第6話 アイドル来訪

今日は、帰りが遅くなりそうだ──っと。

はぁ、この連絡も毎日するのが心苦しくなってきた。

あぁ、早く朱音に会いたい。




チャイムが鳴って、扉を開けます。

お兄様ではないとして、どなたでしょう?

「ハロー。リオ、イマスカ?」

「えっと……お兄様は…お仕事中で……」

「オー、ソウデスカ……」

「あの……えっと…お兄様に、何か……?」

「ボク、リオの……トモダチ!デス。ハナシあってきました。……リオ、いつカエッテくる、デスカ?」

「えっと…それは……分からなくて…」

「オー…ソウデスカ…」

外国の方…?お兄様の交友関係は、詳しくないのですが、お兄様と近しいものを感じます。お兄様のお友達ということはこの方も、アイドルさん?

「…リオ、カエッテクルマデ、マチマス」

「…え?」

「ソノアイダ、ボクのショー!ミテクダサイ」

「……ショー…?」

お友達さんはそう言って、手を開くとお花を出しました。

「わぁ…!すごいです……。ふふ……とっても…キレイ……」

「これ、プレゼントデス」

「ふふ……ありがとうございます」




思ってたよりも、早く帰ってこられた。

早く朱音に──。

いつものように扉を開ける。

足音が聞こえてきて……でも今日は、違うやつの足音も聞こえる。

誰だ?俺以外の奴がこの家にいるなんてありえない。朱音の友達?いや、そんな話は聞いてない。

「お帰りなさい、お兄様」

「オー!!リオ!!久しぶりデース!!」

こいつは​────。


前に音楽番組で一緒になって、やけに話しかけてくるからウザくなって、つい

【お前、うるさい】

【ワオ!!それが君の本性…ですか】

今まで片言だったのに急に、日本語をしゃべりだしてびっくりした記憶がある。

【普通にしゃべれるんだな】

【これでも一応、たくさん勉強しましたので】

その後は、たまに連絡を取るくらいで、お互いそれぞれの場所で活動していた。




「ライ…、久しぶり。急にどうしたの?」

「リオにハナシがあってキマシタ」

「そう。それじゃあ、部屋に行こうか。朱音、彼はライ。彼もアイドルなんだよ」

「ライ…さん…。あ…私はお兄様の妹で……朱音って言います」

「アカネさん!!ヨロシク!デスヨ」

ライが朱音と握手をしようとする。許されない行為だ。

「……、行こうか」

「……ハイ!!イキマショウ!アカネさん、マタネ~デス」

ライは何かを察したのか、握手しようとしていた手を止め、代わりに朱音に手を振る。

部屋に入り、最初にすることは

「なんでお前がここにいるなんで朱音と手を繋ごうとしている俺がいない間朱音と一緒にいたのか朱音とどんな会話をしたどのくらい一緒にいたお前は────」

「はいはい。ストップストップ。莉音に会いに来たら、かわいらしいお嬢さんがいたから、少し時間を潰していただけだよ」

「朱音との時間が暇つぶしだと第一気安く朱音を可愛いって言うな朱音を褒めていいのは俺だけだ」

突然やってきた挙句あろうことか朱音と会話をしているのが心底許せない。

「色々言いたいけど……莉音ってシスコンなんだね」

「は?誰がシスコンだ。俺は朱音を愛してるだけだ。第一、妹を思わない兄がどこにいる」

俺の朱音への愛をそんな言葉で片付けるとか――。

「はいはい。分かったから。本題…入ってもいい?」

質問に答えることもなく、空気が変わる。

「おい待て、俺の質問に答えるのが──」


「莉音、ボクと一緒に、アイドルやらない?」

「は?」

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