(二)-3

 私の意識はそのドアの中に自ずと向いてしまっていたが、なるべく意識しないよう、顔をまっすぐ正面に向けて通り過ぎた。

 隣の504号室はさっきお話をした三川さんの部屋だ。紅音さんは元々ギャルだったようだ。彼女がそう言ったわけではないけれども、普段の服装を見ればわかる。外出するときは下着が見えそうなほど短いスカートにヒールの靴だし、夏場は肌の露出が多い服や体の線を強調するようなぴったりした服をよく着ている。ハンドバッグも、プラダやグッチなどのブランド物を身につけていた。長いサラサラな髪も明るかった。

 この部屋の前も通り過ぎ、505号室まできた。ここが私の部屋だ。


(続く)

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