したらどうなるのか、試しもしたのだが何故、リボルバーなんだ?

 いや、そういうことか。

 両手に収まる白と黒のリボルバーをしっかりと確認するとその疑問は氷解した。

 この銃は、よく見れば色は違うが、俺の好きな6インチのコルト・パイソンの形をしている。

 細部まで完璧に再現されている。

 恐らく、大雑把な範囲で指定するとその単語を聞いて俺が、一番に思い付く物になるのだろう。

 くぅ~異世界に来てまで見れるとは思ってなかったぜ、最っ高っ!

 だが、これ弾丸無いけどどうするんだ?


「とりあいず、引き金を引いてみるか[バンッ]………」


 ダブルアクション、良いな……いやいや、待て待て!

 何で弾入ってねぇのに撃てるんだよ! ガチャッ

 スイングアウトしてシリンダーを確かめる、やはり弾は入っていない。

 今は、右の黒の銃を木に向けて撃ったのだが、撃った木には拳大のなにかが当たった痕がある。

 恐らく、さっき撃った物の痕だろうけど、放たれた物の大きさと合ってないんだよな。

 明らかにデカすぎる、左の白の銃でもいけるか、試すか。


「銃口を木に向けてっと、そして引き金を引く[バンッ]やっぱ打てるんだよな」


 木には先ほどと同じ大きさの痕がある。

 何を使って撃ってるんだ?流石に、無から作ってるわけないしな。

 う~ん?もしかしてあれか?


「ステータス」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

▼▽▼▽▼▽

名前…<レイナイト・カラーレス>

年齢…15

種族…人族

称号…「武器主」「世界を渡る者」「アルビノ」「オセロ愛好家」


HP…100000/100000

MP…9998/10000

体力…A

防御力…B

攻撃力…A+

魔力…B

精神力…A-

知力…B

敏捷性…S+

素早さ…S

器用さ…A

運…S


NS…身体強化 思考強化 料理 分析

SS…⁅極撃⁆⁅次元操作⁆

US…『武器主』『記憶庫』『暴食』


加護…死天神の興味 暴食王魔の関心


装備…武器

   {千変万化 ノワール・ブラン}

   防具

   {黒星竜装 白星}

   装身具

   {解析計 トゥルース・オブザーバー}

   {時空計 クロノ・コーロス}

▲△▲△▲△

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「やっぱか」


 俺の考えた通り、魔力が減っていた、この状態の黒白は、魔力を弾として放っているみたいだ。

 然も、この威力で一発につきMP1か、コスパ良いな。

 もっと、魔力を込めることって、出来るのか?

 やってみるか。


「魔力を銃に流れるように意識して、おっ!」


 急に体から何かが抜ける感じがした、きっと魔力だろうけど、これまでと違って明確に抜けた感じだ。

 銃自体には、特に変化はないみたいだ。

 さっき撃った木に向けて、引き金を引く。


バンッ ドゴンッ!


 さっきの時と発砲音も変わらず、出た弾のサイズも特に変化は無かったのだが、当たった後が変わっていた。

 弾が当たった所を中心に直径50㎝くらいの穴が開いた、真ん中に穴が開いたことで上を支えられなくなったみたいで木が折れた。

 見た目に変化なしで威力だけ変わるのか、俺はどれくらい魔力を込めたんだ?


「魔力」


―――――――――――――

▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼

MP…9898/10000

▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲

―――――――――――――


「今ので100か、強すぎるな」


 扱いに困るな―、けど強力ってことは俺には良いことだ、武器主を使える俺なら扱えないってことは滅多にないからな、恐らく。

 それじゃ、気を取り直して、もう一つ命令使ってみるか。


結合 コンビネーション…なるほど」


 この命令は、分離と反対の変形のことをする命令だ、つまり二つに分離した武器が一つに結合するってことだ。

 この拳銃状態で合わさるとどうなるかと思ったがこうなるとは。

 俺の右手には、白と黒が合わさった、コルト・パイソンハンターがあった。

 コルト・パイソンハンターっていうのは、コルト・パイソンの銃身が8インチで尚且つスコープが付いたモデルのことを言う。

 気になる奴はググれ。

 しかし再現度高ぇな。


「テンションも再度上がったところで、一気に使用確認しますか!」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ふー、後は,⁅次元操作ディメンションオペレート⁆だけだな」


 30分くらいかけて、俺は黒白の他の形状の性能、極撃きょくげきの溜め時間による威力の変化、暴食グラの詳しい効果と代償、記憶庫メモリーズの現時点で閲覧できる情報の限界、解析計を使用するのとしないのとの差、時空計の時間操作タイムオペレートでできること、などのことを確認した。

 そして残すところは、次元操作の確認だけだ。

 何故、後回しにしたかというと俺がこれを使ってしようとしてるのが、空間跳躍ワープだからだ。

 多分、本来するならかなりの時間を使い練習しなければならないだろう、けれど時空計があれば成功すると俺は思っている、時間操作で確認したが操作系のスキルは魔力を使うからそんな遠くにはいけないと思うが、これが使えるだけで戦略の幅が大きく変わるので、何とか扱えるようにしたい。


「これで魔力が全快っと」


 今は、暴食を使って魔力を回復していた、暴食で物を捕食吸収すると体力と魔力が回復する、ナイフの時は何も減ってなかったからわかんなかったけどな。

 代償は今のはない、恐らく加護の影響でこれくらいなら大丈夫なのだろう、生物や魔法とかだと分からんけど。


「よし行くか!」


 準備が整ったので、俺は意識を集中させ、1mほど前に自分が移動することをイメージする。

 そして。


「《空間跳躍》ァア!?」


 俺が唱えている途中に蜂が飛んできた。

 俺は、蜂が大の苦手でびっくりし、集中が乱れた。

 そこで、俺の意識は途切れた。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 目が覚めた、辺りを見る。


「ハハッ」


 乾いた笑いが出る、これはやらかしてやがる。


「クソがぁ―――――――――!!!!!」


 辺りには、一面の銀世界が広がっていた。




◆◇◆◇◆◇◆



これにて、序章 Transfer、終了。


ここまで読んで戴きありがとうございます。

そして、面白いと思って頂けたなら幸いです。


まだまだ物語は始まったばかり、これからも楽しんで頂けるように頑張りますので、応援やコメント等々をしてもらえますと、励みになると同時に作者が大変喜びます。

どうぞよろしくお願い致します。

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