(三)-5

 私は「離して下さい」と何度も言いながら腕を振って竹浦さんの腕をふりほどこうとした。しかし手首を強く掴まれて離してもらえなかった。

「いいじゃない、いいじゃない。少しだけ。ね、いいでしょう。お茶を飲むだけだからさ~」

 怖かったが、変に語尾を伸ばす話し方が気持ち悪くて少し頭にきた。そのせいか、私はとっさに私は掴まれているのとは反対側の手で、竹浦さんの肩を小突いた。

「止めて下さい! 奥さんに言いつけますよ」

「え~、何、それ。怖~い」

「私のことではなく、三川さんの奥さんとのことです」

「え~、何それ~」


(続く)

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