弐 祖父の秘密
山から下りたら、おじいちゃんの家はすぐだ。
古民家の、ポツンと一軒家。
お父さんとお母さんが、どんなに町暮らしを勧めても、おじいちゃんはここから動こうとしなかった。
「このことは誰にも言ってはならぬ。
おじいちゃんは、
「あの
「
彼は今、お風呂に入っている。
「あーーーーーー、はぁ」
って、湯船に浸かった瞬間、妙な声あげてた。
「これで洗う。これでこする。これで
一通り、おじいちゃんが教えた。
「
おじいちゃんは遠い目をした。
「おばあちゃんに出会ったのも、今日のような霧の出た山の中だった」
「ん」
「
「えっ?」
「怪我をしていた
「そうなの?」
おじいちゃん、
「半年の内に、おばあちゃんとねんごろになった」
「進展、早っ」
「もしかしたら、
「なるほど」
「したが、時を
どうやら、おじいちゃんが
「って、どこから来たの、おじいちゃん」
「西暦だと、
すっごい、昔だ。
風呂から上がって来た
おじいちゃんの浴衣を着こなしている。
白湯をお茶碗に入れたのを、私は
「
「
呼び過ぎでない?
「その名、もしや
「そうだって、聞いてござる」
「フウという名の
もしかして、胸きゅんエピソード?
「人質だった
胸きゅん、じゃなかった。
「
「おそらく援軍は間に合いました。この地に残された文献によれば」
「
「ですが」
おじいちゃんは、ゆっくりと立ち上がった。
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