(四)-3

 アシスタントが賞に応募することはよくあることだし、たびたび耳にしたこともあった。しかし今回は初耳だった。しかも連載まで決まってしまうとは。

「あまり自信がなかったので秘密にしていたんだって」

「でもウチの仕事場は卒業なんでしょ」

 夫はちょっと残念そうに、でも同時にちょっと嬉しそうに「まあね。彼にとってはブレイクだね」と言ってビールを一口飲んだ。

 ブレイク……。そうブレイクだ。私が持っている秘密も、そうなのかもしれない。


(続く)

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