第7話 アイドル楽しい?
【ボクとアイドルやらない?】
急に何を言っているんだこいつは。気でも狂ったか?
「断る。なんでお前とアイドルやらなくちゃいけないんだ」
「莉音は、アイドル楽しい?今のままで本当にいいと思ってる?
──莉音はどうして楽しくないアイドルを続けてるの?」
何でこいつ、俺が楽しんでいないことを。
「俺は別に、楽しさを求めてアイドルやっているわけじゃない」
「じゃあどうしてアイドルを続けてるの?」
「俺は────」
ライに、あいつらに言ったのと同じことを話した。
「ふ~ん…。なるほどね。なら、なおさらボクと居たほうが一番になれるんじゃないかな」
「…どういう意味だ」
「今、莉音が活動しているユニットより、僕の方が知名度があるし。そしたら、一番星に近づくんじゃないかな」
こいつの言うことは一理ある。
ライは海外で主に活動しているアイドルで様々な国で人気のアイドルだ。当然日本でも。俺が出た音楽番組にこいつがいたのも、こいつが日本で人気がある証拠だ。
こいつと活動すれば、俺の知名度は上がる。それは確実だろう。
だが…それは朱音の一番星になるのに近づいているのか?
「冷静に考えてみてよ。君とボクが一緒に活動すれば人気はうなぎのぼり。ファンもたくさん増えて、妹さんも喜ぶんじゃないかな。たくさんの人に愛されて応援されて輝いて…それはつまり、妹さんにとって誇らしい兄であり、一番星って言えるんじゃないかな」
朱音にとって、誇らしい兄…。
俺がアイドルとして輝けば輝くほど、朱音にとっての一番星に近づく……。
デビューして一年の俺と、すでに世界でも人気なこいつ、どちらが輝いているかと問われたら後者だ。単純にこのまま活動を続けても、いつ一番星になれるか分からない。俺は早く一番になりたい。誰よりも輝くアイドル――一番星に。
朱音の一番になるためには、アイドルの一番にならなくちゃいけない。
答えは単純だ。俺が朱音の一番になるための、踏み台は──
「いいだろう」
「君ならそう言ってくれると思ったよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます